天子蒙塵(第四巻) の商品レビュー
執政溥儀は関東軍を後ろ盾についに満洲国の皇帝になろうとしていた。 ネタバレになるから書けないけれど、満州国建国にまつわる『天使蒙塵』ついに完結。 3000年の中華皇帝への返り咲きを夢見る溥儀、一方で日本を中心にした大東亜圏を構成し、欧米列強との対決を模索する石原莞爾の思想に傾...
執政溥儀は関東軍を後ろ盾についに満洲国の皇帝になろうとしていた。 ネタバレになるから書けないけれど、満州国建国にまつわる『天使蒙塵』ついに完結。 3000年の中華皇帝への返り咲きを夢見る溥儀、一方で日本を中心にした大東亜圏を構成し、欧米列強との対決を模索する石原莞爾の思想に傾いていく関東軍。一度は蒋介石に満洲軍を禅譲しながらも再起を記す張学良。その他様々な人物がそれぞれの思惑で登場するが、とにかく切なくて悲しい物語。最後には一連の『蒼穹の昴』シリーズ愛読者には涙なしで読めないような話でした。 天使蒙塵から読みだすのも良し、シリーズ第1作『蒼穹の昴』から読みだすも良し、断然おすすめの本です。
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様々な登場人物の人生が交錯しながら、大団円を迎えます。満州の寒さの厳しい空の下、国と歴史を作る人たちが、それぞれの人生を背負いながら、それぞれの道を歩んで行きます。シリーズ最後の一冊ですが、第二次世界大戦へ構えた日本が、そして溥儀が、その後どんな運命をたどっていくのか。もう少し読...
様々な登場人物の人生が交錯しながら、大団円を迎えます。満州の寒さの厳しい空の下、国と歴史を作る人たちが、それぞれの人生を背負いながら、それぞれの道を歩んで行きます。シリーズ最後の一冊ですが、第二次世界大戦へ構えた日本が、そして溥儀が、その後どんな運命をたどっていくのか。もう少し読みたくなります。
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2019/7/6読了。既に瓦解した清朝末裔の哀れなあがきと 新中華の覇権を取ろうとする各派の思惑と内乱。その時期を狙って大東亜の大義を掲げ謀略で満州を手に入れようとする日本陸軍の関東軍。まさに時代に翻弄される人々を描く浅田次郎のライフワークとなった近現代史小説。 不可解で現代の日...
2019/7/6読了。既に瓦解した清朝末裔の哀れなあがきと 新中華の覇権を取ろうとする各派の思惑と内乱。その時期を狙って大東亜の大義を掲げ謀略で満州を手に入れようとする日本陸軍の関東軍。まさに時代に翻弄される人々を描く浅田次郎のライフワークとなった近現代史小説。 不可解で現代の日本人にはもはや理解出る人はいないかも知れない満州問題は、反対に2.26、日中戦争、そして第2次世界大戦に突入する前夜だけに興味深かった。
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西太后や清国の歴史、張作霖など歴史認識を変えさせたシリーズだけど、それぞれの立場、環境による固定観念、生き方に共感より違和感が強くなった。まぁ、その相入れない信条が戦争となったのだろうけど。 これ以降は三代記となる「ワイルドスワン」と時代的に繋がる。校長の命令に反して運動会で日本...
西太后や清国の歴史、張作霖など歴史認識を変えさせたシリーズだけど、それぞれの立場、環境による固定観念、生き方に共感より違和感が強くなった。まぁ、その相入れない信条が戦争となったのだろうけど。 これ以降は三代記となる「ワイルドスワン」と時代的に繋がる。校長の命令に反して運動会で日本人に勝ち、その後行方不明になった少女のエピソードが心に残っている。過去は、見方によって真実も変わるが・・朝鮮は出てこないなぁ~
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蒼穹の昴シリーズ、完結かと思ってたんですが、まだ続くようですね。 地味ながら、なかなか渋い味のある巻でした。 何か派手な出来事があるわけではないんだけも、地味に地味にどんどん逃げ場のないどん詰まりに追い詰められていく感じが、すごく伝わってくるのがすごいです。 2019.5....
