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全国鉄道事情大研究 東北・西部篇 の商品レビュー

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2020/06/28

 『全国鉄道事情大研究』シリーズ、遂に完結であります(もう二年近く前ですが)。鉄道アナリスト・川島令三氏のライフワークともいふべき仕事で、1992年の第一弾「神戸篇」から数へて全30巻、26年を費やしております。「鉄道事情」と言つても刻々変化するもので、あくまでも取材当時の「現在...

 『全国鉄道事情大研究』シリーズ、遂に完結であります(もう二年近く前ですが)。鉄道アナリスト・川島令三氏のライフワークともいふべき仕事で、1992年の第一弾「神戸篇」から数へて全30巻、26年を費やしております。「鉄道事情」と言つても刻々変化するもので、あくまでも取材当時の「現在」を切り取つてゐ為、旅人が参考にするやうなガイド的側面は期待できず、史料的側面にその価値を認めるべきでせう。  最後となつた「東北・西部篇」では、東北新幹線・奥羽本線・羽越本線などの幹線、田沢湖線・白新線・仙山線などの都市間交通線、磐越西線・陸羽東線・陸羽西線などの東北横断線、只見線、北上線、左沢線などのローカル線、野岩鉄道・会津鉄道・山形鉄道・由利高原鉄道・秋田内陸縦貫鉄道などの私鉄が収録されてゐます。  その中でもやはり東北新幹線が話題の中心となりませう。北海道新幹線延伸時には、かなりのスピードアップが期待されてゐますし、更に未来の話でせうがAIによる自動運転も視野に入れてゐるとか。  ローカル線については全国共通の課題(過疎化・少子化による利用者減など)がここでも問題となつてをります。加へて、今後の鉄道運営もコロナウィルス対策を考慮したものになりませう。既に公共交通機関を避け、クルマ利用にシフトする動きが見られます。テレワーク・時差出勤も影響があると思はれます。  やはり従来のギュウ詰めを前提にした車両製作は見直されるのではないでせうか。着席を想定したクロスシート車が中心になり、定員減による減収分は運賃や別途料金に反映されさうです。既に航空会社は、防疫対策にかかる費用を利用者負担にする旨の発表をしてゐました。  川島氏には、コロナ後の鉄道業界についての展望をひとつ、描いていただきたいと存じます。今年で古稀を迎へる川島氏ですが、今時70歳はまだ若い。これからもガンガン上から目線で、突拍子もない提言で鉄道界を沸かせてくれる事を期待してをります。

Posted byブクログ