文明の奥と底 の商品レビュー
『千夜千冊エディション 文明の奥と底』 松岡正剛 2018年 角川ソフィア文庫 遠い昔の、文明と奥と底に隠された 『世の初めから隠されていること』とは何か? 「犠牲」と「強奪」そして「殺戮」。 グローバリズム、飢餓と肥満とWTOの凶行を暴く 千夜千冊エディション。 第一章では...
『千夜千冊エディション 文明の奥と底』 松岡正剛 2018年 角川ソフィア文庫 遠い昔の、文明と奥と底に隠された 『世の初めから隠されていること』とは何か? 「犠牲」と「強奪」そして「殺戮」。 グローバリズム、飢餓と肥満とWTOの凶行を暴く 千夜千冊エディション。 第一章では、 『モーセと一神教』『ユダヤ人とは誰か』『アンチキリスト』 『ユダヤ国家のパレスチナ人』などを取り上げ、 今なお複雑な問題を抱える イスラエルとパレスチナ間の紛争に至るまでの 世界の混乱と欺瞞を読み解いていく。 第二章では、 旧約聖書『ヨブ記』からはじまり、 本書のキーブックとも言える ルネ・ジラール『世の初めから隠されていること』で、 歴史の最初から「犠牲」と「強奪」「暴力」で 始まっていたこと、 それを隠し正当性をかぶせ、 そこに市場と国家、制覇と戦争を 組みあげたことを暴く。 そしてヒトラーのナチスにも 多大な影響を与えた『アーリア神話』、 20世紀初頭に世界に湧きあがった 黄色人種差別について綴られた 『黄禍論とは何か』を取りあげる。 第三章では、 東洋文明の奥へと入り込み、 長江文明の動向から中国大陸の歴史へと 進んでいく。 最終章となる第四章では、 現代におけるグローバリゼーションに焦点を当て、 その問題を浮き彫りにする。 ナヤン・チャンダ『グローバリゼーション』にはじまり、「ゼロ年代の50冊」1位に輝いた ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』、 コンラッド・ローレンツ『鏡の背面』、 そしてWTO(世界貿易機関)の凶行を暴いた ラジ・パテル『肥満と飢餓』を 本書の結びとしている。 文明はその歴史のはじまりから 己の正当性を主張し、美化してきた。 そしてそれに不要なものを奥と底に隠してきたのだ。 そしてその後も文明が権力や資本や技術によって 矛盾を持つようになる。 それは今でも続いている。 いつの日かこれらが白日の元に 晒される日が来るだろう。 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈ ⚫︎目次情報⚫︎ 前口上 第一章 文明と民族のあいだ ジークムント・フロイト『モーセと一神教』 アーサー・ケストラー『ユダヤ人とは誰か』 ノーマン・コーン『千年王国の追求』 バーナード・マッギン『アンチキリスト』 アモス・エロン『エルサレム』 デイヴィッド・グロスマン『ユダヤ国家のパレスチナ人』 第二章 聖書とアーリア主義 旧約聖書『ヨブ記』 ルネ・ジラール『世の初めから隠されていること』 レオン・ポリアコフ『アーリア神話』 ハインツ・ゴルヴィツァー『黄禍論とは何か』 マフディ・エルマンジュラ『第一次文明戦争』 エドワード・W・サイード『戦争とプロパガンダ』 第三章 東風的記憶 徐朝龍『長江文明の発見』 古賀登『四川と長江文明』 宮本一夫『神話から歴史へ』 林俊雄『スキタイと匈奴 遊牧の文明』 第四章 鏡の中の文明像 ナヤン・チャンダ『グローバリゼーション 人類5万年のドラマ』 ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』 フェルナン・ブローデル『物質文明・経済・資本主義』 オスヴァルト・シュペングラー『西洋の没落』 アーノルド・J・トインビー『現代が受けている挑戦』 コンラート・ローレンツ『鏡の背面』 ダニエル・ベル『資本主義の文化的矛盾』 サミュエル・ハンチントン『文明の衝突』 ラジ・パテル『肥満と飢餓』 追 伸 何が隠されてきたのか ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
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本書で紹介されているものは、古典的名著と大著が多いような気がする。自分で読むのはかなりキツそう。 それにしても正剛さんの読んだ本を関連づけて、アメーバが増殖するかの如く書物の伽藍を構築していく様は素晴らしい。 残念ながら今の自分には本の内容紹介すら理解するのがままならない。
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第1章 文明と民族のあいだ 895夜 ジグムント・フロイト 『モーセと一神教』 946夜 アーサー・ケストラー 『ユダヤ人とは誰か』 897夜 ノーマン・コーン 『千年王国の追求』 333夜 バーナード・マッギン 『アンチキリスト』 1630夜 アモス・エロン 『エルサレム』 ...
