七月に流れる花 の商品レビュー
季節外れの転校生は、呼ばれると必ず行かなければならない林間学校「夏の城」に招待された。 古城で5人の少女たちの共同生活が始まる。 「7月に流れる花」が少女サイドで、「8月は冷たい城」が少年サイドの話なので、両方読んでしまうと、そういうことなのね、って思うのだけど、とにかく...
季節外れの転校生は、呼ばれると必ず行かなければならない林間学校「夏の城」に招待された。 古城で5人の少女たちの共同生活が始まる。 「7月に流れる花」が少女サイドで、「8月は冷たい城」が少年サイドの話なので、両方読んでしまうと、そういうことなのね、って思うのだけど、とにかく謎が多い。 転校生であるという条件というか立場が、これほど歯がゆいとは。 それにしても、何もかも内緒にしなくてもいいんじゃないかと思うんだけどね。 もう、何をどう書いてもネタバレそうになりそうなので、あれなんだけど、ようするに、様々な選択肢をつきつけられる物語なのだと思う。 必ず行かなければならないとしても、やはり選択したのは彼女なのだ。 そして、彼女は<知る>ことを選んだ。 ようするにそういう話。
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いきなりでてきた設定にぎょっとしたものの、こんな不思議な物語なのだからそのくらいの唐突さがちょうどいいかもしれない。 引き込まれた世界観から急に現実にに繋がっていく感覚が楽しかった。 ちょっと分からないことがあるので次作も読んでみようと思う
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ページ数は多くないのに見事な恩田ワールド。 面白かった。 七月の夏休み、ミチルは全身緑色の「夏の人」に「夏の城」へ招待される。 そこで同様に招待された五人の少女達との生活。 淋しくも哀しい夏の城の正体とはー。 最後に明かされた秘密に、そういうことかと衝撃と納得。
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よくわからないまま始まった物語がよくわからないまま終わってしまった、という印象。ただやはり雰囲気は好みなんだよ…。大枠で言えばちょっぴりホラーで、幻想より。 転校生のミチルに何も言わないまま、謎のみどりおとこに連れられ林間学校へ…ってミチルからしたらたまったものではない。理由を...
よくわからないまま始まった物語がよくわからないまま終わってしまった、という印象。ただやはり雰囲気は好みなんだよ…。大枠で言えばちょっぴりホラーで、幻想より。 転校生のミチルに何も言わないまま、謎のみどりおとこに連れられ林間学校へ…ってミチルからしたらたまったものではない。理由を伏せてるのは物語上仕方ないのかもしれないが、納得はしづらい。 土塀の向こうでは何が起きていたのか、が8月の方で描かれるのかな。そちらも読んでみないと。 ところでみどりおとこって服着てないと思ってたのでシュールになったり…。
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夏流(かなし)に転校してきたミチル。 転校が六月という中途半端な時期だったのと内向的な性格のため、友達が出来ないまま夏休みを迎えたが、彼女のもとに奇妙な「林間学校」への招待状が届く。 呼ばれた子どもは必ず行かなければならないという夏の城で、ミチルと5人の少女たちは不思議な夏休みを...
