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アメリカ民主主義の衰退とニーチェ思想 の商品レビュー

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2022/08/07

アメリカの民主主義の衰退というタイトルの一部からは、アメリカの民主主義のあり方をクロノロジカルに展開するものと思ったが時にはソール・ベローの小説を時にはトーマス・マンの小説を中心に文学との関係性から解き明かす学術書である。大学の先生に勧められたので読んだが、あらすじも登場人物も知...

アメリカの民主主義の衰退というタイトルの一部からは、アメリカの民主主義のあり方をクロノロジカルに展開するものと思ったが時にはソール・ベローの小説を時にはトーマス・マンの小説を中心に文学との関係性から解き明かす学術書である。大学の先生に勧められたので読んだが、あらすじも登場人物も知らない小説との関連でアメリカ現代思想を紐解かんとしているため、分からない固有名詞の多さに整理がつかなくなる。特に小説の内部の事柄を扱っているところは途中から飛ばし読みしてしまった。ニーチェ思想をニューレフトの思想的背景に据えるのは右翼ほど綺麗にいかないみたい。私はフランスの現代思想あたりを専門にしようとしているが、ジャーゴン化した難解な文章を暗号解読のように理解できた時に訪れる高揚感からなんでも理解した気になってるというのも耳が痛くなるほどよくわかる。頭のいい大学の先生たちが研究しているのだから支離滅裂なはずがないと思うのはやめにして、もっと素直に考えるという意識は持っていたほうがいいかもしれない。そして、あらゆるものを脱構築してきた現代思想の学者たちが性欲というものを最後の牙城として中心から切り崩さなかったという箇所があったが、確かにと思わされてしまった。

Posted byブクログ

2018/10/08

猛烈に面白い。ソールベローはラヴェルスタインを描くことでネオコンのグルであるアランブルームがHIVで歪んだニーチェ主義者で俗物だと二重構造でバカにしていたことから始まり、米国のネオコン思想の背後にワーグナーを悪くマネして愚民を嘘で支配するニーチェ思想があると語る。リベラル左翼が脱...

猛烈に面白い。ソールベローはラヴェルスタインを描くことでネオコンのグルであるアランブルームがHIVで歪んだニーチェ主義者で俗物だと二重構造でバカにしていたことから始まり、米国のネオコン思想の背後にワーグナーを悪くマネして愚民を嘘で支配するニーチェ思想があると語る。リベラル左翼が脱構築といって論理的思考ができなくなった間隙を縫ってネオコン右翼が古典作品を活用して論理的思考を身につけ思想的覇権を得てフリードマンも大暴れしたと分かる。トーマスマンがニーチェ主義者でナチズムに寄与してることやニーチェが佯狂の可能性があったことなどもわかる面白すぎる一冊

Posted byブクログ