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原民喜 の商品レビュー

4.3

15件のお客様レビュー

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2024/07/29

『夏の花』で知られる詩人・作家である原民喜の生涯を解説した作品。 戦中・戦後という激動の時代を生き抜いた彼の死生観や数々の作品を生み出した動機などを知ることができて、より一層原作品を読み解いていけるような気がしました。

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2023/08/13

岩波新書 梯久美子 原民喜 の作家人生を 死、愛、孤独をキーワードとしてまとめた評伝 「原民喜は死によって生きる作家」幼少期における家族の死、愛する妻の死、広島での被爆経験が基調となっているとのこと この本に書いてある原民喜像と「孤独」が結びつかない。自死の数ヶ月前か...

岩波新書 梯久美子 原民喜 の作家人生を 死、愛、孤独をキーワードとしてまとめた評伝 「原民喜は死によって生きる作家」幼少期における家族の死、愛する妻の死、広島での被爆経験が基調となっているとのこと この本に書いてある原民喜像と「孤独」が結びつかない。自死の数ヶ月前から友人たちを訪ねたり、17名の人に遺書を書いたり、20才以上年下の祐子との清々しい関係や遠藤周作との親交など 孤独とは無縁に感じる 自死の原因については、明示していない。遺稿「死について」や「永遠のみどり」を読むかぎり、未来に希望を持っているように読める。被爆後遺症やptsdなど精神的な障害はなかったのか? 遠藤周作の日記「原さんさようなら。ぼくは生きます。しかし貴方の死は何てきれいなんだ。貴方の生は何てきれいなんだ」 イエスのみじめな死が弟子たちの胸に突き刺さり、彼らの人生を変えていく〜遠藤周作は、原民喜の死をイエスと重ねていた 原民喜は社会に対して声を上げることをしなかった。細かくかすかな声で、死者のための歌を歌い続けた 個人の発する弱く小さな声が、意外なほど遠くまで届くこと〜それこそが文学のもつ力である 「永遠のみどり」 ヒロシマのデルタに 若葉うづまけ〜ヒロシマのデルタに青葉したたれ 遺稿「死について」 殆どその生存を壁際まで押しやられて〜目も眩むばかりの美しい幻想や清澄な雰囲気が微笑みかけてくる

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2023/06/14

某所読書会課題図書: 被爆の現状を作家の立場で詳細に記載した文書は、当初は「原子爆弾」という題名だったが、GHQによる検閲を考慮して「夏の花」と変更されている.さらに俳句の連作もあり、貴重な資料となっている.遠藤周作との交流が原にとって非常に貴重な体験だったと推測するが、祖田祐子...

某所読書会課題図書: 被爆の現状を作家の立場で詳細に記載した文書は、当初は「原子爆弾」という題名だったが、GHQによる検閲を考慮して「夏の花」と変更されている.さらに俳句の連作もあり、貴重な資料となっている.遠藤周作との交流が原にとって非常に貴重な体験だったと推測するが、祖田祐子さんも含めた行動は荒んだ気持ちをいくらかでも和らげたのではないかと推測する.素晴らしい才能を持った人材が自死によって失われることは非常に残念なことだが、関係した文人たちが彼のことをあらゆる機会に追想しているのは、羨ましくもあり素晴らしいことだと感じた.

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2019/04/30

20190430 不幸な作家が現実を受け止め、生きさせてもらった人たちのために、詩作を続け、自分の判断で人生を終わらせた。著作に付いては読まないかも知れないが名前は忘れないと思う。

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2019/02/20

原民喜の存在感と遠藤周作の存在感。 自死を選びながらも、残された人や未来に明るい希望を確信し託した原民喜。 原民喜として、その生を全うしたのだと思います。 イエスがイエスの生を生き、十字架にかかったように。 久しぶりに一気読みした一冊。 余計な解釈を加える事なく、最後に 「現...

原民喜の存在感と遠藤周作の存在感。 自死を選びながらも、残された人や未来に明るい希望を確信し託した原民喜。 原民喜として、その生を全うしたのだと思います。 イエスがイエスの生を生き、十字架にかかったように。 久しぶりに一気読みした一冊。 余計な解釈を加える事なく、最後に 「現在の世相と安易に重ねることもまた慎むべきであろうが、 悲しみを十分に悲しみつくさず、嘆きを置き去りにして前に進むことが、社会にも、個人の精神にも、ある空洞を生んでしまうことに、大きな震災をへて私たちはようやく気づきはじめているように思う。 個人の発する弱く小さな声が、意外なほど遠くまで届くこと、そしてそれこそが文学のもつ力であることを、原の作品と人生を通して教わった気がしている。」 と記し、謝辞をもって締めくくっているが、 非常に静かながらも力強く印象深い評伝であった。

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2019/02/11

原民喜と遠藤周作の交流について知ることができ、興味深く読んだ。遠藤周作の描いたイエス像と原民喜の姿の重なり合いについての指摘にはなるほどと思わされた。 「うん、見ようかね」と、少女が差し出した絵を長い間じっと見つめる、ありし日の原民喜の姿。その姿を回想する遠藤周作。 また、喫茶店...

