戦後日本の「独立」 の商品レビュー
終戦から講和条約までの間、つまり占領期の様々な出来事について、四人の作家・学者が多くの資料や彼らがインタビューした内容などに基づき、日本人の意識や政府方針について語り尽くす内容。レッドパージや安保条約、朝鮮戦争などの政治問題・国際問題などから、引揚者の生活、黒澤・小津の映画、講和...
終戦から講和条約までの間、つまり占領期の様々な出来事について、四人の作家・学者が多くの資料や彼らがインタビューした内容などに基づき、日本人の意識や政府方針について語り尽くす内容。レッドパージや安保条約、朝鮮戦争などの政治問題・国際問題などから、引揚者の生活、黒澤・小津の映画、講和・安保条約など、15のテーマがとりあげられ、四人の知識・経験から「あれは実はこうだった」「こう解釈すべき」など、歴史的事実やニュースで知った内容のタテヨコのからみがよりクリアになる。条約によって独立は果たしたが、以来「自立」はしていないのではないかという意見には、今の日米の関係を考えるとぐさりと刺さるものがある。また、この四人のような本当の意味でのご意見番が少なくなっていくことにも危機感を覚える。
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戦後日本のなかの三・一一 丸山眞男「超国家主義の論理と心理」の衝撃 民主化のなかの宮様たち 二・一ゼネストの中止命令 アメリカ文化の大流入 黒澤明・小津安二郎が描いた戦後風景 西田幾多郎全集の売り切れ 中華人民共和国と北朝鮮の成立 異国の丘と引揚者 文藝春秋「天皇陛下大いに笑う」...
戦後日本のなかの三・一一 丸山眞男「超国家主義の論理と心理」の衝撃 民主化のなかの宮様たち 二・一ゼネストの中止命令 アメリカ文化の大流入 黒澤明・小津安二郎が描いた戦後風景 西田幾多郎全集の売り切れ 中華人民共和国と北朝鮮の成立 異国の丘と引揚者 文藝春秋「天皇陛下大いに笑う」の成功 日本再軍備をもう一度ふり返る レッド・パージ 講和問題と「曲学阿世」 安保条約と吉田ドクトリン アメリカから得たもの失ったもの 著者:半藤一利(1930-、墨田区、作家)、竹内修司(1936-、フリーライター)、保阪正康(1939-、札幌市、作家)、松本健一(1946-2014、群馬県、評論家)
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2018年8月6日の日経新聞の社説に書かれていた「世界54億の人間の1人として地獄を知っていながら『知らないふり』をすることは何にもまして罪深いことだと考えるから書く」という文を見て、ーなるほどこの視点からのアプローチはできていなかった。「もっと知らなければ…」という衝動から手に...
2018年8月6日の日経新聞の社説に書かれていた「世界54億の人間の1人として地獄を知っていながら『知らないふり』をすることは何にもまして罪深いことだと考えるから書く」という文を見て、ーなるほどこの視点からのアプローチはできていなかった。「もっと知らなければ…」という衝動から手にとった1冊です。 私は戦争物や事件物、ホラーが大嫌いです。なぜなら、想像力豊かだからです。そのため、この手の本は可愛いカバーをかけて読みます。内容は「ここまで踏み込むんだ…大丈夫なのかな…」と意見が分かれる話に昭和の4偉人達の対談が連なります。「昭和史は個人で考えるものだ」とはなるほどこういう事かとも思わせます。例えば、作品中に出てくる偉人達を検索しては賛否両論との具合に。 そんな中でも私が1番心に残ったのは『憲法は必ずしも整合性を持たせる必要はない。…憲法第一条の「国民主権」は民主主義原理で、第二条の「皇位世襲」というのは、反民主主義で、いわば生物学理論です。全然整合性なんかないでしょう。』という部分です。 終章「アメリカから得たもの失ったもの」にて「憲法は得たものか失ったものか」の議論がなされる部分を読んでいた時、私はこの本と同時に『マンガでわかる量子力学』をアメコミ好きが高じて読んでいたのですが、憲法は「得たもの」だと思わざるをえませんでした。 私は生物学的でもあり民主主義的でもある憲法を戦後知恵を絞って向き合ってきた、中でも私利私欲にまみれない政治家さんや海外の外交官さんを感じて少しだけ「捨てたもんじゃないなぁ。」なーんて大嫌いな戦争のお話ではありましたが、恐竜映画やアメコミが大好きな整合性のとれていない私が、ほんの少しほんの少しだけれども前向きな視点を持てるようになれたのでした。
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