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「右翼」の戦後史 の商品レビュー

4.1

17件のお客様レビュー

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2024/12/16

 戦前から戦後、現在に至る右翼の歴史と変遷が分かりやすいまとめられていた。  戦後の言論の自由、民主主義、人権、反戦平和に、右翼は"壊されていく国体"を見、あるべき日本が失われていくのを感じたーという説明は納得できる。しかし、最近のネトウヨの差別、暴言、排除は...

 戦前から戦後、現在に至る右翼の歴史と変遷が分かりやすいまとめられていた。  戦後の言論の自由、民主主義、人権、反戦平和に、右翼は"壊されていく国体"を見、あるべき日本が失われていくのを感じたーという説明は納得できる。しかし、最近のネトウヨの差別、暴言、排除はどう考えても理解も共感もできない。これを容認する時代の空気ができているとすれば、それは極めて憂慮すべきことだ。

Posted byブクログ

2024/09/11

右翼の戦後史について、実際に活動に携わった人々に対して多くの取材しながら描き出す。 出版順は逆だが、同じ講談社現代新書の日本左翼史シリーズを読んだことでこの本も読むことに。 興味深いのは、日本左翼史シリーズは(特に佐藤優が顕著だが)徹底的に文献・論文にあたるのに対し、本書の著者...

右翼の戦後史について、実際に活動に携わった人々に対して多くの取材しながら描き出す。 出版順は逆だが、同じ講談社現代新書の日本左翼史シリーズを読んだことでこの本も読むことに。 興味深いのは、日本左翼史シリーズは(特に佐藤優が顕著だが)徹底的に文献・論文にあたるのに対し、本書の著者の安田は果敢に取材をして情報を収集するという点である。 これは、両者の執筆スタイルというだけでも無いと思う。共産主義・社会主義思想が理論ベースで演繹的に社会の構築を試みるのであれば、右派の民族主義的思想は共同体をベースとして、帰納的な方法で社会を構築しようとする特徴がある。こうした違いを鑑みると、両者の執筆スタイルは、そもそもの右派、左派の特徴と似通っていることが分かる。 丹念な取材をもとに、右派の戦後の様々な活動を描き出すことに成功していると感じた。決して一枚岩で無い様々な活動の内容に、驚くことも多いと思う。 注意したいのは出版が2018年と若干古いこと。第5部までは別に問題ないが、ネット右翼の問題を取り扱う第6部は、その後の世界情勢を加えた増補がどうしても欲しくなる。 この第6部で、筆者は「社会の極右化が進行している」と述べている。しかし、ここで言う「極右」と言うのは「右派」の定義とは若干違うものではなかろうかと感じた。そう感じるのは、本書の刊行より約6年、もはやこの本の第6部で言う「極右」の特徴、つまり排外主義的で短絡的な思想の劣化が、右派に限られず様々な場所で見られるようになったからだろう。 実際、当時だと排外主義的で短絡的な思想はネトウヨに特に蔓延っていたように思う。しかし、今やこの手の異なる思想・言動を徹底的に糾弾し、愉快犯的に攻撃を試みるやり口はネトウヨだけの専売特許というわけでは無くなってしまったように思う。左右に限らず、思想が劣化している。 インターネットというニューメディアの元で、今後思想がどのように変化していくのか。この辺りの議論を注視しつつ、本書で為された議論を受け止めていきたい。

Posted byブクログ

2023/06/01

右翼の流れがわかりやすい。 右翼は歴史と伝統を重んじた保守であり、異なる他者に対しては排他的で、復古主義であり、理念というよりも情念に近い。 日本右翼の源流は、江戸時代末期の水戸学にあるとされる。儒学を基盤に、神話や道徳を尊重し、身分や社会の安定を説くもの。吉田松陰や西郷隆盛...

