グレースの履歴 の商品レビュー
ジャンルはロードムービー純愛ミステリー 真っ赤な左ハンドルのホンダS800の由来をめぐるロードムービー。 珍しくNHKのテレビドラマをダウンロードして見始めた。それは私(シクロクロッサーとして)には馴染みがあるマキノのメタセコイヤ並木をS800が走り抜けるシーンから始まった。 ...
ジャンルはロードムービー純愛ミステリー 真っ赤な左ハンドルのホンダS800の由来をめぐるロードムービー。 珍しくNHKのテレビドラマをダウンロードして見始めた。それは私(シクロクロッサーとして)には馴染みがあるマキノのメタセコイヤ並木をS800が走り抜けるシーンから始まった。 数話見たところで、妻を失った男が免許を新しく取り、マニュアルのS800でオープンのまま渋滞に巻き込まれエンストを繰り返しながら旅を始める。これだけでドラマとしては成り立つ。がミステリーツアーと化していく。答えがあるのか、ないのかもわからない感じである。 これは原作があるに違いないと調べてみると、作家はシナリオ作家で原作も出版されていた。 話は妻である美奈子がリフレッシュのためにフランスに旅立つところから始まる。 夫である喜久夫は優しく妻を見送る。 テレビドラマにはないシーンだが、原作ではモナコについた美奈子がMGミジェットをモナコのF1コースで走らせる。その後事故が起きてしまう。そして妻には夫に打ち明けていない秘密があった。 家族の話でもある。喜久夫の複雑な家庭事情がページをめくるごとに明らかになっていく。 S800が訪れる湘南、諏訪湖、近江八幡、高島マキノ、因島、松山、そしてモナコをめぐるロードムービーが始まる。モナコ以外は色んな意味で馴染みがある場所だ。 つい先週は勢い余って近江八幡近くで舞台になった酒造まで行ってしまった。 ドラマには原作にない人物も登場するから別の楽しみもあるのだろう。それは先に取っておこう。 正直にいうと原作を読む間何回も泣いた。 今度はテレビドラマを最後まで見て見よう。
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亡き妻が残した車のカーナビの履歴を辿る旅に出る主人公…。こんな設定にまず惹かれました。 600ページ近くあるので、読むの大変かなと思ったけど、グレース・ケリーのエピソードの辺りからは、一気に読んでしまいました。 ラストは、「生き方」について背中を押してもらったようで、とても心...
亡き妻が残した車のカーナビの履歴を辿る旅に出る主人公…。こんな設定にまず惹かれました。 600ページ近くあるので、読むの大変かなと思ったけど、グレース・ケリーのエピソードの辺りからは、一気に読んでしまいました。 ラストは、「生き方」について背中を押してもらったようで、とても心に染みたなあ。この作品に出会えたことに感謝です。(^^)
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図書館で単行本の方を借りて読んでいたが、返却期限までに読み終えるのが難しそうだしテレビドラマ(この週末から)を見ながらまた読み返したくなることもあろうかと思って、文庫版を手に入れた。奥付によると単行本から改題して文庫化とあり、最初に目次はついたけれど、あとがきや解説は一切なし。単行本は真っ赤でかっこいい造本だったけど、文庫本はずいぶんかわいらしい装丁になった。 とある夫婦、思いもよらぬ事故で妻に先立たれた夫の再生の物語。図書館の本で半分ちょっとまで読み進んだら、もう止まらないので、返しに行く足で買ってきて、初回放送前に読み終えた。美奈子ができすぎでかっこよすぎるのと、世代的には私の世代の登場人物たちがだれもかれも「家内」という言葉遣いがちょっと古い気がしたけれど、全体にはよくできた物語だった。一台の車をめぐって行く先々でであい結びつく人々、主人公の来し方をめぐって結びつく人々、どちらもドラマチックだった。現代版「即興詩人」といってもいい。 各章の冒頭に本田宗一郎の言葉が引用されているのも興味深かった。 これを8回のドラマにするのか…国内はもとより海外ロケもしたのだろうか? 原作者=(このところの傑作ドラマ『ライジング若冲 天才 かく覚醒せり』『忠臣蔵狂詩曲No.5 中村仲蔵 出世階段』を作ってきた)演出家なので期待は大きいが、さまざまな印象的な場面がどこまで再現されるのか楽しみなような不安なような… 5月12日追記:リアタイも録画も忘れてしまった7回を除いて最終回まで見終えた。プロローグとエピローグとなるモナコの場面も見たかったなあと思うけど(海外ロケはなし)、国内ロケは期待以上に美しく、風景以外の映像も音楽も美しく、いい作品にまとまっていた。 「愛しているから、わたしは彼の人生に責任がある/死んでも相手の人生に責任を持つ。それが夫婦」と言い切り、実際に希久夫の人生から去っていった人びととの交流をひとつひとつ取り戻してカーナビに残した美奈子はあまりに強く気高く、愛が深くて、真似できそうにない。その観察力、行動力、そして人の胸襟を開かせる愛嬌。ある意味理想の女性(母親)像かな…すぐそばにいた、でも永遠に失われてしまったマドンナを発見し、それを自分の守護霊にして前を向く旅だったんだな。
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「愛してるから、わたしには彼を幸せにする責任がある」 比翼連理の夫婦。 全てを曝け出すことが夫婦ではない。 全てを許すことが夫婦ではない。 夫婦であっても血の繋がりはなく、1人の人間同士で、知らないことも多い。 美奈子と希久夫も類外ではなく、互いに知らない部分もあった。...
