火の鳥(角川文庫版・新装版)(4) の商品レビュー
「宇宙のなかに人生などいっさい無だ!ちっぽけなごみなのだ!」 だからこそ権力側に媚びたり、自分に嘘ついたりすることなく「世の中の人間どもを生き返らせてみたい気もするのです」というのは、とてもエネルギッシュだと思う。
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生まれてすぐに片目片腕を失い、村人に虐げられ、盗賊に堕ちてゆく我王。 仏師として鍛錬をしてきた茜丸は夜の森で出会った我王に利き腕を切られてしまう。 不思議な出逢いを経て、怒りを糧に仏像を彫る我王。 苦行を経て、仏師として名を馳せる茜丸。 そんな2人が都で再開して。 火の鳥、たぶ...
生まれてすぐに片目片腕を失い、村人に虐げられ、盗賊に堕ちてゆく我王。 仏師として鍛錬をしてきた茜丸は夜の森で出会った我王に利き腕を切られてしまう。 不思議な出逢いを経て、怒りを糧に仏像を彫る我王。 苦行を経て、仏師として名を馳せる茜丸。 そんな2人が都で再開して。 火の鳥、たぶん全巻は読んでいないけど、この巻が1番印象が強い。 子どもの頃は猿田彦って意識して読んで無かったなあ。 本人の思惑や行動の結果でないところで降りかかる不幸と、周囲の悪意がヒリヒリして飛ばし読みしていた冒頭。 ただブチが好きで、我王が作る造形が好きで、何度も読んでた。 改めて読んで、やっぱり好きなところは変わらないけれど、今回は茜丸の変化が刺さった。 名声と共に失われていくもの、手放すことで得るもの。 ずっと未来の話が怖くて読まないようにしている火の鳥。やっぱり通して読むかなあ。
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まさかサルタヒコの巡り巡った魂のエピソードが、これとは…。 人に傷つけられ、人を傷つけて生きた男は、内なる激情に任せ仏を彫る……。 しかし、夢のような女の正体がテントウムシっての……めちゃめちゃ刺さったな……ああいう演出、オタクはみんな好きでしょ…そうでしょ…。 だからこそのラス...
まさかサルタヒコの巡り巡った魂のエピソードが、これとは…。 人に傷つけられ、人を傷つけて生きた男は、内なる激情に任せ仏を彫る……。 しかし、夢のような女の正体がテントウムシっての……めちゃめちゃ刺さったな……ああいう演出、オタクはみんな好きでしょ…そうでしょ…。 だからこそのラストの太陽が…美しいわけなんですよ…。 太陽…燃える惑星…火の鳥…。 あとブチ…お前は…お前は何者なのか…???? あれもまた、火の鳥の化身の一つなのだろうか…。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
火の鳥がこんなに面白いと知らずに40年近く生きてきてしまった私!! 家にあった鳳凰編から読んだので正確には読む順番が違うのかもしれないけど、いやぁ!面白かった。 我王にモノを作る才能がなかったら、彼はどうなっていったのか。 茜丸の情熱を保身や顕示欲に変化させたものはなんだったのか。 フランクルの夜と霧を読んだばかりだったので、尚更「生命が人生に問われているモノ」を考えながら読んだ。 火の鳥全部読む!
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宗教としての仏教が政治に利用される中での、2人の仏像師の運命が描かれる。作者の生命観が他の巻と同じスタンスである。歴史を舞台にして展開が見事である。
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ここまで「輪廻」のさまざまな形が提示され続けていて、まだ4冊目だけど、すでに圧倒されている。一生を終えても、また別の者に生まれ変わる「猿田彦」のような輪廻の形もあれば、業の深さにより、同じ人間に生まれ変わって、同じ生涯を繰り返し続ける「比丘尼」のような輪廻の形もあり、生まれ変わっ...
ここまで「輪廻」のさまざまな形が提示され続けていて、まだ4冊目だけど、すでに圧倒されている。一生を終えても、また別の者に生まれ変わる「猿田彦」のような輪廻の形もあれば、業の深さにより、同じ人間に生まれ変わって、同じ生涯を繰り返し続ける「比丘尼」のような輪廻の形もあり、生まれ変わっても、もう二度と人間には戻れない「茜丸」のような輪廻の形もある。物語に込められた作者のメッセージと、我々への問いかけと、共通のテーマを基に展開させる物語の多様さとその深さに、とても考えさせられる。 それからもう一つ、久しぶりに読み返してみて、手塚さんの「スゴイな」と思うところは、登場人物たちのセリフと絵面、物語の展開の仕方に違和感を感じることがない、というところだ。もちろん、「え!?ここにこれを持ってくるの?」と思うことは多々あるけど(笑)意外な方向に発展した物語の描き方が中途半端だったり、登場人物たちのセリフが物語の展開に付いていけてなかったり、どういうこと?と読者を置いてきぼりにしてしまうようなコマがひとつもない。もちろん手塚さんの作品にも賛否両論・好き嫌いはあると思うけど、そういうこと抜きにして、ここまでエネルギッシュに最後まで描き切る力量は、本当に素晴らしいと思う。
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