脳と時間 の商品レビュー
2022.2.20 市立図書館 TLで気になっていた本(ニューロダイバーシティの村中直人さんのおすすめ)がちょうど書架にあったので借りてみた。 (興味深いのだけれど、腰を据えて読み通す余裕がなくあまり進められぬまま返却)
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脳の時間: 時間の特色 タイムマシンとして最高の逸品 昼も夜も シックス・センス 時間におけるパターン 時間、神経ダイナミクス、カオス 物理の時間の本質と心の時間の本質: 時間を管理する 時間とはいったい何物か? 物理学における時間の空間化 神経科学における時間の空間化 心的時間旅行 意識:過去と未来との結びつけ
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タイトルには「解き明かす」とあるが、もちろん研究の 真っ只中、結論が出ている問題ではないので、今現在の 物理学や脳科学でわかっている・考えられている「時間」に ついて様々な角度から述べた本、ということになる。 物理学や脳科学についてさほど詳しくない人でも理解できる ように書いてあ...
タイトルには「解き明かす」とあるが、もちろん研究の 真っ只中、結論が出ている問題ではないので、今現在の 物理学や脳科学でわかっている・考えられている「時間」に ついて様々な角度から述べた本、ということになる。 物理学や脳科学についてさほど詳しくない人でも理解できる ように書いてある(脳科学については著者の専門のためか 少しだけ難しい箇所もあるが)ので、「時間とはいったい 何だろう」という素直な疑問にもある程度応えてくれるの ではないかな。 結局は「エントロピー」が鍵を握っているのか?
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最近別の時間の本を読んで時間に対する認識が変わって、それが永遠主義なんだけど、確かに相対性理論と相性がいい永遠主義も、確実にそれが正しくて現在主義が誤っているというのも違うようだ。 時間とは何かということを突き詰めて考えて出てくる多くの気づき、それに対する探究とその成果についてい...
最近別の時間の本を読んで時間に対する認識が変わって、それが永遠主義なんだけど、確かに相対性理論と相性がいい永遠主義も、確実にそれが正しくて現在主義が誤っているというのも違うようだ。 時間とは何かということを突き詰めて考えて出てくる多くの気づき、それに対する探究とその成果についていろいろと学ぶところの多い本。 時間には本質的時間、時計的時間、主観的時間の3つがある。時間旅行の物語は人類の歴史の大半に存在せず、19世紀中頃のクリスマスキャロルが先駆け。ヒトに隔離実験をしたところ概日周期はめちゃくちゃになり、主観的時間は大きく伸長した。回顧的計時と展望的計時で時間感覚のゆがみを説明できる。時計の仕組みや発展の詳細な説明、たとえば礼拝の必要から13世紀に機械式の時計が生まれたこと。核実験で炭素14が増えたことから、1955年前に生まれた人の脳をもとにニューロンがヒト成人にも形成されることを確認された。
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著者はUCLAの神経生物学教授。本書では時間の本質についての二つの理論を軸に、それぞれの裏付けとなる神経科学及び物理学における時間の扱われ方の違いをあぶり出し、それが人間の脳の挙動に由来する可能性を導いてゆく。 本書で扱われる二つの理論とは、過去・未来の実在を否定し現在のみ...