第1章 文明と民族のあいだ 895夜 ジグムント・フロイト 『モーセと一神教』 946夜 アーサー・ケストラー 『ユダヤ人とは誰か』 897夜 ノーマン・コーン 『千年王国の追求』 333夜 バーナード・マッギン 『アンチキリスト』 1630夜 アモス・エロン 『エルサレム』 398夜 デイヴィッド・グロスマン 『ユダヤ国家のパレスチナ人』 第2章 聖書とアーリア主義 487夜 旧約聖書 『ヨブ記』 492夜 ルネ・ジラール 『世の初めから隠されていること』 1422夜 レオン・ポリアコフ 『アーリア神話』 1423夜 ハインツ・ゴルヴィツァー 『黄禍論とは何か』 720夜 マフディ・エルマンジュラ 『第一次文明戦争』 902夜 エドワード・サイード 『戦争とプロパガンダ』 第3章 東風的記憶 331夜 徐朝龍 『長江文明の発見』 1452夜 古賀登 『四川と長江文明』 1450夜 宮本一夫 『神話から歴史へ』 1424夜 林俊雄 『スキタイと匈奴 遊牧の文明』 第4章 鏡の中の文明像 1360夜 ナヤン・チャンダ 『グローバリゼーション 人類5万年のドラマ』 1361夜 ジャレド・ダイアモンド 『銃・病原菌・鉄』 1363夜 フェルナン・ブローデル 『物質文明・経済・資本主義』 1024夜 オスヴァルト・シュペングラー 『西洋の没落』 705夜 アーノルド・トインビー 『現代が受けている挑戦』 172夜 コンラッド・ローレンツ 『鏡の背面』 475夜 ダニエル・ベル 『資本主義の文化的矛盾』 1083夜 サミュエル・ハンチントン 『文明の衝突』 1610夜 ラジ・パテル 『肥満と飢餓』
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ユダヤ人には2~3種類ある。スファラディは、スペインを意味するヘブライ語を語源とする。数度のディアスポラの後、イベリア半島に定住していたが、レコンキスタによって北アフリカ、オランダ、フランス南部に移動し、キリスト教と融合してマラーノと呼ばれた。アシュケナージはドイツを意味するヘブ...