右翼の流れがわかりやすい。 右翼は歴史と伝統を重んじた保守であり、異なる他者に対しては排他的で、復古主義であり、理念というよりも情念に近い。 日本右翼の源流は、江戸時代末期の水戸学にあるとされる。儒学を基盤に、神話や道徳を尊重し、身分や社会の安定を説くもの。吉田松陰や西郷隆盛らの幕末の志士に大きな影響を与え、倒幕運動や尊王攘夷思想が生まれた。 大正時代には、大正デモクラシーによって人々が権利意識に芽生え、大正6年にはロシア革命が成功して日本の支配層に大きな恐怖を与えた。政治家や企業経営者は、労働争議や小作争議を弾圧しなければならないものとみなし、その先兵として右翼団体が利用された。 昭和15年、近衛文麿内閣の要請に応じて右翼団体・政党は大政翼賛会に組み込まれ、太平洋戦争が始まると、あらゆる社会運動は戦時体制に組み込まれた。戦後は、占領軍によって右翼団体の解散と右翼人の公職追放が指示されたが、 1950年に右翼関係者の追放が解除されると、右翼を糾合する動きが活発化した。 1960年代に発足した日本学生会議(JASCO)は、ヤルタ・ポツダム体制の打破を掲げて、右からの革命を主張した。 1966年、左翼に対抗するための早稲田大学学生連盟が結成され、他の大学に呼びかけて横断的・全国的な日本学生同盟が結成された。 1969年には、全国学生自治体連絡協議会が結成され、鈴木邦夫が委員長に選ばれた。1970年には、反核拡散防止条約で右翼共闘構想を打ち出し、日本学生会議、全国学生自治体連絡協議会、日本学生同盟統一派が反核防統一戦線を結成した。 1970年以降、新左翼が力を落としていくのに伴って、 右派の学生運動も先細りになっていった。 一水会は、三島由紀夫らの遺志の継承を目的に、1972年に設立され、対米自立、自主憲法制定、日米安保破棄、戦後体制打破をスローガンとした。 日本青年協議会は、生長の家学生会全国総連合のOBを集めて1970年に結成され、各地で改憲集会を繰り返した。 日本を守る会は、鎌倉円覚寺貫主を務めていた朝比奈宗源と、富岡八幡宮の宮司だった澤渡盛房が、生長の家の谷口の協力を得て1974年に設立し、右派宗教界が大同団結した。事務局は、生長の家に関係する日本青年協議会のスタッフが務めた。日本を守る会は、愛国心が希薄となった戦後を一掃することを趣旨とし、連帯と連携を意識しながら大衆運動を盛り上げていった。 日本を守る会は、1978年に元号法制化実現国民会議を結成して、生長の家や神社本庁が運動の実動部隊となり、翌年に法律を成立させた。 1981年には、日本を守る国民会議を発足させ、日本国憲法をアメリカの押し付け憲法だとして、改憲に向けた大衆運動を牽引した。 日本を守る国民会議は、1982年に、第二次世界大戦中の日本の植民地政策に関する教科書の記述をめぐって中国・韓国から強い抗議があったことに反発し、自ら教科書をづくりを進め、 1997年には新しい歴史教科書をつくる会を発足した。しかし、つくる会の教科書の採択は進まず、内部対立から日本会議系のメンバーが脱退して、 2007年に日本教育再生機構を設立した。教科書の出版社には、フジサンケイグループの扶桑社の子会社である育鵬社が当たり、現在は600校で使用されている。 1997年には、守る会と国民会議が統合する形で日本会議が発足した。この背景には、1990年代の自民党一党支配の崩壊、村山談話の発表、天皇制護持や国家神道に距離を置いていた創価学会と公明党への警戒心があった。

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2023/04/11

叙述が客観的で信頼出来る。 国が右傾化してるというのは、なるほどそう思う。国が沈滞化してるのはそのせいかもしれない。

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2022/01/19

第二次世界大戦後、日本はアメリカの統治下に置かれた。そこで、アメリカからの統治を拒絶し、旧来からの日本の伝統を取り戻し、日本国民で国を守るというスタンスで「右翼」が形成されたのは知っていました。しかし、今の右翼団体を見ると、アメリカを迎合している状態。もっといえば、アメリカの手下...