著者はUCLAの神経生物学教授。本書では時間の本質についての二つの理論を軸に、それぞれの裏付けとなる神経科学及び物理学における時間の扱われ方の違いをあぶり出し、それが人間の脳の挙動に由来する可能性を導いてゆく。 本書で扱われる二つの理論とは、過去・未来の実在を否定し現在のみが実在するとする「現在主義」と、過去・未来ともに現在と同時に存在するとする「永遠主義」。神経科学と親和性の高い前者の立場では主観に基づく「時間の流れ」が重視される一方、物理学、特に相対性理論に依拠する後者では単なる一時点である現在を特別視する理由はなく、したがって現在リアルタイムに生ずる時間の流れは単に錯覚の所産であるとする。 本書の構成はまず前半で神経科学の見地から、器質的な脳が時間の前後や経過をどのように計測しているかが語られる。ここで意外なのが、著者が神経学者であることから「時間の流れ」については肯定的な立場をとるかと思いきや、多くの神経学者とは異なり「時間に関するあらゆる主観的体験は錯覚である」とバッサリ切り捨ててしまうこと。時間の流れについては、脳内回路がカオスに陥ることを回避するために「再現性(回路が過去の刺激を記憶すること)」をいかにして獲得したかについて、記憶の偏在性(記憶は単一ニューロンに帰結できず、全体ニューロンの統計的な所作、すなわち現在の入力と直前の状況の全体としての表現により生ずる)により時間の経過を把握しているから、との抑制的な記述に留めるのみだ。 一方、後半では、時間と空間を同列に扱う特殊相対性理論からの帰結である「ブロック宇宙(あらゆる時点・空間が同時に並存)」と永遠主義の親和性が語られる。物理学の数式には「現在」が表現されておらず、したがってその現在を特別視する「時間の流れの感覚」など錯覚であるとする。つまり現在主義・永遠主義ともに時間の流れを錯覚であると片付けてしまうのだが、本論はやっとここからである。 著者は、時間の流れの感覚が外部の事象展開と相関的であったため、「予測する」という進化上有利な能力の獲得につながったという意味論的・自然主義的な主張を展開する。そしてピアジェの時間概念理解の理論や、空間が時間知覚に影響する「カッパ効果」を引きながら、空間と時間が脳内神経回路で絡み合っており(そもそも神経科学と物理学は時間・空間の相対的な捉え方に相似性が見られるとしている)、このアーキテクチャのために、脳が物理法則を理解する際に永遠主義的な捉え方をているのだと論じる。まるで脳が物理法則と内的理解の結節点に立たされているようなイメージが浮かぶ。 そして最終章、時間の流れは意識ではなく無意識による知覚であり、さらに無意識のフィルターが外界の出来事を遅延を伴って意識に報告しているとの実験結果から、それでは意識による知覚は不可能なのか、自由意志とは一体存在するのか、という次元にまで論が及ぶ。自由意志が物理法則に決定されないこととするなら、自由意志は霊魂のような非物理的な存在とせざるを得ない。デネットならここで多行為可能性や自己コントロール可能性を持ち出すところだが、ブロック宇宙では選択肢が全て存在済みでありもはや自由意志の出番はないことになる。さらにイツァーク・フリードの実験(自由意志発現のの900ミリ秒前に脳内シナプスに電位変化が生ずる)でシナプス発火の空間・時間的加重が意思決定への動因となっているとみられることから、著者は意識は脳の無意識的神経プロセスが既に決定作業を行ったのちに生ずる「情動」であると結論する(なおこの実験や有名なリベットの準備電位に関連しては「そもそも自由意志の発現時期を、その発現主体が正確に報告できるのか?」という批判がある。講談社現代新書「心にとって時間とは何か」青山拓央ほか)。本書の前半で述べられたように、現在の神経パターンは直前の状態+外界からの入力なのだが、そこにさらに無意識による確率的ゆらぎが加わった結果が情動の正体だというのだ。こうなると自由意志は物理的法則に決定されているのと言っているのとほぼ等価であり、結構ハードな決定論を採用していることになる。 自由意志は未来の後続的な意思決定には関与できるのであり、さらに無意識的決定だろうと自分の脳が決定したことには変わりないのだから有責であり、その意味で自由意志はあるとするが、これはカテゴリー錯誤の批判を免れ得ずさすがに苦しいと思う(自分の脳の決定と言ったって、それも神経プロセス+無意識の所産では?)。ただ、発生主義的な立場から「時間の流れ」という無意識を採用する進化的選択圧が生じた、すなわち「死」を見通し将来に備える能力が人間に備わった、という結論には(やや唐突で取ってつけた感は否めないものの)一定のシンパシーを感じた。
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時間に追われて毎日生きる我々現代人。しかし「時間って何なんだ!」という本質的な疑問。普通の大人なら「時間は時間だ」とでも答えたくなるようなことだが、実は科学者の間でも統一した見解には達していないようだ。もちろん1秒を定義はできる。しかし、それは基準となる何らかの物理現象の変化を使...
