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スッキリ中国論 の商品レビュー

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2018/11/25

巷に溢れる中国論は、ステレオタイプのものばかり。 強面の反中国論にはじまり、嫌中、爆買い、非常識。 おかげで、日本人の中国に対する好感度は「悪い」が9割とか。 かく言う私も、中国を好きか嫌いかと訊かれれば……その先は、言わぬが花でしょう。 だが、確実なことは、好むと好まざるとに関...

巷に溢れる中国論は、ステレオタイプのものばかり。 強面の反中国論にはじまり、嫌中、爆買い、非常識。 おかげで、日本人の中国に対する好感度は「悪い」が9割とか。 かく言う私も、中国を好きか嫌いかと訊かれれば……その先は、言わぬが花でしょう。 だが、確実なことは、好むと好まざるとに関わらず、この先も中国とは付き合わざるを得ないということ。 それなら出来る限り、その実像を把握しておきたい。 そう思っていました。 そんな折、あるコラムで紹介されていたのが本書。 普段は辛口のコラム氏が絶賛しているとあっては、読まないわけにはいきません。 早速、買って読みました。 いや、実に面白かった。 中国人とは、そのような思考パターンを持つ人たちなのか、と目から鱗でした。 書名にもなっている通り、日本人は「スジ」、中国人は「量」に価値を置いて物事を判断するんだそう。 本書では、いくつも例を挙げていますが、「犯罪」が一番分かりやすいと思います。 日本の刑法は犯罪を「質」の面から捉えています。 どんな小さなことでも、違法な行為をすれば犯罪です。 しかし、中国は「質」と「量」の2つの側面で犯罪を捉えます。 たとえば、窃盗罪は「金額の比較的大きいもの」以上のことを指すのであって、「金額が比較的大きくない」ものは窃盗罪とはみなされません。 具体的には500元未満は、ほとんど法に問われないそうです。 日本人の感覚では全く理解できないことです。 だから、民衆レベルでは、こんなことが起きます。 日本人はジュース代130円を借りたら、後で必ず返します。 ところが、中国人はほとんど返しません。 それはケチだからでも非常識だからでもありません。 中国人は「量」で発想するため、130円を「わざわざ返さなければいけないほどのお金」とは捉えないのです。 どうでしょう。 スッキリしましたか? 日本企業が中国でなかなか成功できない理由も、本書を読めばたちどころに分かるでしょう。 日本の「スジ」を中国人が理解し始めていること、「量」で考える中国とIT社会の親和性が高いことなど、未来を考えるうえでも有用です。 反中の人は「中国なんて理解する必要ない!」と怒り出すかもしれませんが、非常に公平な内容なのでご安心ください(公平なのが許せないかもしれませんが…)。 ステレオタイプの陥穽に嵌まり込まず、まずは相手を理解しましょうよ。

Posted byブクログ