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ザ・ワンダラー の商品レビュー

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2019/03/27

俵万智さんによる若山牧水の評伝「牧水の恋」では牧水の恋の顔を徹底的に追い、それに対しこちらは「濡草鞋者」に拘った評伝になります。 濡草鞋者と云う言葉自体が???と云う所ですが、牧水自身が自分の生い立ちを語る上でそう云う表現を使っており、所謂渡世人とか、旅中毒と云うか、まあそんな感...

俵万智さんによる若山牧水の評伝「牧水の恋」では牧水の恋の顔を徹底的に追い、それに対しこちらは「濡草鞋者」に拘った評伝になります。 濡草鞋者と云う言葉自体が???と云う所ですが、牧水自身が自分の生い立ちを語る上でそう云う表現を使っており、所謂渡世人とか、旅中毒と云うか、まあそんな感じの表現で云い替えても良いのかな…?牧水の、酒と旅(と云うか自然)浸りの顔を追った評伝です。 正津勉さんの独断マイペース語り口がダメな人には全くダメな一冊ですが、非常に個性的で切り口に拘る筆致が好きな人にはお勧めです。私は後者なので、正津節が飛び出すとニヤニヤしてしまいました。 歌の解釈が若干「云わんでもわかるよね?」的な部分が多いのが、あまり短歌に明るく無い私のような人間には物足りなかったです。 最後に挙げていた「空想と願望」が、著者の仰る通り牧水の生き様、そしてこの本の語る所を凝縮していて、読了後もしみじみと噛みしめてしまいました。ああ、今日もビールを冷やしておこう…

Posted byブクログ