目まいのする散歩 の商品レビュー
鷹揚とした風貌が武田泰淳という名前に合致していて、それだけで「大人」であるなと仰ぎ見ていた作家である。単行本で出版されたころに買い求めて一度読んだ。あっという間に彼より長く生きてしまい、文庫本になったこの本を再度読んでみた。今回も天女のような妻百合子さん、娘花子さんのエピソードが...
鷹揚とした風貌が武田泰淳という名前に合致していて、それだけで「大人」であるなと仰ぎ見ていた作家である。単行本で出版されたころに買い求めて一度読んだ。あっという間に彼より長く生きてしまい、文庫本になったこの本を再度読んでみた。今回も天女のような妻百合子さん、娘花子さんのエピソードが印象に残った。この本をきっかけに百合子さんの富士日記を読んでみたことも思い出される。巻末の「地球上には、安全を保障された散歩など、どこにもない。ただ、安全そうな場所へ、安全らしき場所からふらふらと足を運ぶにすぎない。」との一節にその通りと膝を打つ思いがする。
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歩を進めれば、現在と過去の記憶が響きあい、新たな記憶が甦る……。野間文芸賞受賞作。巻末エッセイ「丈夫な女房はありがたい」などを収めた増補新版。
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新版。 散歩をテーマにしたエッセイ。日常の散歩も魅力的だが、ソビエトに旅行した時のものが良かった……というか、当時を外国人の目から見た貴重な資料でもあると思う。
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