時間に追われて毎日生きる我々現代人。しかし「時間って何なんだ!」という本質的な疑問。普通の大人なら「時間は時間だ」とでも答えたくなるようなことだが、実は科学者の間でも統一した見解には達していないようだ。もちろん1秒を定義はできる。しかし、それは基準となる何らかの物理現象の変化を使っているだけで、”長さ”のように直接計測できるような物理対象としての”時間”は存在しない。実際、時間の”流れ”のような時間に関する言葉は、全て、空間的な言葉を使っている。では、時間が流れるという感じは単なる人間の錯覚か?この宇宙には”今”しかないのか?それとも過去や未来には行き来できるのか?このような素朴かつ深遠な疑問に、著者の専門である神経科学や脳科学、さては物理学の視点から、最終的には人間の意識の本質にまで迫って、これでもかって程掘り下げてくれているのが本書です。確固とした答えが示されるわけではないが、時間についてふと疑問に思ったことのある人にはともて興味深い一冊であるのは間違いない。
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人は現在だけが存在し、過去は消え去ったものであり未来はいまだ存在していないと日常的には感じている。しかしそのように「時間の流れを感じる」のはある意味で錯覚かもしれない、という驚きの仮説が展開される。 脳神経系の理論モデルや自由意志など、様々な部分から脳と時間について論じられる。
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時間とは何か。ある意味で人類史上最大ともいえるこの謎について、UCLAで教鞭をとる神経学者・心理学者である著者が、神経科学と物理学を中心に、幅広い学際的見地から解説した一冊。 一口に「時間」といっても、我々が日常生活で計ったり確認したりして使っている「時計的時間」のほかに、“あ...
時間とは何か。ある意味で人類史上最大ともいえるこの謎について、UCLAで教鞭をとる神経学者・心理学者である著者が、神経科学と物理学を中心に、幅広い学際的見地から解説した一冊。 一口に「時間」といっても、我々が日常生活で計ったり確認したりして使っている「時計的時間」のほかに、“あっという間”とか“永遠に続くよう”などと“感じる”時間としての「主観的時間」があり、それらの根底にあると考えられるのが、科学者たちが解明しようと日々格闘している「本質的時間」である。そして「本質的時間」の捉え方には2種類あり、ひとつは時間には「現在」のみが存在し、過去から現在、そして未来へと一方向に時間が「流れている」という、神経科学(と我々の直感)が支持する「現在主義」であり、それに対して時間は空間に「あそこ」や「ここ」が並存するのと同様に、過去・現在・未来のあらゆる時間が全宇宙に存在するという、物理学が支持する「永遠主義」がある。一見直感に反する「永遠主義」だが、アインシュタインの相対性理論の解説を読むと、時間は移動速度によって影響される相対的もので、現在主義のように一義的に決まるものではないことがわかる。 著者は、他の知覚と同様、時間の感知も脳が進化の過程で生き残りのために身に付けた能力であり、だからこそ人類は時間を管理するとともに、過去に学び、未来を予測して備えることができる一方、環境問題のような超長期の時間を把握するにはまだ未熟なのだと喝破する。本書の原題は「脳はタイムマシン」であり、つまるところ人間は「時計的時間」を共有することによって共同体としての生活を営むとともに、「主観的時間」を使って著者の言う「心的時間旅行」即ち過去と未来の間を行ってり来たりしているのだ。それでもなお人類は、「本質的時間」は何かという質問に対して、人類は未だ解を持ち得ない。ことほどさように時間とは深遠なるテーマであり、スッキリした結論を求める向きにはお薦めしないが、延々続くかのような頭の体操を楽しめる類の人には抗い難い魅力の詰まった一冊といえる。
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時間とは何かを考えさせられる。腕時計にある時間や体内時計のような時間感覚、はたまた相対性理論における概念など、実に興味深いテーマのオンパレード。
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「時間とは何か」 この問いかけは非常に難しい。 哲学的に論ずるものも多いがこの本は脳神経科学から時間というものを紐解いている。 難しい部分も多く理解しづらいところもあったが、興味深い部分も多く面白かった。
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