銀河の死なない子供たちへ(下) の商品レビュー
学習マンガリストから。ド嬢とは一線を画す、かなりシリアスな内容。登場回数は少ないけど、ママの存在感が大きくて、終盤までどう転ぶか分からない展開も面白い。学習って?って気もするけど、まあ生命とは、みたいなことかな。良い作品には違いない。
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死なないということを通すことによって 生きているということがよく見える。 などと、日ごろなら言わないようなことを 書きたくなる作品 絵柄も相まって非常に心地よい作品でした。
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「すっごくドキドキする」。なんてすごいセリフ。うつ病で長年苦しんできた自分はすごい衝撃を受けた。人間って、生命ってなんてすごい存在なんだろう。不死にとどまる決断の凄まじさも同時に考えてしまった。
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読んで良かった。 下巻、登場人物のそれぞれの思いや考え方が、胸に迫る。生きるとか死ぬとか、孤独とか、家族とか。絵もセリフもシンプルで、決して「すごく上手な絵」でも「胸を打つ衝撃的なセリフ」があるでもない。でも、だからこそ、しんみりじんわり、飾り気なく迫ってくるものがある。 死ぬか...
読んで良かった。 下巻、登場人物のそれぞれの思いや考え方が、胸に迫る。生きるとか死ぬとか、孤独とか、家族とか。絵もセリフもシンプルで、決して「すごく上手な絵」でも「胸を打つ衝撃的なセリフ」があるでもない。でも、だからこそ、しんみりじんわり、飾り気なく迫ってくるものがある。 死ぬからこそ、限りがあるからこそ、その意味を考えさせられる漫画だった。
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漫画における絵は文法だ。 作者の絵は確かに上手くはない。しかし漫画における絵の上手さとはデッサンが完璧かではなくいかに世界観に馴染んでいるかだ。 この絵でしか表現できない世界観が、視覚的に伝えられないメッセージがある。それらの要素と唯一無二の文法が噛み合った結果、素晴らしい作品が...
漫画における絵は文法だ。 作者の絵は確かに上手くはない。しかし漫画における絵の上手さとはデッサンが完璧かではなくいかに世界観に馴染んでいるかだ。 この絵でしか表現できない世界観が、視覚的に伝えられないメッセージがある。それらの要素と唯一無二の文法が噛み合った結果、素晴らしい作品が生まれるのではないか。 妙ちきりんなラップが好きなπと冷静沈着な学者肌のマッキ、子どもたちを優しく見守る謎多き母。 そんな三人が暮らす地球に産まれ落ちた人間の少女、ミラ。 童話的なタッチで語られる内容は、哲学や死生観への問い直しすらも孕み、何万年単位が一瞬で経過する壮大なスケールの時間軸が不思議な読み心地へ誘ってくれる。 下巻ではミラの死ぬまでの過程が丁寧に描かれるが、疑似家族の絆で結ばれた三人の心の交流にじんとする。 母であり父であり友達であるπとマッキに見守られ、死出の準備を整えるミラ。 そんなミラにかけたπの言葉、「ミラちゃんはとっても勇気があるね」には泣けてくる。 人間でいるかぎり、生物であるかぎり、死は必ず訪れる。命は有限であり、終わりは不可避だ。 死ぬことは本来生き物として自然な在り方であり、否応なく誰もが受け入れなけばならないことなのだが、それを「勇気がある」と言ってもらえ、なんだか私も救われる想いがした。 普段は皆目を背けているが、死ぬことはとても勇気がいることだ。できるなら避けて通りたい。 だからこそ近く訪れる死と真摯に向き合い、痛み苦しみ哀しみ塗れの現実を受け入れようと痩せ細った身体で頑張るミラは、その後ろにいる私達限りある命の存在は「勇気がある」のだ。 三人だけの閉じた世界にいたのなら永遠に気付かずともよかった真実に触れ、姉弟の心境にも変化が訪れる。 なぜミラがママの誘いを断ったのか自分なりに考えてみた。 きっと彼女は人間として終わりたかったのだ。人間は永遠を耐えられるようにはできてない。だから姉弟は人間であることを忘れてしまったのではないか。 