第二次世界大戦後、日本はアメリカの統治下に置かれた。そこで、アメリカからの統治を拒絶し、旧来からの日本の伝統を取り戻し、日本国民で国を守るというスタンスで「右翼」が形成されたのは知っていました。しかし、今の右翼団体を見ると、アメリカを迎合している状態。もっといえば、アメリカの手下になって、中韓を威圧するスタンスに鞍替えしており、とても矛盾を感じたため、なぜそのような経緯を辿ったのか、興味深いと思い購入してみました。 読んでみると、初めはアメリカに対する敵対心を軸として活動していましたが、アメリカと日本右派勢力も共に「反共」を掲げていたため、考え方が一致したという経緯らしいです。 -「古い上着を脱ぎ棄てても、右翼の細胞は体内に生きている。右翼が心情に訴えかける思想であることは先に述べた。国と国民を守るー右翼思想の根底に流れるのはナショナリズムである。日本の場合はそこに天皇への崇敬の念を重ね合わせ、時代状況に応じて、看板が塗り替えられてきた。」(本文引用) この本を読むまで、左派と違い、右派は「堅物」「頑固」のような、古来からの伝統を守り通すというイメージがあったのですが、そんなことはなかったようです。 右派・左派共に、主張の違う勢力を押さえつけるための手段として用いられていたのが「暴力」だったのはいつの時代も変わらないことがわかります。(右派・左派に分類される全てのグループがそうだとは言えませんが...) 右派勢力だけに限ってみると、近年では、SNSの普及で、ネット上で思想宣伝を行う「ネトウヨ」の台頭により、若者まで「ネトウヨ」の右派思想が広まっている現状に恐怖を感じます。それは、「ネトウヨ」の喧伝している情報を信用した者がマイノリティに対し直接危害を加えることが起きていること、その情報自体が真偽不明なものが多く信憑性が欠けること、などがいえるのにもかかわらず、信用してしまう若者が多数いることが恐ろしいです。 そのような「ネトウヨ」の活動に対し、「世間に対するイメージが下がってしまう。右翼は元々民族主義をベースに形成されたため、中国、韓国の人たちも尊重すべき。」と考える右翼団体も多数あり、右派系の中でも色々な主張があるのは驚きました。 本書の締めにもありますが、右翼は社会の矛盾と向き合うことで勢力を拡大していったにもかかわらず、左派勢力の逆張りをしていった結果、現在はマイノリティをただ差別するだけの集団になっています。 今の政治と一緒で、右派・左派共に相手の主張の「逆張り」(と不祥事の「揚げ足取り」)をするだけで、両者のそれぞれにいい主張があっても霞んでいる印象があります。そこをどうにかしないと...

Posted byブクログ

2021/05/11
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

読んでよかった、の一言。 右翼というと、自分のなかでヘイトスピーチをしてる差別主義者なのか?という印象が特に、在特会の影響であった。 だけど、日本らしさ、日本の伝統を愛する民族主義が右翼の源流であり軸なのだとすると、賛同はできないが考え方の一つとして理解できる。 その中で、右翼のなかでも民族主義的な人は、民族差別を認めるわけではなく、日本として独立して強くあることを考えているのだとすると、それも一理あると思う。 でも、結局日本らしさってなんだろうって考えたときにそれって言語化できるものなのだろうか?教科書を変えて加害の歴史をないものにしようとしてる人もいるけど、「愛国」なのだとすると、愛はいいところも悪いところも認めることじゃないのか?加害の歴史を隠したり、誰かを貶めたり、自由を奪うことは理想的なのだろうか?それは、愛することができる国なのだろうか? 現代の愛国者が望む、理想の世の中が気になってしまう。 リベラルは理想的、右翼は保守的というけれど日本においては戦前の日本を望む時点でそっちの方がかなり理想主義的なのではないか? 多様性を認めることってなんだろうか。グローバル化してアメリカなどに留学して海外の考えを自分の中にいれることだろうか、私は、自分らしさありきで多様性を認めることができると思う。 そこには、個人主義と集団主義の問題もまた出てくるけど、集団としてまだ国を捉えてもいいとするならば、日本らしさを認めて、かつ他国を認めるのもまたいいのではないだろうか? 文化の本質主義構造主義も学んだばかりなので意味不明なこと言っているかもしれないが、政治にも絡むこれらの思想についての知識はこれからも得続けたい

