中国経済講義 の商品レビュー
無関心ではいられない中国経済の動向をネタに、経済学の様々な道具を紹介しつつ使ってみせる。経済学初学者のための良書だと思う。デット・デフレーション、リフレ政策、金融政策・通貨価値・対外資本取引のトリレンマ、資本の過剰蓄積、ユーロ圏の罠、ルイスの転換点、ゾンビ企業、深圳のエコシステム...
無関心ではいられない中国経済の動向をネタに、経済学の様々な道具を紹介しつつ使ってみせる。経済学初学者のための良書だと思う。デット・デフレーション、リフレ政策、金融政策・通貨価値・対外資本取引のトリレンマ、資本の過剰蓄積、ユーロ圏の罠、ルイスの転換点、ゾンビ企業、深圳のエコシステム(産業生態系)、囚人のジレンマと報復・評判・分断、アリババの仲介システム、ハイエクの自生的秩序、等々の概念が具体的な事例に即して語られており勉強になった。また中国政府の様々な経済政策の変遷を、それぞれコンパクトにまとめて説明してくれているのもありがたい。中国経済にについてよりフラットな見方ができるようになった気がする。
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中国経済について興味を持っている人であれば断片的には聞いたことがあるであろう情報を一冊にまとめたという感じで、大学の授業でいうと理論的に整理された学問を学ぶというよりは、教養段階として様々なトピックを学ぶと行った趣の一冊。 「中国すごい論」を語る人も、「中国ダメ論」を嘯く人も、どちらも本書を読むことはないだろうけど、そういった人たちこそ本書を読むべきであるし、本書を正しく理解できた人はそういった両極端な意見を冷静にやり過ごすことができるようになるだろう。
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現代中国経済の概観。標準的な解説で安心感はあるがやや面白みにかけた。地方財政の問題、融資平台と呼ばれるシャドーバンキングを通じた地方政府の資金調達方法は知らなかったので勉強になった。 時折、経済学の基本概念を解説している。教科書としても使いたいのだろうか、解説が少し冗長になってい...
現代中国経済の概観。標準的な解説で安心感はあるがやや面白みにかけた。地方財政の問題、融資平台と呼ばれるシャドーバンキングを通じた地方政府の資金調達方法は知らなかったので勉強になった。 時折、経済学の基本概念を解説している。教科書としても使いたいのだろうか、解説が少し冗長になっている。
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序章 中国の経済統計は信頼できるか 第1章 金融リスクを乗り越えられるか 第2章 不動産バブルを止められるのか 第3章 経済格差のゆくえ 第4章 農民工はどこへ行くのか―知られざる中国の労働問題 第5章 国有企業改革のゆくえ―「ゾンビ企業」は淘汰されるのか 第6章 共産党体制での...
序章 中国の経済統計は信頼できるか 第1章 金融リスクを乗り越えられるか 第2章 不動産バブルを止められるのか 第3章 経済格差のゆくえ 第4章 農民工はどこへ行くのか―知られざる中国の労働問題 第5章 国有企業改革のゆくえ―「ゾンビ企業」は淘汰されるのか 第6章 共産党体制での成長は持続可能か―制度とイノベーション 終章 国際社会のなかの中国と日中経済関係 著者:梶谷懐(1970-、大阪府、経済学)
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たくさんの中国に関する本を読んできているが、よくまとまっており読みやすく読了した。中国の経済統計は信頼できるか?不動産バブルを止められるのか?経済格差の行方?農民工はどこへ行くのか?ルイスの転換点を迎えたか?共産党体制での成長は持続可能か?イノベーションをもたらす新鮮のエコシステ...
たくさんの中国に関する本を読んできているが、よくまとまっており読みやすく読了した。中国の経済統計は信頼できるか?不動産バブルを止められるのか?経済格差の行方?農民工はどこへ行くのか?ルイスの転換点を迎えたか?共産党体制での成長は持続可能か?イノベーションをもたらす新鮮のエコシステム?権威的な政府と活発な民間経済の共犯関係、チャイナリスクをどう考えるか?言論の自由が抑圧される権威主義的体制の下では、自由な発想に基づくイノベーションもまた持続的なものになりえない、という常識をが問われている。
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脅威論から崩壊論まで評価の分かれる中国経済。経済統計の信頼性、不動産バブルの実態など、直面する課題を分析し、真の実力に迫る。
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中国経済に対しては著者のスタンスによって脅威論から崩壊論まで大きく論調が分かれますが、この本は「中国の経済統計は信頼できるか」「不動産バブルを止められるか」「人民元の国際化は経済にどんな影響を及ぼすのか」「共産党体制での成長は持続可能か」など、近年の中国経済が直面しているいくつか...
