こころの旅 の商品レビュー
須賀敦子による16篇のエッセイを収めたもの。全てどこかで読んだことのある文章。それは、当然。わたくし、(全巻ではないけれど)須賀敦子全集、持っているもの・・・。 再読とはいえ、「あ、これ知ってるからいいや」とはならない。何度でも読みたいと思わせる須賀敦子さんの文章は、しんと心に...
須賀敦子による16篇のエッセイを収めたもの。全てどこかで読んだことのある文章。それは、当然。わたくし、(全巻ではないけれど)須賀敦子全集、持っているもの・・・。 再読とはいえ、「あ、これ知ってるからいいや」とはならない。何度でも読みたいと思わせる須賀敦子さんの文章は、しんと心に入ってきて、なんだかさわさわして落ち着かない気持ちを、一旦静めてくれた。 今回は、「ある日、会って・・・」が特に印象に残った。これは、全集の第一巻に収録されているらしいのだが、実はあまり覚えていなかった。ある家族との束の間の時間の共有を楽しむ須賀敦子さんの目がとても優しいな、と思うと同時に、この須賀敦子にこんな風に思われる、このただの行きずりの家族の品の良さに心を奪われた。 須賀敦子の文章が好きなのは、言うまでもないとして、どうしてここまで須賀敦子の本を求めてしまうのか。池内紀さんの解説に、なるほど、と手を打った。曰く、「彼女は、未来のあるべき女を先どりしていたような気がしてならない。」と。そうだ、あの時代に、ひとりの女性として、凛と生きた彼女を、同じ女性として尊敬してやまないのだとわかった。 あらためて須賀敦子さんが歩いたイタリアにも行ってみたい気がした。
Posted by
素敵な人たちが皆、読んでいる須賀敦子さんの本。いつか読もうと思っていて、遂に読む機会が得られました。素敵な世界観のある方の文章。ただ、今の私にはしっくりこなかったな。 「きらめく海のトリエステ」「塩一トンの読書」は印象的だった。
Posted by
教養があって、知識があって、文章を書ける人っていうのは、対象がヒトでもモノでも街でも概念でも、自分以外のものをずっと見つめて煮詰めて考えられる人であるのだろうから、私が求めているというか幻想する種類の優しさや寂しさを持ってるのかなあ。まあそんなお洒落な階層に自分はいないので分から...
教養があって、知識があって、文章を書ける人っていうのは、対象がヒトでもモノでも街でも概念でも、自分以外のものをずっと見つめて煮詰めて考えられる人であるのだろうから、私が求めているというか幻想する種類の優しさや寂しさを持ってるのかなあ。まあそんなお洒落な階層に自分はいないので分からないんだけど。
Posted by
究極の自己完成とは、私たちの内部にある、異なった可能性のすべてを、忍耐ぶかく伸ばしてやる、複雑な作業なのだということを思い出させてもくれる。「インド夜想曲」と分身 1991•6
Posted by
ミラノで生きた須賀敦子の丁寧な日常を描いたエッセイ集。随所に大切な人々との死別や、ぐさりとくる呟きが粛々とした温度で語られる。
Posted by
須賀敦子も最近ぼちぼち復刊されたり、詩集が出たりしているなぁと思ったら、ハルキ文庫からエッセイ集が出てちょっと吃驚した。こういうのは河出だろうとw 河出文庫版の全集を持っているのでほぼ再読になるのだが、須賀敦子のエッセイは読んでいると何だか幸せな気分になる。
Posted by
- 1