TRUST の商品レビュー
ボッツマンは「シェア」という本を書いたことで有名です。この本は、シェアリング・エコノミーの潮流をいち早くキャッチした本でしたが、本書も中身を読むと著者の先見性を感じました。確かに「信頼」という概念自体は古くから存在していますが、デジタル時代では信頼の形が大きく変わっている、いまは...
ボッツマンは「シェア」という本を書いたことで有名です。この本は、シェアリング・エコノミーの潮流をいち早くキャッチした本でしたが、本書も中身を読むと著者の先見性を感じました。確かに「信頼」という概念自体は古くから存在していますが、デジタル時代では信頼の形が大きく変わっている、いまはその過渡期であるという主張です。昔はコミュニティ内での信頼しかありませんでしたが、ついで国や企業、マスコミなど「制度」に対する信頼が生まれてきた。そして第3の波として「分散化された信頼」がデジタル技術の進展によって生まれているのです。 本書の面白い点は、「信頼が分散化された」で本が終わっているのではなく、実は一周して集中する、あるいは向きが逆になるような動きもあることを指摘しているところです。例えば中国では社会信用制度ということで国民全員の格付けスコアをつける試みが始まっています。これは信頼の向きが逆になったと言えるでしょう。本来的には、国家がどうやって国民に信頼される存在になれるのかを考えるわけですが(特に選挙で政権が選ばれている国では「国民の信頼を得る」ことが最重要ポイント)、中国で導入されつつある制度では、「国民がどうすれば国に信頼されるようになるか」を考えるようになります。ある人物が、政府が好まない行動をとると、その人の格付けが下がり、日常生活に支障が出るような世界です。これは訳者後書きにも書いてあったように、ジョージ・オーウェル的な世界を想起させますが、個人的には古代中国の科挙制度が国民全体に適用される、というようなイメージも浮かびました。ただし、科挙であれば試験が終わってしまえば高得点を取らなければというプレッシャーは無くなりますが、中国の社会信用制度は終わりがなく死ぬまで息をつく暇がないということでしょう。 「信頼」の構築の仕方、誰が誰に対して信頼を構築するのか、などが大きく変わりつつある時代だというのは本書を読んで間違いない気がしました。5年後、10年後に振り返ると本書が指摘するポイントの重要性はさらに高まっているのではないでしょうか。
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信頼度がお金に変わり、ビジネスとして成り立つ奇妙な世界が何か解説されている。 定性的なものを定量にする難しさをなり遂げる一方で、そこまで分析されてしまうのかという気持ち悪さが生まれる世界がやってきそう
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1、信用する相手が変わってきている。広告への信頼がなくなり、口コミなどが信用されるようになってきた。そういえば、Googleの検索を使わず、TwitterやInstagramで情報を取り入れる人が多くなったなあ 2、使わない機会損失をもったいない精神でシェアすることで大きなビジ...
1、信用する相手が変わってきている。広告への信頼がなくなり、口コミなどが信用されるようになってきた。そういえば、Googleの検索を使わず、TwitterやInstagramで情報を取り入れる人が多くなったなあ 2、使わない機会損失をもったいない精神でシェアすることで大きなビジネスにつなげられる時代になってきたが、その際には”信用”をどのようにマネジメントするかが大事 3、コントロールされたくない人たちがスタートアップで既存のシステムを作り替えたが、GAFAのように新たなプラットフォームとしてコントロール層に置き換わった。ヒエラルキーがなくなったというよりは新陳代謝が起こっただけ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
