ニホンオオカミの最後 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
著者の出身地である岩手を中心に、ニホンオオカミの生態から近代の記録、絶滅までを語る。 江戸時代の引用文も口語体で読みやすく、当時の情景がリアルに想像できる。 著者が実際に足を運んで取材した狼酒やアンダーソンの狼の剥製について書かれた部分は、興奮がよく伝わってくる。(写真付き) 狼といえばハスキーのような精悍な獣を想像するが、犬と骨格を比較すると、意外にもニホンオオカミの額の凹凸はなだらかだったようだ。 一般に、大型犬より小型犬は寿命が長いことが知られているが、 生態について書かれた4章(70頁)では、 大型のハイイロオオカミより小型のニホンオオカミの方が寿命が短いのではないかとある。 なぜだろうか。理由までは書かれていないのが残念だ。 江戸時代の岩手、秋田、青森、長野、石川では、生類憐れみの令や農地開発の影響のためか、狼が人を襲う事件が多発。 被害者の所在や名、年齢まで記録されている。 アメリカのハイイロオオカミは牛を襲った記録はあるが、それより小柄なはずのニホンオオカミが人を襲った。 人や家畜を襲う狼の被害が絶えず、狼を狩ると褒賞が出るようになった明治の記録が残されていた。 その足跡を辿る旅が本書の多くを占める。 初版248頁オオカ「ミ」脱字。最後の最後におしい。
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借りたもの。 絶滅したニホンオオカミとは何だったのか?なぜ絶滅したのか……記録映像も残っていないその姿、その最後を追うルポルタージュ。 もはや物語の中にしかその姿を見出せない、想像をかき立てる存在となってしまったオオカミ。とくに東北――遠野物語――に残るオオカミの話に基づいて、そ...
借りたもの。 絶滅したニホンオオカミとは何だったのか?なぜ絶滅したのか……記録映像も残っていないその姿、その最後を追うルポルタージュ。 もはや物語の中にしかその姿を見出せない、想像をかき立てる存在となってしまったオオカミ。とくに東北――遠野物語――に残るオオカミの話に基づいて、その生態や民間信仰などを取材してゆく。 文書記録と現存するオオカミの生態と照らし合わせながら、それらを紐解いてゆく。 冒頭から秘薬・狼酒の存在や、ニホンオオカミのはく製は世界にたった3体しか現存しないこと(しかも造りがイマイチ)、その生態について分かっていることが少ないことが示される。 『遠野物語』だけでなく、東北の記録から、狼害(家畜だけでなく、子供も襲われていた)、狼狩りが行われていたことがわかる。 そして明治になり、近代化に伴う開墾の影響で、餌となる野生動物が数を減らしたこと、狼狩りもさかんに行われていたこと(賞金が出た)が記録から裏付けられる。 肉は食用、毛皮も使える……乱獲だった。 ニホンオオカミの生態からも、一匹狼では長く生きられないこと、急激な数の現象は、血のつながるオオカミだけになると子供が生まれにくくなるので、さらに拍車をかけた。さらに西洋の猟犬からジステンパーが持ち込まれ、急速に数を減らし、明治四十年代に姿を消したのではないかとする。 生態系や環境問題への検討がされていなかった時代の悲劇と言ってしまえばそこまでだが……かくもあっけなかったのか。 最後に、狼が遺してくれた頭骨のDNA鑑定から、ニホンオオカミがタイリクオオカミの亜種であることが判明する。 もはやその姿を想像するしかない存在に、畏敬の念と一抹の哀愁を感じる。
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滅びゆくものにはロマンがある。 ニホンオオカミが明治の世には絶滅したのは多くの人が知っているだろう。 筆者は岩手県の中でオオカミが懸賞をかけられ滅んでいくさまを丁寧に発掘している。 もちろん習俗や生態にも触れていて、江戸から明治にかけての岩手の様子にも興味を惹かれるものがある...
滅びゆくものにはロマンがある。 ニホンオオカミが明治の世には絶滅したのは多くの人が知っているだろう。 筆者は岩手県の中でオオカミが懸賞をかけられ滅んでいくさまを丁寧に発掘している。 もちろん習俗や生態にも触れていて、江戸から明治にかけての岩手の様子にも興味を惹かれるものがある。 基本あくまでも岩手の中で取材なので、ニホンオオカミの最後との題名には若干違和感を覚える。可能ならば、日本全国で取材をして、その最後を詳らかにしてほしい。 三峰信仰は関東地方にもあるので、その昔オオカミは日本全国どこにでもいたのだろう。かなわぬこととは言え本物に会ってみたい。
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かつて岩手県周辺に棲んでいたニホンオオカミにまつわる風習や生態、その最後がどのようなものだったのかを描いた一冊。ニホンオオカミの魅力に取りつかれた書き手の熱が感じられる。きっとこの人のライフワークの集大成なんだろう。 おおまかな絶滅の経緯は、開墾により鹿などが減少したため飢えた...
かつて岩手県周辺に棲んでいたニホンオオカミにまつわる風習や生態、その最後がどのようなものだったのかを描いた一冊。ニホンオオカミの魅力に取りつかれた書き手の熱が感じられる。きっとこの人のライフワークの集大成なんだろう。 おおまかな絶滅の経緯は、開墾により鹿などが減少したため飢えたオオカミが家畜を襲い、人との軋轢が高まったために懸賞金を付けた殺戮対象となって虐殺された、といったところだろうか。 読み物としては狼にまつわる風習や人との関わり、生態を描いた前半部分のほうがおもしろく、読みやすかった。この人はニホンオオカミの標本があれば世界中どこへでも見に行くに違いない。それにしても、人間の子供が食われた記録が結構あることに驚いた。鹿が増え過ぎたから外国のオオカミを放ったらどうか?なんて議論を耳にしたことがあるけど、ここに描かれた凶暴さを見ると無謀としか思えない。 後半では明治時代の捕獲記録を一件ずつ挙げてコメントしているけど、簡潔にまとめて書いても良かったのではないか。しかし、一例ずつ現地に赴いて土地の様子を調べて、捕った人の子孫から捕獲当時の話を聞きだす執念は相当なものだと思う。
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岩手に生息していたニホンオオカミの痕跡を辿る物語。ところどころ作者の推測が入り混じるが、公文書や集落での長老への聞き取りなど地道な調査には頭が下がる。今も各地に残る地名や祭り、道端の苔むした石碑などからも狼が人間にとってどういう存在だったかが浮かび上がってきた。誤字脱字が多いのが...
岩手に生息していたニホンオオカミの痕跡を辿る物語。ところどころ作者の推測が入り混じるが、公文書や集落での長老への聞き取りなど地道な調査には頭が下がる。今も各地に残る地名や祭り、道端の苔むした石碑などからも狼が人間にとってどういう存在だったかが浮かび上がってきた。誤字脱字が多いのが少し残念。 シートン動物記の狼王ロボをもう一度読みたくなった。
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