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星夜航行(上巻) の商品レビュー

3.9

15件のお客様レビュー

  1. 5つ

    3

  2. 4つ

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2023/05/05

沢瀬甚五郎は徳川家を出奔する。 家康の長男信康付の小姓となるも、家康の命により主君は自害。追腹を切った同朋追善の為に出家するが、後に商人となって堺、薩摩、博多へと変転の人生を送る。しかし、天下統一を成し遂げた秀吉の政略が、甚五郎のみならず日本中の人々を、やがて朝鮮やフィリピンの人...

沢瀬甚五郎は徳川家を出奔する。 家康の長男信康付の小姓となるも、家康の命により主君は自害。追腹を切った同朋追善の為に出家するが、後に商人となって堺、薩摩、博多へと変転の人生を送る。しかし、天下統一を成し遂げた秀吉の政略が、甚五郎のみならず日本中の人々を、やがて朝鮮やフィリピンの人々までも飲み込んでいく。 物語は、沢瀬甚五郎を主軸としつつ朝鮮と日本の間で翻弄される対馬島主宗氏や、阿蘇大宮司家を主君と仰ぐ肥後国人衆、日本との貿易で利益をあげるポルトガル人、ひたすら神の教えを伝えようとする修道士など、多彩な人々の生き様を描いていく。 絶対的な権力を手中にし、朝鮮と明を服属•支配するという秀吉の無謀な夢が、数多の命を死と荒廃の坩堝の中に投げ込む様はまるで悪夢だ。だがふと振り返れば、私たちは同じ悪夢をウクライナの地で見せられているのかもしれない。

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2021/02/11

飯嶋和一の「星夜航行」を読み終えました。 ハードカバーの本をベッドで読むのは難しいですね。 でも、読み進めるうち、そんなこと言ってられないくらいひきづりこまれました。 会話部分も極端に少なく、硬い文章で森鷗外の読んでいるような気がしました。 舞台は戦国、徳川家康の長男・信康...

飯嶋和一の「星夜航行」を読み終えました。 ハードカバーの本をベッドで読むのは難しいですね。 でも、読み進めるうち、そんなこと言ってられないくらいひきづりこまれました。 会話部分も極端に少なく、硬い文章で森鷗外の読んでいるような気がしました。 舞台は戦国、徳川家康の長男・信康の小姓として側そばに仕えた沢瀬甚五郎は 罪無くして故郷を追われ、堺、薩摩、博多、呂宋の地を転々とする。 海商人として一家を成した頃、秀吉の朝鮮・明国への無謀な侵略に否応なく巻き込まれる。 この本ではかなりの部分をさいて小西行長、加藤清正ら秀吉軍の 傍若無人な侵略も様子が丁寧に描かれている。 『この戦乱で最も苦しんでいるのは、衆生、下々の民である。この朝鮮でも、日本でも、 恐らく明国でも、最も厄災をこうむるのは、いずこによらず民草なのだ。 この秀吉が起こした戦乱によって、親兄弟を殺され、夫や妻や子をうしない、 疫病は蔓延して皆飢餓に瀕している。』 九年の歳月を費やして書かれたこの小説は飯嶋和一の代表作になったことに間違いない。 近年の作家の中では出色の作家だと思う。

Posted byブクログ

2020/01/11

歴史は勝者の視点で語られがちであり、大河ドラマやゲームだけで歴史を知ったつもりになってはいけない。謀反を企てたとして死んだ家康の嫡男に仕えていた主人公の甚五郎から見た、歴史の勝者による愚挙の数々がこの小説からは語られる。特に第二部での朝鮮出兵のきっかけからの下りには、こんなことで...

歴史は勝者の視点で語られがちであり、大河ドラマやゲームだけで歴史を知ったつもりになってはいけない。謀反を企てたとして死んだ家康の嫡男に仕えていた主人公の甚五郎から見た、歴史の勝者による愚挙の数々がこの小説からは語られる。特に第二部での朝鮮出兵のきっかけからの下りには、こんなことでいいのかと頭を抱えたくなる。ボリュームのある物語の半分が終わったばかりで、この後は一体何が語られるというのか。頑張って読もう。

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2019/04/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

2019.4 冗長すぎる。最後は斜め読みではなく5段飛ばしで読了。まぁ秀吉の朝鮮出兵の酷さははじめて読みましたが、これだけくどいと半減ですね。

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2019/03/20

上巻は戦国時代から秀吉の朝鮮出兵まで。物語の目線は、秀吉や家康ではなく、戦国武将でもなく、元信康に仕えた一介の男なので、時代のうねりに巻き込まれる側の歴史を知ることができます。また、朝鮮出兵の内実も知れました。俺が俺がの戦いぶりは酷いし、韓国人はみんな逃げちゃうんですね。戦線が伸...

