公家たちの幕末維新 の商品レビュー
幕末維新というと薩長史観による尊王の志士の活躍がメインで、他は反動としての幕府・会津史観が散見される程度か、孝明天皇に焦点を当てるものはあったものの、公家史観というものには触れた事がなかった。しかしながら、よく考えてみれば、幕末維新は幕府・薩長(雄藩)・朝廷という3つのプレーヤー...
幕末維新というと薩長史観による尊王の志士の活躍がメインで、他は反動としての幕府・会津史観が散見される程度か、孝明天皇に焦点を当てるものはあったものの、公家史観というものには触れた事がなかった。しかしながら、よく考えてみれば、幕末維新は幕府・薩長(雄藩)・朝廷という3つのプレーヤーによって展開されているわけで、これまで見落とされていたというか無視されていた朝廷・公家に焦点を当てるというのは当然の事ながら必要な作業である事に気づかされる。 一般的には、朝廷・公家は常識ハズレの世間知らずな攘夷を唱えて、幕府と薩長の間を右往左往するといったイメージで語られる印象があるが、本書を読むと朝権伸張のために朝廷内部で公武合体派と過激攘夷派が各々で幕府や長州そして雄藩との連携を模索し、熾烈な駆け引きや権力闘争の攻防をしていた事がわかる。ただし、維新後には時代の変化に取り残され、上級公家のみが華族として生き長らえるのみという顛末となってしまうわけだが。 あらためて感じたのは、武力を持たない朝廷が幕末の動乱において政治力のみでよく潰されずに生き残れたという事である。そこにはやはり天皇の権威というものが大きく影響しているわけだが、必ずしも天皇個人の意思が反映されているわけでもないところが興味深いというかどう考えたらよいのか。それは明治以降も大正・昭和も同じであり、形式上は統帥権を持ち軍隊を動かせる天皇個人の意思が必ずしも反映されているわけではないという、さらに摩訶不思議な現象として歴史が再現されてしまったような気がしてならない。
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幕末の動乱を、公家に焦点を当てて叙述している。公家たちの人間ドラマなど勉強になったし、やはり条約勅許の時の盛り上がりがすごかったのと、それですごくなりすぎちゃったのに孝明天皇がついていけなくなったのかなあと思った。三条実美は江戸に来てたんだね。あと、和宮のその後気になる。
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幕末維新の頃、公家たちは何をしていたのか。これまで、優柔不断な脇役として描かれてきた彼らが、日本史の画期に奔走した軌跡を追う
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明治維新なんてやっても殆どの武士には損得勘定だけで言えば 損だったのと同じで、殆どの公家にしても損(と言うかアテが外れた) だったんだなあ~、と分かる。だから維新は偉かったんだなあ~。
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これ面白い。 作者が言うように幕末は、小説やドラマの格好の題材で歴史上の人気者も多い。ただその中に公家はまず入っていない。そんな公家の視点からの幕末、明治維新を描く。 けど、作者の主張とは裏腹にやっぱりどうしようもない人種なんだよね、公家って。別に国の行く末や天皇家を心配している...
これ面白い。 作者が言うように幕末は、小説やドラマの格好の題材で歴史上の人気者も多い。ただその中に公家はまず入っていない。そんな公家の視点からの幕末、明治維新を描く。 けど、作者の主張とは裏腹にやっぱりどうしようもない人種なんだよね、公家って。別に国の行く末や天皇家を心配しているわけではなく、保身しか考えていない。それこそが公家の公家たるところで、逆にそれを貫いているところは流石でもある。「禁門の変」で自分たちを救出にきた松平容保の服装が礼儀違反だと、「処罰すべき」と主張することが何より優先されたという件には爆笑してしまった。
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幕末から明治維新を公家達から見た歴史。 視点は面白いけど、やはり右往左往してる感が拭えない。ちゃんと働いてるのは岩倉具視と三条実美くらいか。大河ドラマに出てくるのも両名くらいでは?硬い話の割には面白かったかな。
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あまり取り上げられることのない、公家の立場から見た幕末維新史。 公家にも開国容認派、穏健尊攘派、即今尊攘派など、いろいろな立場の人がいて、様々なせめぎ合いがあったのだということ知り、興味深かった。 ただ、王政復古とともに、それまで表舞台から遠ざかっていた岩倉具視や三条実美が急激に...
あまり取り上げられることのない、公家の立場から見た幕末維新史。 公家にも開国容認派、穏健尊攘派、即今尊攘派など、いろいろな立場の人がいて、様々なせめぎ合いがあったのだということ知り、興味深かった。 ただ、王政復古とともに、それまで表舞台から遠ざかっていた岩倉具視や三条実美が急激に台頭し、王政復古までは朝議等で中心となっていた摂家の人達などが表舞台から消えていく過程・内実がいまいちよくわからなかった。官位などを見ても、それまでの朝廷・公家社会の秩序がかなり転変しているが、大きな抵抗もなくそうなっていったのはどうしてなのだろうか。その点があまり得心できなかった。
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江戸時代の幕引きから明治にかけての激動の中、京の公家の動きと視点から捉えなおす異色の一冊である。個々の事象について、非常に細かく調べられたものになっている。これだけでも大きな研究の成果と言えるだろう。 室町時代後期から戦国時代にかけて窮乏を極めた公家は、江戸時代の秩序の中でひ...
江戸時代の幕引きから明治にかけての激動の中、京の公家の動きと視点から捉えなおす異色の一冊である。個々の事象について、非常に細かく調べられたものになっている。これだけでも大きな研究の成果と言えるだろう。 室町時代後期から戦国時代にかけて窮乏を極めた公家は、江戸時代の秩序の中でひとつの安定をみて、それから200年以上もその状況を享受してきた。政治的な力を失った存在として記述されてきたものである。ところが、幕末の混乱期に至って、その存在が大きく表に出てきた。このことをどのように理解すればよいのか、それまでの経緯とのギャップ・落差が大きすぎて、感覚としてなかなか認識できないものではないだろうか。 天皇をとりまく公家は、元をたどれば平安時代に隆盛を極めた藤原氏をはじめとする貴族に繋がる。1000年の時を越えて結びつく王政復古に対して、この著作を通じて我々読者が日本社会にある思想を確認できるような、そのようにも思える。
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維新前後の公家の動きを淡々と追っている。ドラマチックな盛り上がりは無いので読みやすい本ではないと思うが、謎だった公家、皇室の人々の姿が見えて来た。鎌倉〜江戸期の様子も知りたくなる。
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