たとえそれが壮絶な痛み苦しみ、救い難い哀しみを伴うのだとしても、自分の母がそう在ったように自然のうちに終わりたいと、愛し愛され幸せに生きた彼女は思ったのではないか。 無限に生きられるなら有限のサイクルで子孫を残す必要はない。故にセックスの必要はなく、妊娠・出産・育児とも無縁だ。 しかしミラと出会い、育む喜びと別れの哀しみを知ってしまったπとマッキは人の営みの本質に気付く。 姉弟には「今」しかない。 昨日と同じ今日、今日と同じ明日が続くなら、それは永遠に続く「今」を生きてるにすぎない。未来とは次代に希望を繋ぎ願いを託す、人間のみに許された特権なのだ。 死んだ過去だけが人生じゃない、生きてる今だけが人生じゃない、その先にある宇宙空間のような途方もない広がり、銀河にきらめく無数の星々のごとき可能性、それこそがかけがえない未来だ。 生命とは連綿と流れる時間の通過点にすぎないかもしれないが、死にゆくミラが二人の心に不可逆の変化を促したように、その点は線になり、ずっとずっと繋がっていくのだ。 銀河のはてまでも。 マッキ編で彼がとった行動は、母を愛していたからこそだ。 登場回数こそ少ないが、この物語におけるママは非常に印象的な存在だ。一人取り残されてきた彼女の壮絶な苦しみ、哀しみ、絶望を想像すると言葉もない。そんな彼女に寄り添おうとするのも愛なら、離れるのもまた愛だ。 πがあの行動を選んだのは、ミラが果たせなかった営みを継ごうとしたから。 自分が果たせなかった願いと想いを次世代へ継いで接ぐ、そのはてしないくり返しが未来へ至る人の営みだ。 いつの日か、何万何億年先か、πの子孫が浄化された地球に降り立つ日がくるかもしれない。そこで家族に再会し、またひとつになる未来を祈りたい。
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永遠に有りたいと願う。大切であればなおさら。 不変ならきっと生まれてこない感動、情動がある。 一瞬を切り取り写しとる。いまこの時を生きている。
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不死の体は人類の永遠の夢。 孤独と退屈が精神を苛むであろうことは容易に想像できる。 でも、死の直前に死か、永遠の命かと問われたら、潔く死を選べるだろうか? 死は美徳ではない。生命の唯一の使命は生き残ることだ。 まだ幼いミラの選択には違和感しかなかった。
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こう言う漫画を、世界を動かしているのは自分たちだと思っているお偉いであろう政治家に読ませたい。想像力を養えと言いたい。
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「死に怯える瞬間 生の価値が最大化する。どんな感情なんだろう?僕にはわからない」(下巻冒頭) 不老不死のπとマッキには,死というものがわからない。 いや,必ず死が訪れることを知りつつも,目の前のことで精一杯の私にも,死がどんなものなのかよく分かっていない。 時間が経つにつれ...
「死に怯える瞬間 生の価値が最大化する。どんな感情なんだろう?僕にはわからない」(下巻冒頭) 不老不死のπとマッキには,死というものがわからない。 いや,必ず死が訪れることを知りつつも,目の前のことで精一杯の私にも,死がどんなものなのかよく分かっていない。 時間が経つにつれてミラはどんどん成長し,一方でπとマッキはずっと子どものまま。 3.1415…と小数点以下無限に続く円周率と同じ,彼らの時間も永遠に続く。 命に限りあるミラとの生のコントラストが際立つラスト,彼らの命は亜光速で流れゆく。 その未来ある選択がとても,人間らしい。
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上巻ほどの衝撃ではなかったが、下巻は回収。 それも、閉じる終わりではなく大々的に開く終わり。 「海を越える」→「星の海を越える」このあたり、素敵だ。 施川先生の死生観たっぷり。
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