上巻は戦国時代から秀吉の朝鮮出兵まで。物語の目線は、秀吉や家康ではなく、戦国武将でもなく、元信康に仕えた一介の男なので、時代のうねりに巻き込まれる側の歴史を知ることができます。また、朝鮮出兵の内実も知れました。俺が俺がの戦いぶりは酷いし、韓国人はみんな逃げちゃうんですね。戦線が伸びきって補給がヤバイというのはデジャヴか?下巻に向かいます。

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2019/03/13
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

徳川家康の長男・徳川三郎信康の小姓 沢瀬甚五郎。彼の波乱の人生を通して語られる信長・秀吉・家康。それらはあまり語られていないイメージでそこにも引き込まれるが、最大の首根っこひっつかまれポイントは学校でも教えてくれない、司馬遼太郎も大河ドラマも避けて通った【文禄慶長の役】をこれでもか!って...いや、もう読んで!知らなきゃいけない歴史の真実は司馬史観のミッシングリンクを補完してくれる。 あと、大日本帝国参謀本部は学習してないのかよ!ってくらい秀吉軍と日本軍が同じテツ踏みまくり!児玉源太郎なにしてんねん!みたいな。

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2018/12/26

戦国時代の末期、織田信長が本能寺の変で斃れ、豊臣秀吉が天下統一を果たし、朝鮮出兵で厳しい戦いをしている時代の歴史小説。岡崎三郎信康が徳川家康の嫡男だったころに仕えていた小姓の沢瀬甚五郎を軸としている。 三郎信康は父家康から切腹を命ぜられ、甚五郎は主を失う。それから様々なことがあ...

戦国時代の末期、織田信長が本能寺の変で斃れ、豊臣秀吉が天下統一を果たし、朝鮮出兵で厳しい戦いをしている時代の歴史小説。岡崎三郎信康が徳川家康の嫡男だったころに仕えていた小姓の沢瀬甚五郎を軸としている。 三郎信康は父家康から切腹を命ぜられ、甚五郎は主を失う。それから様々なことがあり海商人として活躍をする。ところが、朝鮮出兵に巻き込まれ、日本と朝鮮の民や兵士を苦しむ現実に直面する。 時代が大きく動く中で、有名武将ではなく、少し離れた視点での歴史を語られる。そのため、民の苦しみや心情が甚五郎を通じて浮かび上がってくる。非常に長い物語であり、読むのに少し時間がかかった。しかし、これでもまだ半分。下巻ではどのような物語が待っているのだろうか。期待しながら下巻に進む。

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2018/10/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

内容は沢瀬甚五郎が信康の小姓から逃げ出して堺のお店で働き出したことをきっかけに薩摩の店、博多の店に移り住み、とうとう秀吉の朝鮮出兵に巻き込まれるところで終わる。 しかしこの話は中が細かくて内容がトロの様に重くて良く味わうと美味いと言うか、良いんだけど速読は厳しい。 でも内容的に面白いので下巻にも行くぞ! エイエイオオ!

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2018/10/14

★2018年9月16日読了『星夜航行(上)』飯嶋和一著 評価A 沢瀬甚五郎という戦国時代末期から江戸時代にかけて生きた武士を主人公に当時の武士、町人の人々、そして九州、対馬、朝鮮の現地はどのような状況だったのかを飯嶋氏らしく丁寧な時代考証を元に描いていく作品。 織田信長の命令...

★2018年9月16日読了『星夜航行(上)』飯嶋和一著 評価A 沢瀬甚五郎という戦国時代末期から江戸時代にかけて生きた武士を主人公に当時の武士、町人の人々、そして九州、対馬、朝鮮の現地はどのような状況だったのかを飯嶋氏らしく丁寧な時代考証を元に描いていく作品。 織田信長の命令に逆らえない実父徳川家康の命で徳川家康の息子徳川三郎信康は切腹。その部下だった石川修理亮は殉死。 その修理亮に遣えていた沢瀬甚五郎は逐電、修行僧となって追っ手の追及を振り切って逃走。大阪堺に流れ着き、商人集屋助左衛門を手伝うも、本能寺の変で織田信長が死亡し、畿内が安定しなくなった情勢を見て、九州、薩摩山川の出店へ移る。 それを追うかのように、秀吉の九州征伐の手が伸び、島津も軍門に降る。関東の北条滅亡後、豊臣秀吉の興味は朝鮮、明征服の大野望へ。 事前に平和的な解決を図ろうとするも、結局その外交策は実らず朝鮮出兵となる。

Posted byブクログ

2018/09/30

嫌日の生姜に似た名前の人が帯に載っているということで不吉な感じの本作。 上巻読了。 相変わらずの筆力である。 が、朝鮮征伐のあたりからしんどくなる。 というのは、飯嶋作品の特徴である個:不撓不屈の主人公(1~3名)の姿が埋没してしまっているからだろう。 下巻に望みをつなごう。

Posted byブクログ