戦慄の記録インパール の商品レビュー
ロジックでなく、人情で作戦決定された。 作戦貫徹が部隊の使命で、撤退する選択肢を持っていなかった。 牟田口の戦局を打開するための奇策にみんなが根拠なく乗った。 齋藤博圀さんの最後の発言が非常に印象的。
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上層部へ過度な忖度をし自らの首を絞めていく現場、一方現場を軽視し十分な補給が無くとも気合いでどうにかしようとする上層部の感情論、意思決定や責任の所在が曖昧で、なあなあのまま取り返しのつかない状態になっても尚適切な判断が出来ない。盛大に失敗しても実態も責任も有耶無耶に処理され、次へ...
上層部へ過度な忖度をし自らの首を絞めていく現場、一方現場を軽視し十分な補給が無くとも気合いでどうにかしようとする上層部の感情論、意思決定や責任の所在が曖昧で、なあなあのまま取り返しのつかない状態になっても尚適切な判断が出来ない。盛大に失敗しても実態も責任も有耶無耶に処理され、次へ活かされることもない。 今読むからこそ、この体質が戦後70年以上経っても日本に根深く張り付いていることがよく分かる気がする。
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太平洋戦争に限らず、日本人は兵站の重要性をあまり認識できないまま今に至っているような気がする(中には重要視していた人もいるが)。 また特に太平洋戦争時には人情論、精神論で突き進んでしまっていた傾向が強かったと思っているが、それを再認識させられた。翻っていまはどうか?ビジネスの世界...
太平洋戦争に限らず、日本人は兵站の重要性をあまり認識できないまま今に至っているような気がする(中には重要視していた人もいるが)。 また特に太平洋戦争時には人情論、精神論で突き進んでしまっていた傾向が強かったと思っているが、それを再認識させられた。翻っていまはどうか?ビジネスの世界で、人情論、精神論でプロジェクトを進めてしまってはいないか?この人だからとか、やる気があるからとかってなっているのは変わっていないのではないか。歴史に学ぶとはそういうことなのだと思う。
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NHKのドキュメンタリーの内容をまとめた本。新たな証言も含めて紹介する。 知識や想像力は豊かだが現場を知らない司令官と、知識も無く戦争の現場しか知らない兵士たち。軍隊のこの図式は、日本に限らず同じかもしれないが、インパール作戦はそのギャップが大きかったと思う。この地で犠牲になった...
NHKのドキュメンタリーの内容をまとめた本。新たな証言も含めて紹介する。 知識や想像力は豊かだが現場を知らない司令官と、知識も無く戦争の現場しか知らない兵士たち。軍隊のこの図式は、日本に限らず同じかもしれないが、インパール作戦はそのギャップが大きかったと思う。この地で犠牲になった兵士達の事を思うと苦しい気分になった。番組で取り上げた少尉の手記は特に印象に残った。 彼らの犠牲のお陰で今日の日本があることを忘れてはいけない。 因みに、NHKで世界の街角を歩いて廻る番組がある。毎週それを見て、自分は旅行に行かなくても世界中の街を知っていると豪語する知人がいる。今でも想像力豊かで自信たっぷりの人達は存在する。
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「わたし定時で帰ります」で上司、顧客との駆け引きの参考に主人公の親が持ち出してきたネタ。 論理破綻している命令を無理と分かって実行しなければならない定め。 やるも地獄やらぬも地獄、どちらも地獄。 さて、あなたならどうする??と迫られてる感じだ。 考えさせられるなぁ。。。
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幹部の間での不明瞭な意思決定や忖度、条理など、旧日本軍の最悪な組織構造によって、最前線の九万人の兵士の命がもてあそばれ、白骨の山や道を作り上げるに至った過程が解き明かされている。
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無謀とか失策などという言葉ではあまりに軽い。権力を持つ一握りの人間の無責任が夥しい市井の人を無残に殺した記録。日本、世界の政治状況を見渡すと、同じ道行きになりそうで怖い。時代の必読書。
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2018年9月読了。 この番組で初めて牟田口中将の孫にあたられる照恭氏の存在を知った。 番組内容に対しては「大いに不満が残るものだった」とのこと。 死者三万人を超える軍事作戦が一人の軍人の意思(あるいは狂気)のみに責任を負わせることはできないと思う。 軍司令官が「インパールを落さ...
