1,800円以上の注文で送料無料

伊四〇〇型潜水艦 最後の航跡(下巻) の商品レビュー

5

1件のお客様レビュー

  1. 5つ

    1

  2. 4つ

    0

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2019/07/31

戦後、アメリカを驚愕させた巨大潜水艦伊四〇〇型。本来の運用目的はパナマ運河の攻撃という遠大な戦略に基づくものでした。 しかし伊四〇〇型潜水艦が竣工したのは1944年の12月ごろ。戦局は悪化し、既に太平洋の制海権はほぼアメリカ軍の手中に落ちていました。無給油で太平洋を横断できる性能...

戦後、アメリカを驚愕させた巨大潜水艦伊四〇〇型。本来の運用目的はパナマ運河の攻撃という遠大な戦略に基づくものでした。 しかし伊四〇〇型潜水艦が竣工したのは1944年の12月ごろ。戦局は悪化し、既に太平洋の制海権はほぼアメリカ軍の手中に落ちていました。無給油で太平洋を横断できる性能を有しながら、燃料となる重油が確保できず、訓練をするにも日本近海に出没するようになったアメリカ海軍潜水艦のために満足な訓練もできない状況の下、本来の運用からは大きくゆがめられた運用が軍令部から命じられます。 搭載機の「晴嵐」を特攻機として搭載し、アメリカ海軍艦艇の集積地となっていた拠点への攻撃が命じられます。 伊四〇〇型潜水艦の最初で最後の出撃となった航海の記録を下巻では詳細に追っていきます。そして攻撃機を出撃させる直前に終戦を迎えました。 終戦後、作戦海域から日本へ帰投する間にアメリカ軍に投降し、そして詳細な調査のためにハワイ島真珠湾へ回航されるのが伊四〇〇型潜水艦の最後の航海となります。最期は重要な情報がソ連に漏れるのを恐れたアメリカ軍によってハワイ沖に沈められ、波乱に満ちた生涯を終えました。 2013年に海洋調査船によって沈没処理された伊四〇〇型潜水艦が発見されるシーンで本書は幕を閉じています。 とにかく筆者は史実に忠実に記録をたどることを目指しており、膨大な量の脚注と参考文献から、いかに本書が伊四〇〇型潜水艦の生涯を忠実にたどっているかが実感できます。

Posted byブクログ