札幌のカラス(2) の商品レビュー
札幌に限らずカラスは全国津々浦々に生息して、我々人間と棲む世界を共有していると思うが、本書は札幌でカラスを愛し研究している作者によるカラス関連エッセイともいうべき人気本である。 作者はNPO法人札幌カラス研究会の主宰として、日々、カラスに人生を捧げる人である。何よりも感じら...
札幌に限らずカラスは全国津々浦々に生息して、我々人間と棲む世界を共有していると思うが、本書は札幌でカラスを愛し研究している作者によるカラス関連エッセイともいうべき人気本である。 作者はNPO法人札幌カラス研究会の主宰として、日々、カラスに人生を捧げる人である。何よりも感じられるのはカラス愛! そしてこの本は俗に嫌われ者の印象が強いカラスを扱いながら、何と札幌の書店でベストセラーの売り上げを記録し、ついに続巻まで出版される運びとなったのである。 カラスは思えばどこでもいつでも見かける鳥であり、殊更珍しくもなく、数も多い。ごみを漁る風景や電線に群がる風景、そして昔少年の頃から聞こえてくるあのカアカアという大きな啼き声。まさに我らが生活の傍らで共同の大地や人工物を共存している存在として何気なく接している動物なのである。 カラスを恐ろしいもの、凶暴なものとして認識してしまうきっかけとなったヒッチコック映画『鳥』は、アンチリアルなものであるからこそ怖かった。 しかしこの書籍を通して作者のカラス愛に触れるにつれ、我が家の庭、及び近所の空き家の屋根を縄張りとするカーコとカーオと、彼らに餌を与えることでまるでカラス使いのようになっている配偶者の生活とこの本は見事に重なるようになったのである。 書かれているのは一冊目では、カラスに関する基本知識。二冊目は応用編と言うべき内容で、傷ついたり死んだりするカラスの一生について、そしてそうしたカラスを救済したりしようとしたが思いを遂げられなかった心優しき人間たちのことが書かれている。そしてカラスを無知ゆえに野鳥として認めず、加害者の側に知らず回ってしまう人間の愚かさ、そうしたものが書かれていると言ってよいだろう。 ぼくにとってのカラスにまつわる最新事件の謎も本書により解消した。昨年の初夏だったろうか、いつもウォーキングで使う道のあるきまった場所にさしかかるとカアカアと恫喝して追跡してくるカラスがとても憎らしかった。棒で振り払いながら憎々しげに見上げるのだが、なぜ特定のぼくを追いかけてくるのかは謎だった。実は巣作りして雛を育てているカラスは特に男性を見るとこういう行動に出るらしい。子供を守る行動なのだそうで、不思議と女性には加害しないらしい。 一方で我家にいるカーコたちは、配偶者が餌を定期的にあげているせいか、襲うことはおろか、別の野鳥たちが来ると場所を譲ったりしてとても優しく、人間的である。時には配偶者の後をちょんちょんと付いて歩き、時には配偶者を軽くつついたりもするみたいである。先日は庭の餌を狙ったキツネを追い払うという勇猛なシーンも目撃した。 頭の良い鳥カラスから見た人間界を、人間の著者が解説する、挿絵や写真、四コマ漫画まで付いたサービス満点のカラス入門書の二冊。カラスという存在をより深く知ることであなたの世界観が確実に変わるこの二冊を、是非お手に取って頂きたい。
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この本はおすすめ! カラス好きな人にも好きでない人、ごみを荒らされて困っている人。どなたが読んでも楽しめると思う。
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