夏流(かなし)に転校してきたミチル。 転校が六月という中途半端な時期だったのと内向的な性格のため、友達が出来ないまま夏休みを迎えたが、彼女のもとに奇妙な「林間学校」への招待状が届く。 呼ばれた子どもは必ず行かなければならないという夏の城で、ミチルと5人の少女たちは不思議な夏休みを過ごすことになる…。 講談社のミステリーランドシリーズの配本なので子ども向けの小説ですが、往年の恩田陸の味付けがなされた、ザ・恩田ワールドなお話でした。 物語を包むノスタルジックで不穏な空気、謎を煽りまくる思わせぶりな演出、静謐で賢い主人公が直面する物悲しい真実。 まさに「恩田さんのいつものやつ」、久しぶりに読んだ気がするわ~! 作品の冒頭、全身緑色の謎の「みどりおとこ」が現れ主人公に迫るところから物語はスタートします。 夏の城に集められた少女たちは、水路に流れる花を観察し記録する、鐘が3回鳴ったらお地蔵様の所に集まる、などの妙なルールを課せられ、隔離された共同生活を送ることになります。 何も知らされていないミチルと同じ視線で読者は物語を進んでいくので、ミチルの不安が直に伝わってきてドキドキさせられました。 稲穂の海の中で停まった列車から飛び降りる場面や水路に流れる花の情景が醸し出す美しくも儚い雰囲気がより物語を謎めいた混乱に導き、最後はどうなるんだろうとページを繰る手が止まりませんでした。 ラストは、子どもには容赦が無くシニカルな方向へ。 何かを失ったけど、同時に何かを得た少女たちの姿が清廉で切ない、印象的なラストでした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
何も説明されないまま連れてこられた林間学校、奇妙な「夏の人」の存在、流れてくる花を数える仕事、3回鐘が鳴ったときにはお地蔵さんの所へ行かなくてはならない義務...現実離れした描写とシチュエーションからてっきりリドル・ストーリー系かなと思っていたが、ラストにかけてキチンと折りたたんでくれた。この辺はベストセラー作家としての実力を感じる。初めの方は情報量が少ないこともあり「こんなもんかな」と読み進めていたが、予想だにしない展開になったこともあり読後感はかなり切なかった。夏になったらもう一度読み返したい。それにしても亜季代ちゃんしんどいとてもしんどい。
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恩田陸の描く青春ファンタジー。小品ながら恩田陸カラーに溢れ楽しく読めた。同じ時期に同じ所を別の子どもの視点で描いた姉妹作『八月は冷たい城』も読んでみたい。
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夏流(かなし)という城下町に転校してきたミチルは終業式の日に全身緑色の「みどりおとこ」に追いかけられる。やっと逃れたと思って、気がつくとカバンには夏の城での林間学校への招待状が突っ込まれていた。その夏の城-夏流城に集まったのはミチルと年の近い少女6人。この林間学校は誰がなんのため...
夏流(かなし)という城下町に転校してきたミチルは終業式の日に全身緑色の「みどりおとこ」に追いかけられる。やっと逃れたと思って、気がつくとカバンには夏の城での林間学校への招待状が突っ込まれていた。その夏の城-夏流城に集まったのはミチルと年の近い少女6人。この林間学校は誰がなんのために開いているのかも、ここに集められてきた少女たちが何故に選ばれたのかも、ミチルには何一つわからないまま、奇妙な夏の日常が始まっていく。 恩田陸さんらしい物語。閉ざされた環境の中で主人公がわけもわからず学校生活を送るという点で『麦の海に沈む果実』と雰囲気が少し似ているかも。謎めいて、どこか切なくて、そこはかとなく美しくて。だけどあれよりはすごく短くてちょっと物足りないような気も…。続編があるなら読みます。
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恩田陸さんのファンタジーっぽい物語大好きで、本屋さんで見かけて即買いです。 比較的短い物語ですぐ読めました。 静かな世界観です。もう一度じっくり読んでみます。
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6月に夏流に転校してきたミチル。中途半端な時期の転校なのでなかなか友達を見つけられず。そんな中、ある鏡を見ていたら、中の世界に「みどりおとこ」を見つけた。実際の世界でも逃げだすが、クラスの子に会い、安全を確認する。しかし、呼ばれた子どもは必ず行かなければならないという夏の城―夏流...
6月に夏流に転校してきたミチル。中途半端な時期の転校なのでなかなか友達を見つけられず。そんな中、ある鏡を見ていたら、中の世界に「みどりおとこ」を見つけた。実際の世界でも逃げだすが、クラスの子に会い、安全を確認する。しかし、呼ばれた子どもは必ず行かなければならないという夏の城―夏流城での林間学校への招待状が鞄に残されていた。謎だらけの城で参加した六人とともに暮らすが、ここにも不思議があり…。 異国のような世界、恩田さんはこういう不思議さを出すのがうまいなあと思う。そして、「みどりおとこ」とか花の謎、すっと引き込まれました。その世界に自然に浸れた。短いし気軽に楽しめた。『8月は〜』も続けて読みたい。
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