Posted byブクログ

2020/12/19

本書を読んで初めて知ったが、敗戦直後には松江事件など、やはり負け戦を受け入れられない連中による騒動が続発していた。確かにマヌケだったりただただ陰惨だったりはするのだが、それでも時代に流されるまま親米右翼にかじを切り組合や左翼叩きに熱を上げてきた連中よりは人間として評価すべきところ...

本書を読んで初めて知ったが、敗戦直後には松江事件など、やはり負け戦を受け入れられない連中による騒動が続発していた。確かにマヌケだったりただただ陰惨だったりはするのだが、それでも時代に流されるまま親米右翼にかじを切り組合や左翼叩きに熱を上げてきた連中よりは人間として評価すべきところは多いだろう。しかし本書を読むとそうした人々は右翼の中でもマイノリティでしかなく、宗教右翼から現代のネトウヨに至るまで、金の力、権力の力になびく太く黒い流れこそ日本の右翼の本質であると痛感する。

Posted byブクログ

2020/05/05

右翼、そして左翼。 よく聞くけれど、その実はよく知らないという方は多いのでは? 4月29日昭和の日、右翼団体と思われる人たちが一日中何かを騒ぎ立てていた。 5月1日、仕事の為外出すると官公庁の前で「恥を知れ!」と黒塗りの街宣車に乗ってきた人たちが怒鳴り立てていた。 単純に疑...

右翼、そして左翼。 よく聞くけれど、その実はよく知らないという方は多いのでは? 4月29日昭和の日、右翼団体と思われる人たちが一日中何かを騒ぎ立てていた。 5月1日、仕事の為外出すると官公庁の前で「恥を知れ!」と黒塗りの街宣車に乗ってきた人たちが怒鳴り立てていた。 単純に疑問に感じたので、本棚の肥やしになっていた本書を手に取った。 この本の内容が全てではないのは当然のことだが、それにしても衝撃を覚えたのは一ヶ所や二ヶ所のことではない。 有権者として、一票を持ち得る者として、しっかり考える義務があると強く感じた。

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2020/02/23

なんとも感想の書きにくい本だが、勉強になった。大衆こそが政治を動かすというのは、ガセットの大衆の反逆において既に指摘されているが、これは怖い。

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2019/09/18

【右翼とはいっても,すべてが同じ色に染まっているわけではなかった】(文中より印象) 街宣車や拡声器,そして時にはネトウヨという言葉に代表されるようなイメージで語られてしまう戦後の「右翼」。敗戦後の混乱から現在に到るまで,多様な潮流を生み出したその思想的な歩みを眺め,今日的意義を...

【右翼とはいっても,すべてが同じ色に染まっているわけではなかった】(文中より印象) 街宣車や拡声器,そして時にはネトウヨという言葉に代表されるようなイメージで語られてしまう戦後の「右翼」。敗戦後の混乱から現在に到るまで,多様な潮流を生み出したその思想的な歩みを眺め,今日的意義を考える作品です。著者は,『ネットと愛国』等の著作でも知られる安田浩一。 表題が示すように大枠としての「右翼」の歴史を知る上で大変勉強になる一冊でした。右翼という言葉とその響きからは想像もできない思想的なグループがあったりするなど,意外性に満ち溢れた作品でもあるかと。 評判の高さも宜なるかな☆5つ

Posted byブクログ