ユダヤ人には2~3種類ある。スファラディは、スペインを意味するヘブライ語を語源とする。数度のディアスポラの後、イベリア半島に定住していたが、レコンキスタによって北アフリカ、オランダ、フランス南部に移動し、キリスト教と融合してマラーノと呼ばれた。アシュケナージはドイツを意味するヘブライ語を語源とする。東ヨーロッパでコミュニティを作っていたが、ロシアのポグロムやドイツのホロコーストによって迫害され、西ヨーロッパやアメリカに移住した。世界のユダヤ人の9割がアシュケナージだが、イスラエルにはスファラディとスファラディの流れをくむミズラヒが半分ずつ居住する。 コーカサス北部に勢力を拡大していたトルコ系のカザール人は、8世紀にユダヤ教に集団改宗し、カザール王国を成立させていたが、13世紀のモンゴル軍の侵攻によって滅亡した。カザール人は、東欧に移動してアシュケナージと呼ばれるようになったとケストラーは推測した。 ユダヤの民の歴史は、アブラハムが聞いた神との契約を結んだ者たちが、「約束の地」カナーンを求めてウルを旅立ったことに始まる。アブラハムの曽孫のヨセフの時代に移住したエジプトでは、アメンホテプ4世が一神教としてのアートン教を作っていた。アブラハムの後裔であるモーセは、エジプトを脱出してヤハウェによる一神教を奉じた。カナーンの地に入った民は200年ほどの間に12士族を整え、ダビデ、ソロモンの時代を迎える。ソロモン王が没すると北イスラエル王国とユダ王国に分裂し、北イスラエル王国はアッシリアに滅ぼされ、ユダ王国は新バビロニアによって滅亡され、バビロンに強制移住させられた(バビロンの捕囚)。新バビロニアがペルシア帝国に滅ぼされると、ユダヤ人の一部はエルサレムに帰還したが、大国によって次々に統轄され、ローマ帝国の時代に2度の戦争を起こした結果、エルサレムは破壊され、ユダヤの民はディアスポラを強いられた。 アメリカの大豆ビジネスは1930年代の大豆油の生産から始まり、1970年代初頭までに世界の生産量でトップを走った。ソ連が原油の増産で得た資金で小麦や大豆を買い込み始め、1972年に大規模なエルニーニョによる広範囲の干ばつによって大豆価格が高騰した。これを背景にして、ブラジルの大豆王ブライロ・マギーはプランテーションのために森林破壊を進め、それをアメリカのカーギル社などの食糧コングロマリットが支援した。コングロマリットは大豆粉末を家畜飼料に転換し、それによって支えられた家畜産業にマクドナルドなどの加工食品産業が依存した。今では世界の大豆の80%が畜産業によって消費されている。 ニクソンの時代には、農場票を集めるために高果糖コーンシロップを作る体制もつくられた。大手食品メーカーは次々にコーンシロップを採用したが、代謝の短絡の性質を持つため肥満を促進していった。次期大統領のフォードも、食品価格の低下を実現するためにパーム油を導入し、ファーストフードなどに使用されるようになった。
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<目次> 第1章 文明と民俗のあいだ 第2章 聖書とアーリア主義 第3章 東風的記憶 第4章 鏡の中の文明像 <内容> 松岡正剛氏の書評集の第何巻だろう?今回は、「文明論」である。重いのは第4章。現在のグローバリゼーションの功罪(罪の方が重いが…)を何冊か紹介している。...
<目次> 第1章 文明と民俗のあいだ 第2章 聖書とアーリア主義 第3章 東風的記憶 第4章 鏡の中の文明像 <内容> 松岡正剛氏の書評集の第何巻だろう?今回は、「文明論」である。重いのは第4章。現在のグローバリゼーションの功罪(罪の方が重いが…)を何冊か紹介している。「読まねば」と思うが、紹介文の中でも、2段組みで数百ページ、全4巻とか言われると、どうしても腰が引ける。また第1章のユダヤ民族の所も重い。世界史は「ユダヤ民族」に関わるところから発達したのだと思った。
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ブックナビゲーションサイトの記事がベース。文明と民族・聖書とアーリア主義・東風的記憶・鏡の中の文明像の4カテゴリで、古典的名著を中心に、関連本や各説、事件や歴史など多面的に文明を語る。 多くの人それぞれの立ち位置と見解を見事に整理し、描き出される多面的な状況がすごいです。なんて...
ブックナビゲーションサイトの記事がベース。文明と民族・聖書とアーリア主義・東風的記憶・鏡の中の文明像の4カテゴリで、古典的名著を中心に、関連本や各説、事件や歴史など多面的に文明を語る。 多くの人それぞれの立ち位置と見解を見事に整理し、描き出される多面的な状況がすごいです。なんて博識な。
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