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逆転の世界史 の商品レビュー

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5件のお客様レビュー

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2021/11/27

「はじめに」に記載のある通り、本書は、経済史をベースとして、経済的覇権(=ヘゲモニー)の変遷を軸に、世界の変貌を叙述した教養書である。 一言でいうと、とても面白かった。 経済、物流、ネットワーク、それらを構築した人々の動きに焦点を当てて叙述し、経済的な覇権を握ることがすなわち政...

「はじめに」に記載のある通り、本書は、経済史をベースとして、経済的覇権(=ヘゲモニー)の変遷を軸に、世界の変貌を叙述した教養書である。 一言でいうと、とても面白かった。 経済、物流、ネットワーク、それらを構築した人々の動きに焦点を当てて叙述し、経済的な覇権を握ることがすなわち政治的な覇権に繋がっていたことが浮き彫りになっている。その点が目からうろこであった。 中国はなぜ早期に経済発展を遂げ世界一の帝国であり続けたのに、近世になりヨーロッパに逆転されてしまった のか。 グーテンベルクの活版印刷術や、大航海時代がもたらした歴史へのインパクトがどれほど大きかったか。 また特に、産業革命以降、第一次世界大戦までのイギリスの覇権確立の流れについての叙述は、特に気づきの連続だった。 高校世界史で習ったときは、なんで産業革命の頁で、いきなり「飛び杼」や紡績機の話が始まるのか分からなかったし、なぜ第二次産業革命がドイツで盛んになり重化学工業中心になったのかも、よく腑に落ちた。 惜しむらくは著者の専門外の時代だからだろうか、古代~中世くらいまでの項と、現代史の項は幾分叙述が薄いところか。 いずれにせよ、世界の覇権の歴史を、経済史という側面から眺めることで、より多面的に世界史を理解できる一助となる良書だと思う。

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2020/01/12

タイトルにやや偽りあり。正しくは「経済からみた世界史」。 歴史の本には人物や政治を中心に語ったものが多いが、この本は経済の流れから、覇権の移り変わりを述べている。 「なぜ、歴史はこうなったのか」を考えたとき、やはり人物や政治体制よりも、経済による要因が大きいと実感する。 イギ...

タイトルにやや偽りあり。正しくは「経済からみた世界史」。 歴史の本には人物や政治を中心に語ったものが多いが、この本は経済の流れから、覇権の移り変わりを述べている。 「なぜ、歴史はこうなったのか」を考えたとき、やはり人物や政治体制よりも、経済による要因が大きいと実感する。 イギリスが産業革命により世界の工場になったが、貿易収支は赤字で、電信の手数料で大儲けしていた、というのはかなり衝撃であった。確かに、貿易黒字だけだったらその時はいいけど、その後も維持し続けることは難しい。将来に渡って稼げる手数料資本主義を構築したことがその後のイギリスの覇権につながったわけだ。 日本も、バブルの時の儲けをきちんとそういった手数料資本主義の構築に使っていれば、今みたいな凋落は無かっただろう。

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2018/12/31

経済学者が書いた世界史で、政治上のできごとに金融経済が絡めてある。 カタカナの人物や事件の羅列が頭に入らず、世界史の教科書が苦手だった自分でも、 身近な暮らしに近いこと(食生活や貨幣、物流)の流れを追っているので、理解しやすい。 中国ふくめアジア圏を世界経済の最初の覇者と捉えた...

経済学者が書いた世界史で、政治上のできごとに金融経済が絡めてある。 カタカナの人物や事件の羅列が頭に入らず、世界史の教科書が苦手だった自分でも、 身近な暮らしに近いこと(食生活や貨幣、物流)の流れを追っているので、理解しやすい。 中国ふくめアジア圏を世界経済の最初の覇者と捉えた視点が面白く。 現代の中国経済の隆盛はリヴァイヴァルであるが、大航海時代から産業革命の近代英国が成し遂げた経済の覇権と異なるのは、交易上の手数料であるという指摘が興味深かった。銀行の引落やカードの利用時のように、ものの価値に関わらず、経済活動に対する手数料の源はそこなのだろうか。

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2018/09/02

 世界秩序について、現在を起点にしてではなく時間と空間を俯瞰して考えていく。そこにはそれぞれの時間と空間の繋がりが、ある時は重なり合い、ある時は別々のものとして現れてきた。それぞれの世界史ではなく、地球の世界史が続いてきた。  本書は、リベラールアーツの学びとして、自分自身が向き...

 世界秩序について、現在を起点にしてではなく時間と空間を俯瞰して考えていく。そこにはそれぞれの時間と空間の繋がりが、ある時は重なり合い、ある時は別々のものとして現れてきた。それぞれの世界史ではなく、地球の世界史が続いてきた。  本書は、リベラールアーツの学びとして、自分自身が向き合う様々な場面で活きる知識といえよう。  それでは、世界秩序が収斂していく中で何が決め手となったのか。本書では、情報と物流を手元に集めて、自ら働きかけることではないかと問う。そうする中で、自動的に富が集まるようになるのがヘゲモニー国家という世界秩序の覇権を握る存在である。  中国が「再興」するにおよび、これからどうなるのかを考えるところで本書は締めくくられている。中国はヘゲモニー国家になりえないと説く。かつてのイギリス、アメリカにはなれないのだと。どうだろうか、この点はもう少し多面的な評価が必要ではないだろうか。本書の頁数ではもう少し足りない。

Posted byブクログ

2018/07/01

経済から捉えた世界史。ムスリム商人(イスラム)が古代から中世では大きな影響を与えていたことを、たんなる歴史の勝者論に惑わされずに認める必要があるらしい。ローマ時代でも地中海はヘレニズム、中世はイスラムのものだったのだから、そうなんだなと思う。

Posted byブクログ