2018年9月読了。 この番組で初めて牟田口中将の孫にあたられる照恭氏の存在を知った。 番組内容に対しては「大いに不満が残るものだった」とのこと。 死者三万人を超える軍事作戦が一人の軍人の意思(あるいは狂気)のみに責任を負わせることはできないと思う。 軍司令官が「インパールを落させ賜え」の神がかり(118ページ)、組織のトップは得てして最後は頼るものがなくて神仏にすがる傾向がありと聞いたことがあるが、この軍司令官の様子を見た部下は嘸かし不安だったと思う。 「抗命」の佐藤中将の戦後についても記述あり、戦没遺族を弔問して回ったこと、最期は身の回りを整理して残ったものは僅かに戦没者名簿一冊のみだったこと、非常に淋しい感じがした。 第十五軍司令部の齋藤博圀少尉が残した日誌は是非出版して欲しい。齋藤元少尉は2017年11月26日に亡くなられたとの由。合掌。
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川幅600mの大河を渡り、2,000m級の山々の連なる山脈を越え、 イギリス軍が拠点とするインド・インパールを攻略せよ。 日本陸軍史上最悪の作戦とも呼ばれるインパール作戦はどのように 立案され、遂行されたのか。生き残った元兵士たちの証言、発掘さ れた新資料、司令官であっ...
川幅600mの大河を渡り、2,000m級の山々の連なる山脈を越え、 イギリス軍が拠点とするインド・インパールを攻略せよ。 日本陸軍史上最悪の作戦とも呼ばれるインパール作戦はどのように 立案され、遂行されたのか。生き残った元兵士たちの証言、発掘さ れた新資料、司令官であった牟田口廉也中将が戦後に録音した肉声 テープや牟田口中将に仕えた元少尉の日誌から作戦の全体像を追った 映像作品の書籍化である。 本書と同タイトルのNHKスペシャルが放送されたのは2017年8月15日。 インパール作戦に参加し、生きて帰国した元兵士たちの証言が得られる 最後の機会だったのだろう。実際、本編放送後に番組で証言していた 元兵士の何人かが鬼籍に入っている。 牟田口中将の側で、司令部でどのような動きがあったかを詳細な日誌に 記した齋藤博圀元少尉も鬼籍に入ったひとりだ。番組ではむざむざと 多くの兵士の命を奪った作戦に対しての悔しさを滲ませた、96歳の 慟哭が胸に迫った。 曖昧な意思決定、戦略よりも人情論、作戦に難色を示した数少ない 兵站の専門将校を更迭し、3週間で攻略との予定が長引けば前線に 送った3つの師団の師団長が消極的だと理由で一斉に交代させる。 大体、「牟田口が熱心にやりたいと言っているからやらせてやれ」で 作戦が決まるってどうなのか。そうやって約3万人もの兵士が命を落と した作戦が失敗しても、誰も責任を負わない。負わないどころかなす り合い。 そもそも前線の兵士の命なんて偉い人たちにとっては虫けら同然で あるのは、齋藤元少尉が残した回想録によってよく分かる。 「私は、第十五軍経理部に所属していました。作戦会議に出席した 経理部長の資料を持って同行し、別の部屋で待機していました。 呼ばれて資料を会議室に携帯しました。 牟田口司令官、久野村参謀長、木下高級参謀、各担当参謀と核部長 が参集していました。 私が入った折、牟田口司令官から作戦参謀に”どのくらいの損害が あるか”と質問があり、”はい、五〇〇〇人殺せば(陣地を)とれると 思います”(と)の返事に、”そうか”でした。 最初は、敵を五〇〇〇人殺すのかと思って退場しました。参謀部の 将校に尋ねたところ、”それは味方の師団で、五〇〇〇人の損害が出る ということだよ”とのことでした。 よく参謀部の将校から何千人殺せば、どこがとれるということを耳に しました。日本の将兵が、戦って死ぬことを「殺せば……」と平然と 言われて驚きました。 まるで、虫けらでも殺すみたいに、隷下部隊の損害を表現するその ゴーマンさ、奢り、不遜さ、エリート意識、人間を獣か虫扱いにする 無神経さ。これが、日本軍隊のエリート中のエリート、幼年学校、 士官学校、陸軍大学卒の意識でした」 どれほど無謀な作戦でも、どれほどの兵士が命を落としても、成功さえ すれば上層部の手柄。例え失敗しても責任はうやむや。今に続く日本的 な無責任の系譜なのかと思う。 生き残り、帰国を果たした元兵士たちは戦地に残して来た戦友への罪悪感 を抱え、戦後を生きて来た。その人たちの証言の多く収録され、現地の 少数民族で日本兵に接した人たちを探し出し、無惨な状況だった兵士たち の姿の証言も得られている。 動画サイトを探せば放送当時の番組も観られる。本書と併せて、是非とも 映像も観て欲しいと思う。
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