原民喜と遠藤周作の交流について知ることができ、興味深く読んだ。遠藤周作の描いたイエス像と原民喜の姿の重なり合いについての指摘にはなるほどと思わされた。 「うん、見ようかね」と、少女が差し出した絵を長い間じっと見つめる、ありし日の原民喜の姿。その姿を回想する遠藤周作。 また、喫茶店でのエピソード。

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2018/12/24

栗林中将の本がよかったので、本書を手に取る。 冒頭から話が重すぎて暗すぎて、読み進めるのがほんとうに辛いのだが、遠藤周作さんやタイピストのお嬢さんが登場してくる最後の章あたりから、モノクロのトーンだった話が急にカラーへと変わるように生き生きとしてくる。 私情を盛り込んだり、事実...

栗林中将の本がよかったので、本書を手に取る。 冒頭から話が重すぎて暗すぎて、読み進めるのがほんとうに辛いのだが、遠藤周作さんやタイピストのお嬢さんが登場してくる最後の章あたりから、モノクロのトーンだった話が急にカラーへと変わるように生き生きとしてくる。 私情を盛り込んだり、事実をことさら美化したりしないで書く著者ではあると思うが、あとがきには大きな震災をへて現代に生きる我々に向けたメッセージが伝わってきます。

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2018/12/24
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

中学か高校の国語の教科書に、原民喜の詩が載っていたように思う。 カタカナで書かれた原爆の詩だ。 それ以前に、「少年ジャンプ」に中沢啓治の「はだしのゲン」が掲載されていて、他の連載作品とは違った印象を持った。 広島、長崎の原爆投下、それに続く終戦は、教科書でもドラマ、映画でも何度となく目にした。 しかし、自分が原民喜の作品を手に取るとは思いも寄らなかったし、評伝まで読むとは。 数年前に、新潮文庫の「夏の花」の入った短編集を読んだ。 その後、岩波文庫の詩集や同じタイトルの作品集を読もうと思っていたが、まだ未読である。 原民喜が鉄道自殺をしたとは知らなかった。また、遠藤周作との深い交流があったことも。 僕は、直接に戦争は知らない世代だが、両親は戦争経験者だった。 実体験と伝聞では、伝わり方に、大きな差があるだろうが、やはり、あったことはあったこととして、伝えていくべきではなかろうか。 この本を読んで、遠藤周作の純文学系の作品を読みたくなった。

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2018/12/06

読み進めれば読み進めるほど、切なく哀しくなる…。目の前の現実を見つめず、ただやり過ごすだけの自分が恥ずかしくなる…。

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2018/10/27

この新書は、今年の夏に本屋の棚に登場して以降、ずっとひとり立っていた。何故この本だけ全面写真カバーが付いているのか。カバーに云う「愛しすぎて、孤独になった。今よみがえる悲しみの詩人…。」原爆作家の原の字もない。夏の終わりに、ラジオ番組で本屋の書店員がオススメの本を紹介するコーナー...

この新書は、今年の夏に本屋の棚に登場して以降、ずっとひとり立っていた。何故この本だけ全面写真カバーが付いているのか。カバーに云う「愛しすぎて、孤独になった。今よみがえる悲しみの詩人…。」原爆作家の原の字もない。夏の終わりに、ラジオ番組で本屋の書店員がオススメの本を紹介するコーナーがあって、熱を帯びて勧めていた。若い女性と岩波新書というのがチグハグで、やはり記憶に残った。早いうちに読もうと思った。それから一ヶ月あと。いっきに読む。いつもは数冊の本を並行に読むのだけど、他のを紐解く適わなかった。この本は小説ではないけど、知識の本ではない。読んで、体験すべき類いの本である。原民喜というピュアな人に出会ってしまうという体験。 虐められて、世の中から逃げるために自殺をするのではない。あまりにも純粋な世界しか見ることが出来ない稀な能力を持ってしまったために現世よりも死の世界の方に居場所を見つけた青年。けれども最愛の妻が「書いて欲しい」と言ってくれたから、自分しか書けない最悪の地獄を見てしまったから、愛する現世の人たちのために書き遺して置かねばならない、と決意して仕舞った青年。死の世界に行く前に(おそらく)10ー20年生き延びてしまった青年。そんなピュアな人は現実にいるのだ、と信じさせてくれる評伝だった。 梯久美子さんの本は、そうとは知らずに一冊だけは読んでいた。戦争で九死に一生を得た人たちに取材したインタビュー集である。氏の著作一覧を見ると、「死と愛と孤独」の人についてずっと書いているのがわかる。思うに、何かの賞を取らざるを得ない評伝だったろう。 2018年10月読了

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