中国経済に対しては著者のスタンスによって脅威論から崩壊論まで大きく論調が分かれますが、この本は「中国の経済統計は信頼できるか」「不動産バブルを止められるか」「人民元の国際化は経済にどんな影響を及ぼすのか」「共産党体制での成長は持続可能か」など、近年の中国経済が直面しているいくつかの重要な課題について、経済学の標準的な理論とそれを前提とした実証研究の結果を踏まえてできるだけニュ一卜ラルに分析しています。 続きはこちら↓ https://flying-bookjunkie.blogspot.com/2019/01/blog-post_30.html Amazon↓ https://amzn.to/2sKTn9r
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これは良書。先人の実績も参考にしながら、的確な切り口で現在の中国を切り取っています。中国は相当歪んだ国ではあるけれど、多様で柔軟であることが感じられます。中国ビジネス関係者にとっても役に立つ本ではないでしょうか。
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日経の書評は★★★★★。媚びるわけではありませんが、私もそう思いました。 本書は近年の中国経済が直面しているいくつかの重要な課題について、「経済学の標準的な理論と、それを前提とした近年の実証研究の結果を踏まえながら」分析を行なっています。 例えば、中国の経済格差の問題については...
日経の書評は★★★★★。媚びるわけではありませんが、私もそう思いました。 本書は近年の中国経済が直面しているいくつかの重要な課題について、「経済学の標準的な理論と、それを前提とした近年の実証研究の結果を踏まえながら」分析を行なっています。 例えば、中国の経済格差の問題については、まず中国国家統計局が発表したジニ係数の推移を紹介し、「2008年にピークを迎え、その後やや縮小に向かうというトレンドは正しい」と推論します。その背景として農家所得の上昇と、それに伴う、都市における非熟練労働者の減少をデータを示しながら明らかにしてゆきます。すなわち、事実認識を読者に提供したデータ、経済理論をベースに確固たるものとして、その上で中国経済の行先を推理、分析するという手法です。したがい、大変フェアで分かりやすい本ということになります。 ところが、決して読みやすい本ではありません。ジニ係数に現れない資産保有の分析について著者はピケティの「21世紀の資本」と同じロジックでの説明を行なっています。このあたりの理論は面白く、読み応えはありますが、1回読んだだけでは、正直言って理解できませんでした。ただ、理解できた後の爽快感はあります。 デッドデフレーション、ルイスの転換点、ハウスホールドモデル、囚人のジレンマ、ハイエクの自主的秩序、パクリ経済などなど、聞きなれない経済用語も目白押し。なかなか手強い硬派な本と思いました。 本書が書かれたのは、2018年7月。ペンス副大統領の中国批判演説の前ですが、著者の梶谷懐さんが、本書はナショナリズムや安全保障上の問題はカバーしていないと明記している通り、本書は中国経済に特化しています。したがい、ペンス氏の演説前に書かれた本であっても理論は同一と思います。 また各章に参考文献がリスト化されていて、資料としての価値も十分です。読破するかしないかは別にして、この本が880円で買えるなら、買わない手はありません。
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20190109〜0124 中国経済の現状と今後の見通しについて、オーソドックスに分析し平易に解説している良書だと思う。中国については、感情的な見方によって大分左右されるから、こう言う冷静な見方は貴重。欲を言えば政治情勢や国内における思想、民族宗教的統制の現状も踏まえて欲しかった...
20190109〜0124 中国経済の現状と今後の見通しについて、オーソドックスに分析し平易に解説している良書だと思う。中国については、感情的な見方によって大分左右されるから、こう言う冷静な見方は貴重。欲を言えば政治情勢や国内における思想、民族宗教的統制の現状も踏まえて欲しかったが、それは本書の守備範囲を超えるものなのだろう。
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