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持たざる者 の商品レビュー

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23件のお客様レビュー

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2023/03/27

やっぱり金原ひとみはすごい。すごすぎる。 4人の一人称と他人から見たその人物。あまりにも鮮やかなその対比。あらゆる関係は相対的なものだと改めて。 そして我々の人生は絶対に自分でコントロールできないものに支配されていると同時に、それゆえに我々は人生を選択できているのだという逆説。 ...

やっぱり金原ひとみはすごい。すごすぎる。 4人の一人称と他人から見たその人物。あまりにも鮮やかなその対比。あらゆる関係は相対的なものだと改めて。 そして我々の人生は絶対に自分でコントロールできないものに支配されていると同時に、それゆえに我々は人生を選択できているのだという逆説。 悩みのなさそうなあいつにも、あいつにしかない痛みがあるのだ。 きっと読む前よりも世界と人に優しくなれる。その複雑さを受け入れられる。

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2023/02/17

金原ひとみの本読んだことないなあ、読んでみたいなあと思ってたので評判もよさそうなこちらを読んでみた。 4人の主人公が、それぞれ人生で自分の力ではどうにもできないことに直面し、不能感、コントロールを失った感に襲われた時の話を書いているのだと思った。 1人目の主人公グラフィックデ...

金原ひとみの本読んだことないなあ、読んでみたいなあと思ってたので評判もよさそうなこちらを読んでみた。 4人の主人公が、それぞれ人生で自分の力ではどうにもできないことに直面し、不能感、コントロールを失った感に襲われた時の話を書いているのだと思った。 1人目の主人公グラフィックデザイナー修人は東日本大震災、2人目シンガポール駐在妻で一時帰国中の千鶴は子どもの突然死、3人目千鶴の妹でイギリス在住シングルマザーのエリカは自由に生きているように見えて今イギリスにいること?東日本大地震?それかベルギー出身の年下人たらしダンサーと恋に落ちてしまったこと?4人目のあかりは夫よりひと足先にイギリスから念願の帰国を果たしたにもかかわらずマイホームを非常識義兄夫婦に乗っ取られてかけていることが不能感、人生における操縦権の喪失を感じさせる出来事。 一人称視点だけでなく、例えば千鶴からみたエリカや修人、エリカからみたあかりなども描かれることによって人物に立体感が出ていて面白かった。 現実ではこういうことができないから、わたしは自分が思うわたしと、他人から思われている自分に乖離があるように感じて、人と一緒にいてもどこか孤立感があるんじゃないかなあと思う。そしてこれはエリカが抱いている感情も近い気がする。 あかりの、人を憎んだ時、そのきっかけとなった出来事やその人そのものよりも、そんな汚い感情を自分に持たせたこと、なりたくない自分にさせられたことが憎いという気持ちはわたしも持ったことがあるのですごく共感した。

Posted byブクログ

2022/08/10
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※このレビューにはネタバレを含みます

4人が主役の4つのお話。 東日本大震災を境に動いていく物語。 どのお話もリアルだけれども、朱里の話が一番身近に起こり得そうでした。 でも一番共感したのはeriのお話(笑) 考え方とか人との距離の取り方とか似てるなぁと思いました。

Posted byブクログ

2021/09/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

短編集 ①Shu こんな男大嫌い 放射能に過敏になり、妻子を移住させるくせに、子供の面倒はみないは、タバコと酒やめないは、浮気するは。色々矛盾だらけやん。 ②Chi-zu ①の修人の元カノ? 結婚してフランスへ。子供を産んで幸せに過ごしてたのに、子供が亡くなる。子供が亡くなったのは自分がおかした間違いのせい。そう思ってしまうの分かる。でもその相手が修人だから、なんかイラっとくるわ。 ③eri ②の千鶴の妹 自由。金原さんの本の主人公って感じ。脳内では吉高さんに変換して読んでしまった。でも本人にとっては、周りが思うほど、自由に生きてないってのが、なんか良い ④朱里 ③のエリナの友達 何故かタイトルの名前が漢字やな。日本に帰ってきた人だから?それともいちいち発想や考え方や、愚痴愚痴してるところが日本人っぽいから? なんせ私は、この人の気持ちが一番理解できたわ。 最後、ハッピーエンドで良かった良かった

Posted byブクログ

2021/08/31

それぞれが緩く繋がる4人の視点でのストーリー。 最後4つ目の主婦の話が秀逸。環境が変わるたびに不遇を周りのせいにしてしまう自分のネガティヴな部分を、少しずつ受け入れていく過程になぜか少し共感できた。

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2021/08/13

エリナという人物にあえてよかったというのが、最初の気持ち。家族や周りの人との距離感が似ていて、気持ちがすとんとしました

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2021/04/25

震災がきっかけで離婚した男性、その友人で夫の駐在先のシンガポールから一時帰国中の女性、彼女のイギリス在住の妹、そしてその女友達之4人の立場で次々と語られていく。 話の真ん中に震災はあるが、単なる震災として扱っているわけではなく、自分ではどうにもできないことに対して自分というものを...

震災がきっかけで離婚した男性、その友人で夫の駐在先のシンガポールから一時帰国中の女性、彼女のイギリス在住の妹、そしてその女友達之4人の立場で次々と語られていく。 話の真ん中に震災はあるが、単なる震災として扱っているわけではなく、自分ではどうにもできないことに対して自分というものをどうやって確立するか維持し続けるかといったことがテーマなのかも。 著者のほかの作品を読んでいないのでこの作品可が特になのかわからないが、矢継ぎ早に感情が押し寄せてくる文体にちょっとやられる。

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2021/04/05

グイグイと読まされた感じ。 震災後の話だけれど、震災の直接的な被害者というよりは、原発による放射能から逃げる人たちがメイン。目に見えないあの頃の恐怖が思い出される。  放射能に異常なまでに過敏になり、妻子と別れることになった修人。日本から離れたフランスで子を失った千鶴。放射能を...

グイグイと読まされた感じ。 震災後の話だけれど、震災の直接的な被害者というよりは、原発による放射能から逃げる人たちがメイン。目に見えないあの頃の恐怖が思い出される。  放射能に異常なまでに過敏になり、妻子と別れることになった修人。日本から離れたフランスで子を失った千鶴。放射能を避けた形でイギリスに来た、シングルマザーのエリナ。 このエリナが「金原ひとみ」の作品の登場人物っぽい。読んだのはまだ2作目だけど… 4章に出てくる朱理だけは、震災はからんでいないようだ。ただ、4章だけが常にイライラ、モヤモヤする。 結局はエリナみたいな生き方に憧れてしまう。こういう風にはなれないと、分かっていても…

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2020/11/26

海外生活や子育て、女性として生きることに苦悩を味わっている自分としては、とても感慨深い小説だった。繊細な心の考察がとても沁みます。

Posted byブクログ

2019/05/19

最後にちゃんと収束させて欲しかった気もするけど、それぞれの章がリアルできめ細かくて一気に読み終えた。 金原ひとみ、上手いな。 それにしてもこの装丁に惹かれる。 ジャケ買いならぬジャケ借り。

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