その先の道に消える の商品レビュー
中村文則は、『掏摸』『教団X』に続いて3作目ですがいずれもなかなか難しい。芥川賞作家は即、面白いとは行きません。
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本作も読者の隣にいる街ゆく人々が登場人物であるかのような感覚で読んだ。薄い壁1枚を越えるか越えないかの差が恐ろしい。
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緊縛師の男が殺害された事件から始まるミステリ。倒錯的でエロティックな雰囲気に満ち溢れています。緊縛に興味はまーったくないのですが。美学というかこだわりというか、芸術に近いような印象がありました。でも……理解するのは難しいかも。 そして登場する魔性としかいいようのない女と、彼女に翻...
緊縛師の男が殺害された事件から始まるミステリ。倒錯的でエロティックな雰囲気に満ち溢れています。緊縛に興味はまーったくないのですが。美学というかこだわりというか、芸術に近いような印象がありました。でも……理解するのは難しいかも。 そして登場する魔性としかいいようのない女と、彼女に翻弄され呑み込まれる男たちの物語、という気がしました。ミステリとしての誰が犯人かとかなどは、物語の添え物といった程度かも。なんともいえない読み心地の一冊です。
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なんだろう、これ。 わけがわからない、、、 精神病んでる奴が何人出てきた? 整理できないほどぐちゃぐちゃな心理描写で、さらに自分では理解できない。
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心に闇を抱える刑事が、殺人事件の捜査を進めるうちに、事件の渦中に引きずり込まれていく。第1部と2部とが、それぞれ別の刑事の一人称によって語り継がれる。 被害者は緊縛師、濃密なSMの世界をベースに話が進む。事件の真相解明よりも、特異な人間の歪んだ心が、それに共鳴する部分をもつ人た...
心に闇を抱える刑事が、殺人事件の捜査を進めるうちに、事件の渦中に引きずり込まれていく。第1部と2部とが、それぞれ別の刑事の一人称によって語り継がれる。 被害者は緊縛師、濃密なSMの世界をベースに話が進む。事件の真相解明よりも、特異な人間の歪んだ心が、それに共鳴する部分をもつ人たちをからめとり、破滅させていく気味の悪さが際立つ。 縛り、縛られることで逆に心が解放されるという解釈はおもしろく、徹底的に人の奥底の空洞をのぞき込む描写はさすがだが、神道をからめるのは無理がある。 さらには、登場するのが現実離れして特殊すぎる人たちばかりで、どろどろとした負の感情が押し付けられるため、疲労感の残る読書だった。
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第一部までは本当に面白かった。富樫の狂った思考が心地よかった。わけがわからない状況にも惹き付けられた。「銃」の発展形がここにある!と思った。 なのに、第二部以降の崩壊ぶりはいったいなんだ?緊縛だか性癖だか神だか支配だか知らんけど、世界観がアブノーマルすぎて、僕の感じる「虚無」とは...
第一部までは本当に面白かった。富樫の狂った思考が心地よかった。わけがわからない状況にも惹き付けられた。「銃」の発展形がここにある!と思った。 なのに、第二部以降の崩壊ぶりはいったいなんだ?緊縛だか性癖だか神だか支配だか知らんけど、世界観がアブノーマルすぎて、僕の感じる「虚無」とはどんどんかけ離れていってしまった。 本当に残念です。
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中村文則の小説は難しい。これを純文学と呼ぶのだろう。今回は緊縛師の物語なのでさらに難解な物語となっている。人間の深層を知るためにはこのような物語が必要なのかも。
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人間にとって、縛られること、縛ること、縛られた人間に接することの麻薬性、そして麻薬的な行為に陥るもととなる、人間が本来抱えている生きることの虚無、について描いている。ストーリーが巧み。緊縛についての蘊蓄もおもしろい。ただ登場人物が多く、設定もややこしいので、一度読んだだけではよく...
人間にとって、縛られること、縛ること、縛られた人間に接することの麻薬性、そして麻薬的な行為に陥るもととなる、人間が本来抱えている生きることの虚無、について描いている。ストーリーが巧み。緊縛についての蘊蓄もおもしろい。ただ登場人物が多く、設定もややこしいので、一度読んだだけではよく分からなかった。読後にもう一度ざっととばし読みをして、ああそういうことか、と納得した次第。すごいと思うがやや詰め込みすぎの感がある。
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アパートの一室で発見された「緊縛師」の死体。重要参考人として名前が挙がったのは刑事・富樫が惹かれていた女性だった。女性から疑惑を逸らすため、富樫は指紋を偽装する。 殺人事件、刑事の捜査、とミステリの要素を配し謎解きのように見せながら、本当に解いていくのは登場人物すべてが抱えた深い闇。緊縛のシーン、あからさまな性描写が押し込められた自己の内面を解放させる手段としてこれでもかと繰り返される。 中村文則らしい読み手を取り込んでいくかのような物語。 ・・・・・・人生というものは、一体なんだろうね。 出る人出る人が皆どこか壊れていて、後半部で一人称となる刑事・葉山も虚無を知る男。読めば読むほど人間の昏い闇に吸い込まれ、自分が普通に信じているものが根底から覆るような怖さ。 中村文則の文学の引きずり込む力にどうにか抗って、こちら側に戻って来れたことに安堵。
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くさぐさのいきさつはあれど、詰まるところ桐田が吉川を殺めたわけね。冒頭で富樫が察したとおりながらも、緊縛の加虐者と被虐者が逆だったわけだ。なんかこう、生きるうえで思考の及ばぬ靄ってのか闇みたいなのを享受したかったものの、叶わず。神道に限らず密教、陰陽道による呪術ならばすこぶる興味があるけれど、ま、そういうことではなかった。趣味が違いました。
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