シェリング著作集 新装版(第4a巻) の商品レビュー
「哲学と宗教」(1804)、「人間的自由の本質とそれに関連する諸対象についての哲学的探究」(1809)、「シュトゥットガルト私講義」(1810)の3編が入っている。 この前、ハイデッガーの『「ヒューマニズム」について』だったかを読んでいたらしきりにシェリングの「自由論」に言及し...
「哲学と宗教」(1804)、「人間的自由の本質とそれに関連する諸対象についての哲学的探究」(1809)、「シュトゥットガルト私講義」(1810)の3編が入っている。 この前、ハイデッガーの『「ヒューマニズム」について』だったかを読んでいたらしきりにシェリングの「自由論」に言及している部分があって、シェリングどんなだったかなあ、と思って本書を読んでみたのである。 最初の論文はもちろん、続く「人間的自由の本質」も、大前提として「完全なる存在としての(キリスト教の)神」という観念があり、とにかくそこから議論が始まるのである。 このへんは神なき現代人としては「ふうん」くらいの距離感で、何だかカントからずいぶん「後退」しちゃってるような気さえした。なるほどこれがドイツ観念論か、と妙に客観的に感心してしまったりした。 しかし「人間的自由の本質」の本論ではいきなり「実存」という語が出てくる。これは原語が示されていないのでわからないがハイデッガーのタームと同じドイツ語なのだろうか。このあたりでシェリングが書いていることもどうやらハイデッガーなら引っかかってきそうな主題系があり、にわかに興味深くなった。 最後の「講義」は実に様々なことを自由自在に語っていて面白い。ときにはトンデモなことも言っているが、そうなるのか、と感心する部分もときどきあって興味深い。
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