ぼくは彼女のふりをする の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
読み始めた最初は、あまりにも重たい内容すぎてリタイアしようかと思った。 しかし、読み進めてゆく中に引き込まれていった。 様々なことを考えさせられた。 朝陽君のお母さんの哀しみが深いのは理解できるけれど、 ーこれはネグレクトではないか? と思っていたら、やはり真壁先生が育児放棄だと言った。 この世には物凄く残酷な運命だとしても、逃れようがないこともある。この物語りは、そういう人生や運命の逃れられないか哀しみを描いている。 これはフィクションだけど、きっと似たような話は現実として存在するに違いない。 そして、もう一つの真理は、この世には生きようとしても、生きたくても残酷な運命によって生きられない人もいる。そのことを、この物語りは教えてくれる。 朝陽君は、きっと理不尽にも突如として未来を奪われてしまった姉のひかりちゃんの分まで元気で幸せな人生を過ごすだろう。 ラストで立花君と予期せぬ再会を果たした朝陽君、この二人の関係がその後、どうなったのかが気になる。 ある日、突然、大切な人を奪われるという悲劇によって崩壊寸前になった家族。本書は、その再生をも描いた秀作である。
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