【気になった場所】 信頼とは ・未知のものとの確たる関係 ・結果の予想であり、物事がうまくいく可能性が高いと期待すること →ほとんどすべての行動と人間関係と取引の土台になる 孔子 信頼は命よりも大切だ 日常生活の中で、すでに人間よりもアルゴリスマムに信頼している →同時に、多くの人が変化の速さと指一本で手に入る情報量に圧倒されている →情報を整理し自分の信念を強めてくれるような小さなメディアに逃げ込む →自分の意見や偏見が増幅される →根拠のない不安、怒りは増幅し、制度への信頼は崩壊寸前 →信頼の革命の入り口に立っている →分散された信頼へ 分散された信頼とは →レーティングによってあらゆる商売が流行るか廃るかが即座に決まる一方、評価履歴により一つのミスが生涯付きまとう テクノロジーによって世界中の人たちが信頼の壁を飛び越えられる 組織や制度が信頼と人々の信託を維持するには、罰則が必要 他人とは誰のことか? →知らない人のことで、いい人もいれば悪い人もいる、信頼してもいい安全な他人もいる 人が信頼を構築する行動パターン →アイデア、プラットフォームと企業、個人の順に信頼する 新しいアイデアを信頼させるための問い ・それは何か? ・自分にとってどんな得になる? ・他に誰がやってる? 信頼することよりも、信頼に値するかを判断することが大事 信頼性の要素 ・その人は有能か? ・その人は頼りがいがあるか? ・その人は正直か? ブロックチェーンの仕組み ・取引の要請 ・取引データがブロックになる ・ユーザーによって取引が証明される ・取引のブロックがチェーンに加えられる ・取引が実行される ・取引記録が共有される ブロックチェーンの分類 ・資産の譲渡 ・サプライチェーンの証明 ・スマートコントラクト デジタルの合意
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新しい“信頼”のモデルが登場している。太古は、家族や地域の人々の間で構築される「ローカルな信頼」だけだったものが、警察や政府を通じた信頼関係である「制度への信頼」、そして現代のインターネット時代の信頼関係である「分散した信頼」というモデルまできた。分散した信頼では、デートアプリで...
新しい“信頼”のモデルが登場している。太古は、家族や地域の人々の間で構築される「ローカルな信頼」だけだったものが、警察や政府を通じた信頼関係である「制度への信頼」、そして現代のインターネット時代の信頼関係である「分散した信頼」というモデルまできた。分散した信頼では、デートアプリで会ったこともない人に会ったり、uberのドライバー評価を見て見知らぬ人の車に乗ったり、信頼する対象が変化している。それは、人々の意識の変革であったり、企業が信頼されることを第一に考えている企業理念による成功であるので良い。 本書で怖かったのは、中国で実施している国民の格付けである。ちょっと前ならディストピアSFの定番のような話だが、着々と実現しつつある。政府にすべてを公表し、政府の視点で評価され、スコアが悪いとローンを組めなかったり、就職や進学もできない。人々は自分のスコアを落とさないために、政府への不満は表に出さず、政府に従順になるしかないだろう。個性を殺しかねない信頼のシステムの構築も始まっている。“信頼”というと良い言葉のように思える。実は“信頼”を構築するために、恐ろしいものが潜むのが怖い。最後はブロックチェーンの話がある。
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人と人の信頼から制度的な信頼、さらに分散化された信頼に移行していくという整理の下、豊富な事例が紹介される。情報通信関連で久しぶりに通読した書。あまり話題にならなかった本だが、内容は濃く面白い。
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要点 1 中国のビジネスでは、信頼が重要だ。アリババの創業者ジャック・マーは、買い手に売り手を信頼させ、ものを買わせるために、売り手の認証制度を設けた。認証を受けた売り手への問い合わせは、未認証の売り手よりも6倍多かったという。 要点 2 人は、アイデアを信頼し、プラットフォ...
