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セレナード 横光利一モダニズム幻想集 の商品レビュー

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2018/10/29

大正10年~昭和10年までの作品を収録。この時期の横光作品は恋する者の会話の駆け引きが楽しい。「セレナード」「表現派の役者」「鼻を賭けた夫婦」「火の点いた煙草」「七階の運動」辺りは知的な会話を装いつつ、痴話喧嘩じみたくすぐりのさじ加減が大変私の好みでお気に入りの作品達。 「機械」...

大正10年~昭和10年までの作品を収録。この時期の横光作品は恋する者の会話の駆け引きが楽しい。「セレナード」「表現派の役者」「鼻を賭けた夫婦」「火の点いた煙草」「七階の運動」辺りは知的な会話を装いつつ、痴話喧嘩じみたくすぐりのさじ加減が大変私の好みでお気に入りの作品達。 「機械」は横光作品の中でも有名なタイトルの一作ですが、これは読み方によっては倒叙ミステリ作品としても楽しめるな、と今回の再読で思いました。(前に初めて読んだときは、互いが疑心暗鬼に陥る心理描写が面白いんだけど、これは男同士の友情的な感情が絡むブロマンス物語か?と思ったんですが) 「薔薇」は主人公である「私」が、親友への友情以上の感情に翻弄されながら、その親友が熱を上げる人妻と上手く進展するように手を尽くしつつ、複雑な感情の中悶々とする様が大変美味しい一品。 収録作どれも「心理描写の中に理性の輝きや誠実さ」が感じられてそれが新鮮に響く良作揃いです。オススメの短編集。

Posted byブクログ