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サリン事件死刑囚 中川智正との対話 の商品レビュー

4.2

15件のお客様レビュー

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2018/10/07

高橋シズエさんの「サリン関係の本は大抵読んだが、自分の知っていることが多かった。しかし先生の本には半分ぐらい知らないことがあった」との言葉の通り、中川氏と対話を重ねた化学者でなければ知り得ない、書けない情報が数多い。後世への教訓として残すべき名著。

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2018/09/27

中川智正はオウム真理教で松本智津夫の主治医を務め、サリンの製造に関わった元死刑囚である。 アンソニートゥーはサリン事件当時、科学の専門家として捜査に協力し、留置された中川と度々面会した。

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2018/08/26

著者であるアンソニー・トゥー氏と中川智正元死刑囚との面会及びメールでのやり取りの記録と、そこから見えるオウム真理教幹部の役割や、サリンやVXなどの化学兵器、ボツリヌス菌や炭疽菌などの生物兵器開発の過程をまとめたもの。 死刑囚との対話の過程(手続き的なものを含めて)や確定死刑囚の...

著者であるアンソニー・トゥー氏と中川智正元死刑囚との面会及びメールでのやり取りの記録と、そこから見えるオウム真理教幹部の役割や、サリンやVXなどの化学兵器、ボツリヌス菌や炭疽菌などの生物兵器開発の過程をまとめたもの。 死刑囚との対話の過程(手続き的なものを含めて)や確定死刑囚の処遇等々からして初めて知ることが多かった。また、中川氏の人となりについても、初めて触れる部分が多かった。ここまで情報交換をし、その上で一連の事件の考察ができたのは、著者が中川氏を一人の人間、もしくは科学者として敬意を払い、関係を丁寧に構築したこと、その信頼に中川氏が応えてきたことが大きいように思う。 最終章「中川氏最後のアクティビティ」では、昨年の金正男氏暗殺事件に関する論文執筆や発表について述べられている。25人の殺害に関与した(確定判決による)彼の罪は到底許されるものではないが、最後に論文という形で残したのは、一人の科学者として大きな意味を持つのではないかと思う。中川氏が願ったように、化学の知見を悪用して大きな過ちを犯す人が出ないよう、後世に語り継いでいきたい。

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2018/08/22

【覚めての告白】サリン事件への関与等により死刑判決を受け,2018年7月に執行がなされた中川智正。執行の直前まで行われた面会や文通を通し,オウム真理教が化学兵器へと手を染める課程やその内情に迫った作品です。著者は,コロラド州立大学名誉教授のアンソニー・トゥー。 当事者の独白とし...

【覚めての告白】サリン事件への関与等により死刑判決を受け,2018年7月に執行がなされた中川智正。執行の直前まで行われた面会や文通を通し,オウム真理教が化学兵器へと手を染める課程やその内情に迫った作品です。著者は,コロラド州立大学名誉教授のアンソニー・トゥー。 当事者の独白として生々しい肉付けを伴うと,すでに情報としては知っていることでも改めて現実感を伴って感じられるものだなと痛感した作品。日本社会にとっても一連の事件は分水嶺であったと思うのですが,それらを振り返る上で大変貴重な一次資料であることは間違いないと思います。 〜私は6年間にわたって,彼と文通や面会をしてきた。彼を死刑囚としてでなく一人間として付き合ってきた。彼の今迄の犯罪を私は知っている。これらの罪は許されるものではない。しかし人間には誰にも明暗,または光と影がある。私は彼の「明」や「光」の片側だけと付き合っていたのかもしれない。彼の死刑執行という事実で中川という個体がこの世から消されてしまったことに対し,私は一抹の哀悼を感ずる。〜 偶然が重なって現実を作り上げることの不可思議さを感じました☆5つ

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2021/04/25

サリン事件に関わった医師の1人、中川死刑囚。執行されたこともあり、ようやくこの人のことを知ることができた。京都府立医大に入れたのだから秀才なのは間違いない。その人がどうして、というのは、もうひとりの医師林郁夫と並んで興味を持っていた。ただ、林郁夫は積極的な捜査協力もあって、無期懲...

サリン事件に関わった医師の1人、中川死刑囚。執行されたこともあり、ようやくこの人のことを知ることができた。京都府立医大に入れたのだから秀才なのは間違いない。その人がどうして、というのは、もうひとりの医師林郁夫と並んで興味を持っていた。ただ、林郁夫は積極的な捜査協力もあって、無期懲役に減刑され、手記もまた出ているからある程度は知ることが出来てたが、中川に関しては余り知らなかった。結局麻原に帰依した部分などはよくわからなかったが、言葉の端々からは承認欲求が強かったのかなとは思ったりする。 著者は幾度も重ねた面会の中で中川の誠実な回答に満足していたようだ。実際彼の証言はサリン製造に関係して大変興味深いし、その中で警察機構が証拠の捏造をしている(オウムがやっていたことは確実だが、証拠として掴むのは難しいためだからだろうが)ことも示唆していて、彼らが死刑になったのは致し方ないにしても、解明されるべきことは残ったままになったなとは思う。著者の最後の一文に気持ち的には救われる。

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