颶風の王 の商品レビュー
タイトルの力強さとあらすじを読んで馬の物語に惹かれ購入。 終始美しく厳しい自然と馬の息遣いを想起させる物語だった。
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直木賞作家。手元に未読の文庫が積読本の山の一番上にあったので読んでみた。 どうやらデビュー作らしいが、これが骨太の力強い作品で驚いた。およそ六代にわたる一族の歩みを中編の長さにギュッギュッと凝縮して描いている。 相当壮絶なお話なのだが、人と馬との関わりを必要以上に感傷的になら...
直木賞作家。手元に未読の文庫が積読本の山の一番上にあったので読んでみた。 どうやらデビュー作らしいが、これが骨太の力強い作品で驚いた。およそ六代にわたる一族の歩みを中編の長さにギュッギュッと凝縮して描いている。 相当壮絶なお話なのだが、人と馬との関わりを必要以上に感傷的にならないで描いているのが気持ちが良く、北海道の自然もまたよく描かれている。 エピソード的には最後のひかりの章が、少し弱い気もするし、中編でなく堂々たる大河小説に仕上がったもをの読んでみたい気もするが一気読みで至福の時を過ごせた。 また一人気になる作家ができた。
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生きるって大変だ。人間も馬も。気持ちが通じすぎると苦しい。通じないのも苦しい。 時間の流れがうまく書かれている小説で、歴史を全て見せられた気になる。三浦綾子文学賞、納得。
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6世代にわたる馬とヒトとの交感。馬が命をつなぎ、馬を生業にし、馬を見捨てた。捨造の運命は壮絶だ。運命なんて軽々しく口にはしたくないけれど。生かされたはずなのに、見捨てなければならなかった悔しさ辛さは物語の中とはいえ、目頭が熱くなる。そして三代後、かつて見捨てた馬が、もしかしたら生...
6世代にわたる馬とヒトとの交感。馬が命をつなぎ、馬を生業にし、馬を見捨てた。捨造の運命は壮絶だ。運命なんて軽々しく口にはしたくないけれど。生かされたはずなのに、見捨てなければならなかった悔しさ辛さは物語の中とはいえ、目頭が熱くなる。そして三代後、かつて見捨てた馬が、もしかしたら生きながらえているかもしれない。人のエゴ、自然の厳しさ、感情という感情が揺さぶられる。全体的に荒削りな印象はある。谷村志穂さんの海猫と対局にあるように思えた。
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人と馬との関係を主軸に 6世代(約120年)に渡って展開される生命の物語。 三浦綾子賞受賞も納得出来る、大自然と生命の荘厳さを感じる内容で、全編にわたり迫力のある文章と、誠実で真摯な物語がとても好感が持てました。 特に後半が面白い。感動的。 一撃でファンになりました。
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捨造の毋ミネと愛馬アオの逃亡の第1章はインパクトがあり、グッと物語に引き込まれる。第2章の捨造が北海道根室で馬を育て孫の和子に引き継がれたところでの花島の悲劇。第3章は和子の孫が花島に取り残されて生き抜いた最後の馬を訪ね、納得しての別れ。一族の歴史と馬への深い愛情が程よくミックスされ読み応えのある物語でした。
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馬とある一族の繋がりの話。福島と北海道の自然の風景が、浮かんできます。北海道の離島の少し冷たい空気と、そこに立つ馬、想像するだけで震わされました。
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明治、庄屋の娘が恋仲となった男の子供を妊娠する。 男が育てた馬(アオ)に乗って駆け落ちを敢行したが、男は村人に殺され、娘は雪崩に遭遇し、かろうじて木の根元に出来た隙間に入り込んで死を免れた。 アオによって生をつないだ娘(ミネ)はやがて男の子を生み、その子は捨造と名付けられる。 ミネから数世代、平成までの長い時代とアオの末裔に寄せる情を描いたもので、 羊の飼育を生業としている作者だからこそ書けた作品かもしれない。
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最近読んだ本の中で間違いなく自分にとっては一番。音読したくなるようなリズムのある文章 何度も反芻したくなる力強い味のある言葉の数々 とにかく良かった。どんなに頑張ってもオヨバヌトコロが厳然として在るのが自然界でそこが哀しくも美しい。読後感も爽やかで読んでよかった。
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捨造が一頭の馬を連れて東北から北海道に渡る。結婚して根室に住み、馬を飼い、孫たちと一緒に暮らすようになった。台風の時、貸し出していた馬が無人島のがけ崩れで帰れなくなりそのまま置き去りにされた。年月が経ち、全滅したと思っていた馬が子孫を残して一頭だけ生き残っていた。台地状の島で強く激しく吹く風の中に一頭だけ。
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