詩の約束 の商品レビュー
第10回鮎川信夫賞同時受賞作! 「人生の乞食」から「わが煉獄」の現在へと辿る人生を共にした、 詩と詩人たちの真実。
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40年程も昔、ようやく世間に出たころ、四方田犬彦の「映像の召喚」(青土社)と出会って、「すごい奴がいるなあ」と感心して以来、おたおたと読み継いできて、今回の「詩の約束」(作品社)が最新の四方田犬彦。詩をめぐって、テーマを決めて書き継いできた連載をまとめた一冊。 「朗誦する」に...
40年程も昔、ようやく世間に出たころ、四方田犬彦の「映像の召喚」(青土社)と出会って、「すごい奴がいるなあ」と感心して以来、おたおたと読み継いできて、今回の「詩の約束」(作品社)が最新の四方田犬彦。詩をめぐって、テーマを決めて書き継いできた連載をまとめた一冊。 「朗誦する」に始まって、「記憶する」、「呪う」、最後は「呼びかける」、「断片にする」、「詩の大きな時間」。 その間、記述に「召喚」された詩人はハーフィズ(ペルシャ)、ボードレール(フランス)、谷川俊太郎、西条八十、西脇順三郎、パゾリーニ(イタリア、映画)、ポール・ボウルズ(アメリカ・作曲家・小説家)、谷川雁、寺山修司、三島由紀夫、萩原恭次郎、ドゥニ・ロッシュ(フランス)、入澤康夫、中上健次、永山則夫、チラナン・ピットプリーチャー(タイ)、T.S.エリオット(イギリス)、エズラ・パウンド(アメリカ)、蒲原有明、鮎川信夫、吉岡実、北村太郎、夏宇(台湾)、九鬼周造、吉本隆明、高橋睦郎、高貝弘也、ブレイク(イギリス)、アドニス(シリア)という具合で、名前も知らなかった詩人や、難しくて挫折した人がたくさんいる。 そのなかで、「注釈する」、「発語する」の二つの章には登場する中上健次をめぐって、彼の「歌のわかれ」とも言うべき「芸ごとの詩はいくら書いても仕方がない」という発言が書きつけてあったのは印象に残った。 ぼくにとっては、中上健次も、あのころ「ああ、すごい才能がある」と、心底、仰ぎ見た作家だった。 ブログに詳しく書きました。よろしければどうぞ。 https://www.freeml.com/bl/12798349/1059718/
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なんとなく読み進めていたら、この本が去年出ていたことに気づき驚かされた。もっと古い本かと思っていた。良く言えばそれだけ本書で扱われている素材/テーマが普遍的であるということだろう。悪く言えばそれだけ題材の鮮度が落ちているということになるが、四方田自身この本をジャーナリスティックに...
なんとなく読み進めていたら、この本が去年出ていたことに気づき驚かされた。もっと古い本かと思っていた。良く言えばそれだけ本書で扱われている素材/テーマが普遍的であるということだろう。悪く言えばそれだけ題材の鮮度が落ちているということになるが、四方田自身この本をジャーナリスティックに書きたくない旨を記しているのでこの批判は的外れというもの。著者の勉強家ぶりに唸らされ、読みたい詩人が増えた。詩世界に触れる好個の切っ掛けを与えてくれる本として、もっと多くの人に読まれることを祈りたい。なかなか良い仕事だと思わされる
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