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ファイナル・ゼロ の商品レビュー

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2019/01/21

星が5つでは足りない。ブクログのサービスを利用し始めてから初めてそんな風に思った。 シリーズ最終巻。早く、早くと頁をめくり、結末を見届けることを急かす自分と、読み終えることを、物語が終わってしまうことを惜しんで、頁をめくることを躊躇う自分がいた。 これまでで1番困難な作戦。進...

星が5つでは足りない。ブクログのサービスを利用し始めてから初めてそんな風に思った。 シリーズ最終巻。早く、早くと頁をめくり、結末を見届けることを急かす自分と、読み終えることを、物語が終わってしまうことを惜しんで、頁をめくることを躊躇う自分がいた。 これまでで1番困難な作戦。進んでも進んでも目の前には困難しか存在せず、ハラハラドキドキを通り越して、ずっと張り詰めた緊張感の中読んでいた気がする。 それなのに、どの場面でもジークは波の立たない湖面のように落ち着いていて。 出撃前、死者たちとの邂逅の場面でもそれは変わらない。涙で滲む私の目に映るのは、いつも通りのジーク。 直前に話していたバーンズの方が余程取り乱していて、これが本物の戦闘機乗りとそうではなかった者の違いなのか、とぼんやり思ったりもした。 スメルジャコフとの決着や亜紀の再登場。ジークの軌跡を追う元航空自衛隊員、ラインダースの死……最終巻にこれでもかと詰め込まれて、とんでもなく濃厚な1冊だったように思う。 スメルジャコフの名前が出た時には思わず本を持つ手に力が入ったし、亜紀との写真を捨てられずに持ち続けていたことにジークのファイターパイロットとしててではない、1人の男としての一面を見たような気がした。 ラインダースは気に入っている登場人物だっただけに正直ショックで。しばらくその事実に呆然としてしまった。 もっとも、ゼロシリーズでは毎回は私が気に入った登場人物が1人は死んでいたのだけど。 シリーズ全ての見届け役となったバーンズには、奥様と穏やかな時間をこれから過ごしてほしい、というのが個人的な願い。 中盤は、早くジークを戦闘機に乗せてあげたくて仕方がなかったのに、最後のセイバーでの襲撃前には行ってほしくない気持ちでいっぱいだった。文字通りの死地へ赴くジークをバーンズと一緒になって引き留めたかった。 相棒のチャンがバーンズに託したのがジークの航空自衛隊時代のフライトスーツで、それを着て飛び立つジーク。言葉に出来ない思いで胸が苦しい程だった。 読み終えた今、胸にぽっかりと穴が空いたような喪失感がある。小説を読み終えてこんな寂しい気持ちになるのは本当に久しぶりだし、ここまで登場人物に入れ込むのも久しぶりだった。きっと私は、ジークに、那須野治朗に恋をしてしまったのだと思う。 「あの人――なかなか死なない人だから」という最後の亜紀の言葉。それを読んだ瞬間、どこかの空で飛行機を飛ばすジークが目に浮かんだ。きっとジークのフライトはまだ続いている。

Posted byブクログ