蒼穹の昴シリーズ、完結かと思ってたんですが、まだ続くようですね。 地味ながら、なかなか渋い味のある巻でした。 何か派手な出来事があるわけではないんだけも、地味に地味にどんどん逃げ場のないどん詰まりに追い詰められていく感じが、すごく伝わってくるのがすごいです。 2019.5.26 83
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いよいよ溥儀が「満洲国皇帝」に即位する場面で物語は終わる。中国3000年の最後の皇帝としての意識、そして「蒼穹の昴」の主要人物である春児・玲玲兄妹と梁文秀らがそれを見守る。物語は溥儀と日本人たちが入れ替わり登場し、まとまりが無い印象は否めない。真ん中あたりで陸軍軍務局長の永田鉄山...
いよいよ溥儀が「満洲国皇帝」に即位する場面で物語は終わる。中国3000年の最後の皇帝としての意識、そして「蒼穹の昴」の主要人物である春児・玲玲兄妹と梁文秀らがそれを見守る。物語は溥儀と日本人たちが入れ替わり登場し、まとまりが無い印象は否めない。真ん中あたりで陸軍軍務局長の永田鉄山と石原莞爾及び吉永将大佐なる人物の3人が、満州事変の原因について語る場面が弩迫力だった。それぞれの勝手な思惑で15年戦争へと大きな歴史が動いていったことを痛感する本だった。
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静 な巻なのでやや難しく退屈に感じた。 私は~と語る人物が溥儀なのか、張学良なのか、はたまた日本の軍人なのか、一般人なのか。 皆悩んでいるがどうしようもできない。 そんな中で即位しなければいけない溥儀の心はどのようなものだったのか。 ラストの春児の没法子、メイファーヅと言ってはいけない、というお話。 『でも、没法子とさえ言わなければ、人間は存外まともに生きてゆけるものです。鳥や獣をごらんなさい。雨が降れば宿り、風のゆくえを読み、暑さ寒さをうまく凌いで生きているではありませんか。 ならば万物の霊長たる人間が、「どうしようもない」などというのは贅沢な話です。 嘆く暇があるなら、どうにかするのですよ。』
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清王朝最後の皇帝 溥儀 の哀しい運命 さて龍玉は、中華人民共和国の何処に。ひょっとして習近平の手か?
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4巻綴の最終巻。救いようのない悲しい話。龍玉の行方も分からず終いではあるが、安直に毛沢東が天下を取る話にもならないのが、却って良いのかもしれない。 振り返ってみると、「蒼穹の昴」の西太后や李鴻章、「中原の虹」の張作霖と言った千両役者はすでにない。希望の張学良はアヘン漬けと、いいところはまったくない。天子蒙塵の名にふさわしい。 梁文秀と李春雲、玲玲、雷哥の4人がお話に出てくるところは中原の虹の幕切れに対応したものか。没法子と言ってはならない、の言葉が胸に染みる。
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最後は溥儀の即位。愛すべき梁文秀と李春雲とのやりとりで終わる。これだけ不幸な天子もいなかろうと最後は泣きながら読み進めました。 関東軍は(大日本帝国?)は中華に手を出すべきではなかったのに、なんてことをしたのだろうと、思わずにはいられない。後半に「日本と支那は本気で戦争などできまいと、志津はしみじみ思った。同じ肌の色をし、同じ顔かたちをしている。漢字の姓名を持ち、三度の飯を箸で食う。中略。よほど個人的な恨みでもあるならともかく、国ぐるみで憎しみ合うことなどできるはずはない」という一節があるが、現在の日本と中国は旧交温める関係になく、発端は関東軍の暴走からきているとしか思えず、残念でならない。 張学良や馬占山はどうなったのだろう。田宮少年や正太はどうなったのだろう。溥儀が梁文秀と李春雲でしめくくられるのは腑に落ちつつ、まだ終わらぬ面々からの物語も読んでみたいと思った。
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