映画はおそろしい 新装版 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
大変に面白い内容でした。 めちゃくちゃざっくり言うと、映画監督、黒沢清氏のエッセイ集なんですが、映画の話題がメインなんですが、それ以外の話も色々と載ってます。「映画はおそろしい」が、それでもやっぱり「映画はおもしろい」ですし、それこそ黒沢さん、あんた自身が「おそろしい」し「おもしろい」ですよ、って言いたくなった。いやはや、お見事でした。 黒沢清氏自身が映画監督なんですが、その映画監督が、まあまあ、他の映画監督の作品を「あの作品は全然おもろなかったね」とか「アレはマジで期待外れ」とか、まあまあ辛辣に言ったりしてるんですよ。そこにまずビビった。「え?そこまで言っちゃいますか?」って感じで。 まずもって、同じジャンルで商売している人の作品に対して容赦なく忖度なしで感想を言う、という姿勢。それって、よっぽど自分自身に自信がないと、んなこと言えないでしょ、普通。 そして、他者に忖度なしで発言するというその言葉は、他者が黒沢さんに対して語る時に。その忖度のなさは、容赦なく自身に返ってくることもあり得るだろうに。 その覚悟をキッチリと持ったうえで、言うことはいいます、というその覚悟。この、波風立てることを恐れない姿勢。憧れます。 で、確かに黒沢さん、他の映画に容赦なくダメだししたりしてるんですが、それがねえ、なんか、イヤな言い方じゃないんですよね。そこがお見事だな、ってね、思いましたね。文章が、イヤっぽくないんですよ。堅苦しさとユーモアの絶妙な融合、ってな感じというか。「え?黒沢さん、めっちゃ文章上手くね?スゲエなあ、、、」って、感心しながら読んでました。ホンマ、良い文章なんですよ。大尊敬。 ちょうど、ファミコンからスーパーファミコンに移行する時期らへんの、ゲーム批評とかゲーム体験記とか、面白かったですねえ~。「ドラクエⅡ」のリアルタイム体験!まさに分かる!って感じ。あと「ポピュラス」とか、「シムシティ」とか笑。ナツい。ナツすぎる。僕もあのあたり、リアルタイムで楽しんでた派なので、これまた気持ちが分かりすぎる笑。 いやしかし、ホンマに文章が面白い。ココがまず、やっぱ感動。映画監督としてもあんだけ凄いのに、文章家としてもココまで見事なもんかね?というね、その驚きが、とてもグッドでした。黒沢監督の映画、また色々と観たくなったなあ~。いやあ、素晴らしい映画監督ですよね。
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