死處 戦国武士道物語 の商品レビュー
未発表作「死處」含む、短編八作品収録
城を守る者、石ころ、夏草戦記、青竹、紅梅月毛、土佐の国柱、熊谷十郎左、死處 未発表作「死處」含む、短編八作品収録。 その他の作品については既出で、読んだことのあるものも多い。 後書きにて、「死處」が未発表となった背景が解説されている。 個人的に、「土佐の国柱」は山...
城を守る者、石ころ、夏草戦記、青竹、紅梅月毛、土佐の国柱、熊谷十郎左、死處 未発表作「死處」含む、短編八作品収録。 その他の作品については既出で、読んだことのあるものも多い。 後書きにて、「死處」が未発表となった背景が解説されている。 個人的に、「土佐の国柱」は山本周五郎作品を読み始めた最初期に読んだ作品で、読み返すのが怖かった。20年ほど経って、私という人間も少しは変わった。 なお、「戦国武士道物語」という副題には違和感がある。ノモンハンでは複数人の部隊長が自決している。浅学の為、他の戦場については知らないが、「夏草戦記」は現実に起こりうる、起こっている話だったと思う。 その他の作品を含め、良くも悪くも、執筆時現在(戦前・戦中)を描いた小説集だと思う。
長束
表題作「死處」は未発表の儘、七十数年振りに講談社の資料室から発見された作品との事。 乱世の名も無き武士の死に様にフォーカスした短篇集。彼らの名は歴史には残らない。然し恐らくはこんな人々が嘗ては居たのであろう。 彼らの人生と其の死に様は歴史の中に埋没した石礫のようだ。け...
表題作「死處」は未発表の儘、七十数年振りに講談社の資料室から発見された作品との事。 乱世の名も無き武士の死に様にフォーカスした短篇集。彼らの名は歴史には残らない。然し恐らくはこんな人々が嘗ては居たのであろう。 彼らの人生と其の死に様は歴史の中に埋没した石礫のようだ。けれども、そんな石礫の一つ一つを取り上げ、磨き、彫琢し、作品に昇華した山本周五郎の筆致には得も言われぬ愛を感じる。「石ころ」作中の多田新蔵が石塊を愛でる姿には作者の姿がそのまま重なる。其の眼差しのやさしさを行間に幻視する思いであった。
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古い話だけど、泣ける。大将ではなく、名も知らない部下たちの忠義、武士としての生き様、心にじんわりくる。
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周五郎の短編集。 主人公の生き方考え方が、なんとも言えず身に染みる話が多い。今の世の中こんな人間が果たしてどれだけいるだろうか。自らのの保身と栄達のみを考える浅はかな輩が多いのではないだろうか。 元来日本人の原型は、この周五郎の描いた人間の中にあるのではないだろうか。私は周五...
周五郎の短編集。 主人公の生き方考え方が、なんとも言えず身に染みる話が多い。今の世の中こんな人間が果たしてどれだけいるだろうか。自らのの保身と栄達のみを考える浅はかな輩が多いのではないだろうか。 元来日本人の原型は、この周五郎の描いた人間の中にあるのではないだろうか。私は周五郎描くところの人間になりたい。
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77年ぶりに発見された未発表作(表題)を巻末に、その10ヶ月後に発表された同音異曲「城を守る者」を冒頭に、その他「石ころ」「夏草戦記」等、全て第二次世界大戦の戦中に発表された「戦国武士道物語」8篇を収める。山本周五郎の戦記ものは、もしかしたら初めて読んだ気がする。時はまだ真珠湾攻...
77年ぶりに発見された未発表作(表題)を巻末に、その10ヶ月後に発表された同音異曲「城を守る者」を冒頭に、その他「石ころ」「夏草戦記」等、全て第二次世界大戦の戦中に発表された「戦国武士道物語」8篇を収める。山本周五郎の戦記ものは、もしかしたら初めて読んだ気がする。時はまだ真珠湾攻撃の勢いを駆って、世の中の戦記ものは信長、秀吉、家康を始めとして有名な英雄を主人公にした物語が多かった頃。しかし、此処に綴られる人物たちは、その下で働いた無名の者たちばかりである。 「どれほど多くのもののふが夏草の下にうもれたことだろう。その人々は名も遺らず、伝記も伝わらない、かつてあったかたちはあとかたもなく消えてしまう、だがそのたましいは消えはしない、われらの血のなかに生きている、われらの血のつづくかぎり生きているのだ。」(96p「夏草戦記」より) ほとんどの読者は、戦争を体験、或いは身近に聴き知っている者ばかりだったろう。その者たちに向かい、1番心に響く言葉を周五郎は書いた。この部分だけ、周五郎はひらがなをおおくつかい、ぶんを「。」で止めなかった。まさに、無名のひとたちにかたりかけたのである。 「死處」は、最前線に出て勇猛果敢に死を賭して戦うことだけが死處ではない、他に選ぶ死處はあることを語った話である。しかし編集部に渡していた原稿が掲載される前に、雑誌が紙不足のために休刊して仕舞う。周五郎は原稿の返却を言わなかった。その不器用さは、ここに出てくる多くの登場人物たちの行動と似ている。そして、同じモチーフを使いながらもう一度別の作品を書く。私は「城を守る者」の方が完成度も、テーマ的にも優れていると思う。 戦後に吉川英治は一時筆を絶った。有名人だけを主人公に据え、忠義を追い求め、従軍作家にもなった吉川英治は、「新平家物語」を書くまでは再出発することができなかった。山本周五郎にそういう中断はなかった。蓋(けだ)し、周五郎再評価、宜哉(むべなるかな)。
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戦国時代における日本人の死生観が感じられる短編集。 政治家やらが「命懸けで…」、「~生命を賭けて」というが、なんと浅薄なことか。 「武士道」を大上段に構えてモノ言う奴は俺は嫌いだ。
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77年ぶりに発見された未発表作「死處」収録! 戦時下の動乱に未発表のまま置かれていた小説「死處」。77年の時を経て初収録される表題作他、伊達藩の武士と少女の姿を哀切とともに綴る名作「夏草戦記」など。戦国を舞台に日本人の死生観を描く傑作全8篇。
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