こころ揺らす の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
アイヌの苦悩から未来を考えていく。取材を通じて感じる、アイヌであることの苦しみと、無関心さ、そこからくる伝統と変化。誇りを失いかけているようにも感じる一方で、その誇りを取り戻そうとする人もいる。 正直、メディアが報道する範囲でしかこの原住民の問題は理解していなかったし、関心もほぼない大多数の我々。和人と呼ばれていることすら知らず、北海道にスキー旅行をしていた。一方で、アイヌだからといじめにあい、心を傷つけられた若い子供達、そんなばかなと思うけど、マイノリティーを排除しようとする動きは、組織となれば必ずあるわけで。 政治では解決できないし、個々の動きでは到底動かない多数の理論。でも、今を生きる人達が何に悩み、どこを目指しているのか、安住よりも、誇り。商売であれ、文化であれ、その強さは誇りと共にある。 本書の強さは、アイヌをテーマにしつつ、アイヌにかぎったことではない普遍性をかんじるからだろう。自分が海外で生活していたから感じるのかもしれない。海外では、自分は完全なるスーパーマイノリティーだからだ。こうした経験から、彼らの熱い心の叫びが胸にくるなと思った。良い取材と力のこもった文章。
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