要点 1 中国のビジネスでは、信頼が重要だ。アリババの創業者ジャック・マーは、買い手に売り手を信頼させ、ものを買わせるために、売り手の認証制度を設けた。認証を受けた売り手への問い合わせは、未認証の売り手よりも6倍多かったという。 要点 2 人は、アイデアを信頼し、プラットフォームと企業を信頼し、個人を信頼するという順に新しいビジネスへの信頼を深めていく。 要点 3 中国政府は、国民の信用力を格付けするシステムを開発中だ。すでに数百万人が登録しており、信用履歴、履行能力、個人的な特徴、行動と嗜好、人間関係の5つの要素から人間を格付けする仕組みになっている。ランクが高い人には、さまざまな特典が提供される。 人が新しいビジネスを信頼するには、必ず次の行動パターンをたどる。まずアイデアを信頼し、次にプラットフォームと企業を信頼し、最後に個人を信頼するという順番だ。ブラブラカーの例では、まずライドシェアというアイデアを信頼して試してみようと感じる。次にブラブラカー社が悪質なドライバーをあらかじめ取り除いてくれていることと、トラブルが発生したときにユーザーを助けてくれることを信じる。そして最後に、ライドシェアする相手を信頼するというプロセスを踏むことになる。アイデアとプラットフォーム・企業を信頼しなければ、個人を信頼するか否かを判断するステップにはたどりつけない。 1つ目がカリフォルニアロールの原則である。馴染みのないものを身近に感じさせるため、新しいものと馴染みのあるものを組み合わせて、「新しいのに見慣れたもの」を作るというルールだ。新しいものである「寿司」と、アメリカ人にとって馴染みのあるキュウリやカニ、アボカドを組み合わせて作られたカリフォルニアロールのように。新しいアイデアを信頼させるためには、親近感が必要なのだ。 エアビーアンドビーも、この原則を利用している。ホームページに行くと、多くの人は企業紹介ページを読まず、まず自宅のある場所を検索してみる。そして近所の「あの家」に泊まれるのだとわかってはじめてピンと来るのだという。 2つ目がメリットの原則だ。新しいアイデアを信頼するには、自分が享受できるメリットを理解できなければならないというルールである。たとえば自動運転車の場合なら、自動運転車が人間の運転を肩代わりするメリットがリスクを上回るかどうかだ。 ただし人間は、得たものより失ったもののほうがより強く心に残る傾向にある。2016年に起こったテスラの事故は、マスコミに大げさに書きたてられた。アメリカ全体でいうと約1億5000万キロに付き1件の死亡事故が起きるとされているなかで、テスラは約2億キロ走ってはじめて死亡事故を起こしたにもかかわらずだ。 3つ目が信頼のインフルエンサーの原則である。「信頼のインフルエンサー」とは、ある物事のやり方を一変させるような影響を持つ少数の人たちのことだ。必ずしも地位や名誉のある人、有名人、高名な専門家である必要はない。
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まずこれだけの最新テック(企業)についてこれだけの筆致でかけるだけのリサーチ力に脱帽で,かつそれらをトラストという歴史性と人間の本質というか文化を貫くキーワードで鮮やかにスライスして分かりやすく提示してくれるところが素晴らしい. ブロックチェーンからアフリカの送金アプリの話へと続...
まずこれだけの最新テック(企業)についてこれだけの筆致でかけるだけのリサーチ力に脱帽で,かつそれらをトラストという歴史性と人間の本質というか文化を貫くキーワードで鮮やかにスライスして分かりやすく提示してくれるところが素晴らしい. ブロックチェーンからアフリカの送金アプリの話へと続くラストの疾走感は今起こっている根本的な社会の変化を実感させる good readでした.
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ダークサイドのディラーが顧客の信頼を損ねないために、品質や配達やサービスにはるかに気を使う。には驚きました。良く考えてみると、犯罪者であれ普通のビジネスであれ継続的に果実を得て成功するにはやはり顧客からの信頼を得ないと成り立たないことがわかります。こうした信頼の過程を本書では1つ...
ダークサイドのディラーが顧客の信頼を損ねないために、品質や配達やサービスにはるかに気を使う。には驚きました。良く考えてみると、犯罪者であれ普通のビジネスであれ継続的に果実を得て成功するにはやはり顧客からの信頼を得ないと成り立たないことがわかります。こうした信頼の過程を本書では1つ目ローカルの信頼とし身近なコミニュティー内での顔見知り2つ目制度への信頼として学校、役所、メディアの報道など3つ目 は、分散された信頼として今のネット社会であると位置づけています。以前の信頼は下から上に流れていて、より高い権威に人々が信頼の礎をおいていましたが、ネット社会では横に向かって水平の信頼に移行して、昔ほどマスコミや政府や権威的なものの信頼度が減ってきている。ただ、行きすぎると中国が義務化しようとしている個人の信用格付けシステムなど一部の権力がそれを利用する危険性もあることなど様々な視点から今後の信用について考えさせられる良書です。
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信頼を様々なangleから考察、分析し、今後デジタル時代における「信頼」を得、維持するためのメカニズムの構築がkey となることを示唆する圧巻の書
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