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世界の語り方(1) の商品レビュー

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2024/05/16

本書は東京大学エグゼクティブ・マネジメントに関連して、様々な領域の先生による2つの対談を中心にした書籍です。テーマは「心の語り方」「存在の語り方」ということで、「語り方」と強調されていることから想像できるように、哲学的な視点から問いを立てて、それに宗教学や脳科学、量子物理学などの...

本書は東京大学エグゼクティブ・マネジメントに関連して、様々な領域の先生による2つの対談を中心にした書籍です。テーマは「心の語り方」「存在の語り方」ということで、「語り方」と強調されていることから想像できるように、哲学的な視点から問いを立てて、それに宗教学や脳科学、量子物理学などの先生方が議論をしています。 まず面白かった点から言うと、特に「理系」の先生方が、素人にも分かる形で最先端の研究成果を紹介してくれていること。脳科学や量子力学の入門書的な特徴もあって、それを心や存在といった概念に紐づけているのはとても興味深かったです。 他方、これは良し悪しではなく好き嫌いの問題だと思いますが、「語り」が強調され過ぎて、私は途中から胃もたれしてしまいました。例えるなら肉ばかり食べさせられているような感覚です(もちろんとても質の高いシャトーブリアンのような高級肉だと思いますが)。哲学を入り口とした本ですからしょうがないのかもしれませんが、あまりにも「言葉」偏重主義ではないでしょうか。そうではなく、美術史の先生あたりも入れて、「心の感じ方」「存在の感じ方」を示しているような絵画をじっと鑑賞する(最低限の解説のみで)というアプローチのほうが私は楽しめるかも、と本書を読んで「感じ」ました。 LLM(大規模言語モデル)という言語エンジンで成長している生成AIの実情を見るにつれ、これからの人間は感情、感じ方のトレーニングもすごく重要なのではないかと個人的には思っています。

Posted byブクログ