星夜航行(下巻) の商品レビュー
労作にして大作。 秀吉の朝鮮出兵を時系列(日付つき)で描いている。 ここまで朝鮮出兵を徹底的に描いた作品は知らない。 戦場の場面に圧倒されるのだが、なぜか草深い岡崎が舞台の第1部が心に残る。
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冒頭の衝撃ボディブローがじわじわ攻め立て、自分の読解力と処理能力をはるかに超える情報量の波に溺れそうになりながら追い立てられるように読み進む。 圧巻はその浸透度。ずんずん侵食され心は遠き彼の地へ。 読み終えて覚える安堵感は言わずものがな。
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長い長い物語、1100ページを一気に読み通してしまった。飯島氏の小説はいつもと感心しながらその世界に浸りながら読み終えてしまう。 秀吉の朝鮮出兵の出来事を物語の中心に据え、その周辺に登場する様々な群像を冷徹な目を思って眺めていく。人はその時代その状況の中で生きていき、死んでいく以...
長い長い物語、1100ページを一気に読み通してしまった。飯島氏の小説はいつもと感心しながらその世界に浸りながら読み終えてしまう。 秀吉の朝鮮出兵の出来事を物語の中心に据え、その周辺に登場する様々な群像を冷徹な目を思って眺めていく。人はその時代その状況の中で生きていき、死んでいく以外に方法は無い。これは現代に置き換えてみても、私たちの生活状況に置き換えてみても、何も違わないのかもしれない。 降倭軍通して秀吉軍と戦う人々は、何を思い、何を目指して、何のために戦うのであろうか?人はいつの時代も戦争を止める事はできない、殺し合うことをを続けなければいけない、
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大作『星夜航行』の下巻である。秀吉の野望による朝鮮出兵は、泥沼の様相を呈してくる。小西行長らによる工作を、秀吉は都合よく解釈してしまった。策が裏目に出て、出兵を回避するどころか、混乱は深まるばかり。 そんな中でも、家康など兵を送らずに済んだ武将もいる。おとなしく秀吉に従うつもりなど、最初からない。秀吉による中央集権の目をかいくぐり、虎視眈々と力を蓄えていたのだ。その裏で、商人たちも密かに動いていた。 武将たちが秀吉に従わざるを得ない一方、商人たちは強かだった。時流を巧みに読み、身軽に拠点を移す。海に生きる男たちの存在は欠かせない。甚五郎もまた、彼らに交じり、琉球や呂宋にまで足を伸ばす。秀吉が支配する日本を見限るかのように。 しかし、秀吉の野望は呂宋の日本人社会にも影響を及ぼしていた。さらには、日本国内での権益を巡り、ポルトガル人とイスパニア人が対立する。海千山千の商人たちも、秀吉の影響下から逃れる術はない。文章から虚無感が漂ってくるようだ。 朝鮮の戦線はといえば、大勝と大敗を繰り返し、支配は進まない。秀吉の病状が伝わり、武将たちも秀吉の死を願う有様である。秀吉が生きている限り、勝者のいない戦は終わらない。そうして両国の兵だけでなく、罪のない民の犠牲が増えていく。朝鮮はさらに、明からの援軍にも国を荒らされる。 厭戦気分が漂い、もはや誇りのかけらもない日本の武将。キリシタンの小西行長も、保身しか考えていない始末。とはいえ、武将たちは、そもそもそれぞれの領国を守るために出兵した。結果、農民もいなくなり、領国は荒れ果てた。収穫は何もない。 一方、朝鮮には誇り高き海将がいた。明の武将さえも感じ入ったほどである。祖国を蹂躙した者どもを、易々と帰国させはしない。ただの意地だったかもしれないが、救いのない本作にあって、その海将が残した印象は、あまりにも鮮烈だった。 この大作に描かれたのは、人間というものの業の深さ。秀吉や武将たちだけではなく、甚五郎たち商人もである。第二次大戦に突入していった大日本帝国の姿と、重なる点が多い。こんな馬鹿げた歴史が、繰り返されないことを願うのみ。 最後に甚五郎が選んだ道については、触れずにおこう。正解のない物語にあって、これが彼にとっての正解だったのだ。
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いただきもののプルーフ読んでました。飯嶋和一、オモロいよ、それは知ってんねん。ただ、雷電にせよ始祖鳥にせよ、ヒーローがかっこ良過ぎ、話全体のトーンが明る過ぎてちょっとね。神無き月の後半、絶望的な結末へ一直線なんだけど読むの止められないあの昏さが好きなんよね、Qとかにもつながるか。...
いただきもののプルーフ読んでました。飯嶋和一、オモロいよ、それは知ってんねん。ただ、雷電にせよ始祖鳥にせよ、ヒーローがかっこ良過ぎ、話全体のトーンが明る過ぎてちょっとね。神無き月の後半、絶望的な結末へ一直線なんだけど読むの止められないあの昏さが好きなんよね、Qとかにもつながるか。 と思って読むとなぁ、権力の暗い圧迫みたいな面はあるけど、やっぱり主人公がかっこ良過ぎてひねくれものには眩しいのよ。
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