「愛してるから、わたしには彼を幸せにする責任がある」 比翼連理の夫婦。 全てを曝け出すことが夫婦ではない。 全てを許すことが夫婦ではない。 夫婦であっても血の繋がりはなく、1人の人間同士で、知らないことも多い。 美奈子と希久夫も類外ではなく、互いに知らない部分もあった。 それでも、こんなに愛を感じられる夫婦が世の中にどれほどいるのか。 美奈子と希久夫、過去と現実、追いかけるような展開。心を掴んで離してくれない。 今は夜中の2時37分。一気に読み終えてしまった。 道中、トレンシー・チャップマンのfirst car、レディオヘッドのcreep、シンディ・ローバーのtrue colorsを聴きながら。 「何かのために何かを一方的に犠牲にすることは、無益で、残酷で、つまらないこと」 思えば、希久夫のこの一言で惹かれてしまった。美奈子も希久夫も、本当に魅力的。 「人生というものは、決して振り向いてはいけないものなんだと思います」 この作品の主役とも呼べる、グレース。その由来にもなっている、彼女の言葉も物語を読めば心に染み渡る。 私にあまりにも共震点が多すぎた。 美奈子が亡くなったのが私の誕生日であること。 現在、免許取得で教習所に通っていること。 ヨーロッパ周遊を計画していること。 モナコに、行きたい。 車に乗って、1人で、どこか私を知らない場所に旅したい。 ヨーロッパ周遊、色々迷いがあったけど。 グレースの履歴、彼らの言葉に押されて、心が決まったような気がする。 やっぱり、私にとって作品の言葉は酸素。必要不可欠。 本作がドラマ化されること。 私の最愛とも呼べる俳優さん、滝藤賢一さんが希久夫を演じてくれること。 楽しみで仕方がない。 その日のために頑張ろうと思えるほど。 もう1つ、夢ができた。 免許を取ったら、美奈子が聴いていたこの3曲を流しながら…。海の見える、街を走りたい!
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妻が突然の事故死。夫は妻の愛車に乗って彼女の最後の旅を同じように訪ねていく。カーナビの履歴に残された、妻から夫へのメッセージ。 ちょっっっと、綺麗すぎるかなぁ。 往年の女優との出会いと、車を生み出したエンジニアとの出会いも。 夫本人の気持ちにもっと迫って欲しかったなぁ。
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文庫本で600ページ、躊躇したが、読み始めるとあっという間だった。 脚色はされているのだろうが、グレース・ケリーと、征二郎とのやり取りは心に残った。 生まれて初めて買う車はHondaと、前から決めていた。 何故なら当時F1に本田は参戦していて、たまたま購入した本に、オヤジが、二輪と四輪で、WRに参戦した歴史が書かれたものだった。寝るのも惜しんで読んだ。本田の車が、憧れだった時代。 「割り切れないのが人生なんです。だったら、割り切れないことをするのがいいんだな」 希久夫も、亡くなってしまった美奈子、草織も割り切れない人生を抱えている、そして今後も。 読みながら思ったのは、誰しも何かしらの後悔を抱えている、人によれば大きな絶望かもしれない。でも、そういったことが人生なのかなと。 「悔いが残ることの一つひとつがいかにも自分らしくてさ、たとえ時間を巻き戻してやり直したとしてもきっと同じ結果になると思う。同じことを考えて、同じことをしてしまう。だから後悔はするのもほどほどにしよう。」という希久夫の言葉が心に沁みた。 「人生というものは、決して振り向いてはいけないものなんだと思います」by グレース・ケリー、きっとその通りなのだろう。 又、きっと読み返すことがあるだろうなと思える一冊だった。
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