経営参謀 の商品レビュー

稲田将人(著者)

2024/08/15

本書は、企業の再生や改革に挑む経営参謀の役割を描いたビジネス小説です。物語は、主人公の高山昇が低迷するブランドの立て直しを依頼されるところから展開し、彼が周囲の反発や困難に立ち向かいながらも、マーケットを正確に把握し、戦略を立て、実践していく中で成長していく様子が描かれています。しかし、成功が見えた矢先に待ち受ける大きな落とし穴が物語に緊張感を与えています。

この本は、企業が抱える問題に対して非常にリアルな視点で描かれており、特に現代の日本企業において実務に即した企画立案能力が求められていることが強調されています。企業は生き物のようなものであり、コミュニケーションがうまくいかないと市場との乖離が生じ、業績に悪影響を及ぼすという描写は、実際のビジネスの現場でも頻繁に見られる問題ではないかと思います。

本書では、組織内でのPDCAサイクルの重要性も繰り返し強調されています。「PDCAを廻す」という言葉が一般的に使われている中で、実際にはうまく実行できていない企業が多いことが指摘され、これは管理職や経営者にとって非常に示唆に富む内容です。PDCAを適切に実行することで、組織としての成長を促すための重要なプロセスであると再認識させられます。

さらに、本作では、改革に抵抗する者たちとの攻防が描かれています。現代では経営理論が整備されているにもかかわらず、企業がうまく機能しない背景には人間の「業」が存在することが示されており、外部からのコンサルタントの支援があっても会社が根本から変わることは稀であるという現実が描写されています。これにより、読者は企業改革の現場で直面する困難や抵抗を実感することができます。

本書は、単なる理論書ではなく、実際のビジネスの現場で起こり得る出来事や感情の動きが詳細に描かれています。特に、改革遂行に対する抵抗や「人の思惑」が企業改革に与える影響がリアルに描かれており、どの企業でも共通する課題として共感を呼ぶのではないかと思います。

2024/05/06

本来は経済合理性を最優先に意思決定されるべきところが、役員や社員個人の思惑によって適切な意思決定がされないことがよくあるというところは強く共感。
どうしても個人に任せてしまうと自分自身の利益、保身を優先して行動してしまう。（自分にも当てはまる）会社組織として躾、システム化する必要があるということ。

また、本当に市場に目を向けたPDCAの大切さをひしひしと感じた。今の業務でそれができているか？？PDCAのスピード感、徹底度合い、本当に甘いと感じた。

この物語の社長、副社長の現場経験、経営経験の無さ、能力の無さがなかなかリアルでキツイ。自分もこのままだと大企業の中で支持されたことしかできない無能になってしまう。自ら考え、組織がどうあるべきか考え、行動していきたい。

2023/12/10

「戦略参謀」の第2弾！
今回のメインは、マーケティングとリーダシップ(企業統制)

「しきがわ」を退職した高山は、こんどはレディース服大手の「グローバルモード」へ転職。
グローバルモードでの活躍が語られます。

前半はマーケティング
市場のセグメンテーション
現状把握
そしてインタビュー結果からの市場分析、戦略立案。
市場分析のやり方が分かりやすい。
そして、戦略決めて、PDCAという前回同様のパターンへ。

そして、今回は、ここから、不審な動きに代わっていきます。
改革を成功したにも関わらず、とばされるメンバ。その背景には、やはり、人の業。
「人は性善なれど、性怠惰なり」
社内政治怖いなぁ..

そして、真のリーダシップについて語られていきます。
最後、経営に必要な3要素として、
戦略、実践力(PDCA)、土俵作り(リーダシップ)
としてまとめられています。

いろいろ勉強になる本です。
前作とともに手元に置いておきます。

2023/06/02

ストーリーになっていて読みやすい。経営思想というか購買行動、マーケティングのような内容も含まれていている。経営の考え方であって実践的では無いと思う。
ただ、話は面白く次の展開を期待しながら読めた。

2022/12/10

主人公を立てストーリーを立て、その中で『戦略をたてる』『組織でPDCAを回す』などのプロセスをビジネス現場で具体的に使っている様子を見せることで、教科書にはない”肌感覚”を味わえる内容になっています。
マーケティングや事業戦略の理論の数は多くありません。ですがその肌感覚こそがこの本の良さであり、マーケティング、商品企画、事業戦略を学ぶ方は手に取って損はないと思います。

マイナス要因としては、タイトルの『経営参謀』を主人公はしていなくて、学びたいことと少しずれたかな?と思うこと。
主人公は会社の中の一業態を任されます。経営資源とその使い道をどのようにミックスし、どのような会社の成長戦略を描くか、というような視点の内容はありません。
また経営の部分は「社長がするべき会社のマネジメントと組織づくり」に絞った内容で、「経営参謀」というタイトルには若干違和感がありました。タイトルと中身の乖離はよくないかな、という観点で-1してます。

2022/10/16

「戦略参謀」の続編。

※戦略参謀（読んだけど、未レビュー）
https://booklog.jp/item/1/4532198399

元マッキンゼーの著者が語る戦略論を小説形式で！って感じの本なのですが、
内容は結構深いです。。
特に戦略論というか、人の心理・感情面に切り込んだ内容で、
そこが深くて、自分には若干の消化不良。
でも、何となくわかるというか、感じるというか。。
ここがドンピシャで理解できたら、この本スゴイ~となって、
★×５つ！となるんでしょうけど。
まだ、自分はそこまでのレベルに到達していないようです。

マッキンゼーでいい提案をしたのに、
クライアントが動いてくれなかった悔しい経験を踏まえた上での
構成になっているような気がします。
だから、ジュニアで数年いました的なマッキンゼー本とは一味違うと言えば違うんですが。
（完全な私の推測です。）

一応、前作の「戦略参謀」からの続きという本の内容（ストーリー）ですが、
前作を読んでいても読んでいても
あまり関係なく楽しめるのではないかと思います。

ただし、あくまでコンサルタントの書いた本なので、
小説の物語に深みはないので、ご注意を。。

2021/08/08

改めて自分の勤務する企業でもトップマネジメントが高速でPDCAを回せているとはいえないなあ、と思った。
尚、風船大作戦など短絡的な施策が登場したりと事例が稚拙だが、管理職なりたての教育用として紹介したい一冊だ。

2019/02/14

組織に卑怯者や利己主義者を跋扈させてはいけない。それもマネジメントの役割である・・と。ずいぶん熱く分厚く、登場人物のコンサルは語る。

2018/09/04

パワーフレーズ
「誰かが知力と気力の限りを尽くして、勝ち抜くやり方を考え続け、因果の筋を通し、実行しながら修正もしていかねばならないということだ。『成功した創業者』のように」

B2Cのストーリーがメインではあるし、かなり尖った話であるものの、ポジショニングの話はわかりやすく、また事業継続の点も深みがある話であった。

2018/08/20

前半はマーケティング、後半は企業統治の本。

企業小説ということもあり、ストーリに乗って飽きずに読み進めることはできるものの、構成や話の流れは前作とほぼ同じ。

そのため、前作ほどのインパクトはないかな、、、、