大江健三郎賞8年の軌跡「文学の言葉」を恢復させる の商品レビュー
少し前の新聞に中村文則の「掏摸」が紹介されていた。中村さんは今や海外でも名を知られた作家だが、そのきっかけになったのが大江健三郎賞を受賞した本作が、賞の特典として翻訳されたからだ、という内容だった。 大江健三郎賞は聞いたことがあったが、選考委員は大江健三郎さんひとりで、賞金の代わ...
少し前の新聞に中村文則の「掏摸」が紹介されていた。中村さんは今や海外でも名を知られた作家だが、そのきっかけになったのが大江健三郎賞を受賞した本作が、賞の特典として翻訳されたからだ、という内容だった。 大江健三郎賞は聞いたことがあったが、選考委員は大江健三郎さんひとりで、賞金の代わりに海外に翻訳されて紹介される、賞は八年続いて既に終了しているということも知らなかった。 で、その賞の始めから終わりまでの受賞作の紹介とそれぞれの著者との対談を収録されているのが本作。 なかなか手ごわい本だったがおもしろかった。 受賞作のどれも読んだことが無いが、長島有の本は読んでみたいと思った。対談も一番楽しかった。 大江さんも最後の方で言及されている。 大江健三郎もよく知らなかったが、ご自身のことに触れられている部分も多く、知ることができた。 大江さんの文学に対する誠実さで成り立っていた賞だった。それを支えていた優秀な編集者も。
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初読。図書館。受賞作を1作も読んでいないのに、大江さんがどうしてこの賞をつくって、どんな作品をどういう理由で選んだのかが知りたかった。賞金はないけど、翻訳して海外に紹介していくというのは、受賞者にも嬉しいだろうなあ。若い作家と大江さんの対談は、それぞれの色合いで楽しかった。大江さんも楽しそうだった。受賞作を読んでいかないと。
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