1,800円以上の注文で送料無料

無暁の鈴 の商品レビュー

3.8

19件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    5

  3. 3つ

    7

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2021/07/08
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

書評が目に留まり図書館で借りました 初めての著者です 余りにも孤独な主人公が辛かったです 険しい山や離れ小島 厳しい自然と暮らし でも「飢饉」の描写は想像を超えていてつらすぎました 一度も「飢え」を知らないのですから 仏道を捨てまた仏道へ そしてついに「即身仏」 すさまじすぎてこれも想像を超えました 読み応え十分の本 ずっしりと読み終えました ≪ 暁は 見えぬ暗闇 鈴の音 ≫

Posted byブクログ

2021/05/03

無暁と言う男性の波乱万丈な人生を骨太に描いた作品。私が今迄読んだ西條氏の登場人物とは全く違っていた。特に八丈島や羽黒山の荒々しい自然描写と無暁の生き方が重なり読み進めるのが辛い位感情移入してしまった。「鈴」にたどり着く場面は号泣。

Posted byブクログ

2020/08/21

無暁という一人の男の波乱万丈な生涯を描いた物語、ですが、あらすじを簡単に読んだだけで読み始めてしまった私には、予想外過ぎるほどの波乱万丈な生涯で、タイトルの「鈴」に行き着いた際は呆然としてしまった。才覚に恵まれながらも不器用なほどに誠実で真っ直ぐな無暁に、普段なら怒りに任せた行動...

無暁という一人の男の波乱万丈な生涯を描いた物語、ですが、あらすじを簡単に読んだだけで読み始めてしまった私には、予想外過ぎるほどの波乱万丈な生涯で、タイトルの「鈴」に行き着いた際は呆然としてしまった。才覚に恵まれながらも不器用なほどに誠実で真っ直ぐな無暁に、普段なら怒りに任せた行動をとる主人公を一歩引いた形で見てしまう私なのに、どっぷりと感情移入して読んでしまい、しのという娘や、相棒の万吉が亡くなる場面は涙、涙のティッシュの山。一度捨てたはずの仏道に、流刑地の八丈島で再び身を投じ、貧しいながらも静かに暮らす一時の場面は、息苦しさから多少解放されたものの、20年以上もの月日の消費はやはり残酷。その後の修験道、果ては即身成仏の境地に至るまで、無暁のひたむきさ、ストイックさには頭が下がると同時に、何かもう少し生きることへの執着を感じさせるような幸福感を味わせてあげたかった、と感じました。悟りを開いた神仏のあるがごとく、ではあるけれど、最期の生への足掻きとも思える無暁の姿には人間らしさが見えて良かった。今はただ、無暁の鈴の音を心の中で噛み締めたいと思います。

Posted byブクログ

2019/07/08

この最期でいいのか。 物語のラストということでなく 無暁の人生の最期ということで いろいろ考えてしまう。

Posted byブクログ

2019/05/27

かなり取材して書いていることがうかがわれる内容。 仏教とは何か。どんな役割を果たし、何を残してきたのか。 ディープになるほど伝わらず、書ききれないテーマをある程度ライトに絞っている本作は良作と言えると思う。

Posted byブクログ

2019/05/17

新聞の書評に絶賛されていた(気がする)ので、積極的に読まない時代物だが読んでみた。 面白かった、が絶賛するほどでも・・と思ってしまったのは好みの問題か。それでも時代物にしては自分にとっては読みやすく、登場人物も魅力的で充分楽しめた。 無暁の生きざまは感心する所ともどかしく思う...

新聞の書評に絶賛されていた(気がする)ので、積極的に読まない時代物だが読んでみた。 面白かった、が絶賛するほどでも・・と思ってしまったのは好みの問題か。それでも時代物にしては自分にとっては読みやすく、登場人物も魅力的で充分楽しめた。 無暁の生きざまは感心する所ともどかしく思う所が織り交ざり、それが主人公の魅力となっていた。そして即身仏となる覚悟、その意味、そこに至るまでは壮絶で読んでいて切なくなる。そうね、最後は無暁であってもそういう心境になるよね・・と少しほっとしながら悲しい気持ちで本を読み終えた。

Posted byブクログ

2019/03/22

ひと言で言うなれば求道の物語。 重い話だが、宗教のこと、ひとの弱さ、考えさせられるテーマであった。生まれ持った性根というのはあるだろうけれど、どんな性善の人でも環境が許さないとそれを発露できない。人を殺めることも、子を殺すことも、罪ではあるが、やむにやまれぬ一瞬があることを、それ...

ひと言で言うなれば求道の物語。 重い話だが、宗教のこと、ひとの弱さ、考えさせられるテーマであった。生まれ持った性根というのはあるだろうけれど、どんな性善の人でも環境が許さないとそれを発露できない。人を殺めることも、子を殺すことも、罪ではあるが、やむにやまれぬ一瞬があることを、それは私のすぐ横にあるかもしれないことに思いを寄せる。寺や宗教が政治や金とともにある世界だということも真っ向から捉えて描かれていて潔い。神や仏があると信じることは、理不尽だらけの現実に心が崩れそうになる、だれでも経験するそんな試練のときに、なんか、ふんばるための摑まり処なんだろうな。だれかに支えられ、なにかに縋ってひとは生きている。 奢らず僻まず感謝と敬意を持って生きていこう、という気持ちになれた1冊。

Posted byブクログ

2018/09/25

そっちに話がいくのか!? という展開でしたが、蘊蓄が多くてたのしく読めました。 天保の大飢饉が怖かったですが・・・。

Posted byブクログ

2018/09/09

即身仏になるような人物も愚かさや弱さを抱えて生きていった。そうなることすら周りの人の世話にならなければできない。

Posted byブクログ

2018/08/26

+++ 武家の庶子でありながら、家族に疎まれ寒村の寺に預けられた久斎は、兄僧たちからも辛く当たられていた。そんななか、水汲みに出かける沢で出会う村の娘・しのとの時間だけが唯一の救いだったのだが…。手ひどい裏切りにあい、信じるものを見失って、久斎は寺を飛び出した。盗みで食い繋ぐ万吉...

+++ 武家の庶子でありながら、家族に疎まれ寒村の寺に預けられた久斎は、兄僧たちからも辛く当たられていた。そんななか、水汲みに出かける沢で出会う村の娘・しのとの時間だけが唯一の救いだったのだが…。手ひどい裏切りにあい、信じるものを見失って、久斎は寺を飛び出した。盗みで食い繋ぐ万吉と出会い、名をたずねられた久斎は“無暁”と名乗り、ともに江戸に向かう―波瀾万丈の人生の始まりだった。 +++ まずは、この題材で物語を書こうと思った著者の目のつけ所に感心する。華やかなところもなく、ひたすら悩み、苦しみ、懺悔し、足りないものを求め続ける一人の男の一生である。初めは、己の置かれた立場を恨み、不遇を嘆くが、人の情けも知り、真心にも触れたが、そこでまた利用され、大切なものを失うことになる。激情に駆られて犯した殺生を悔いはしたが、そのことの真の意味を悟るのはまだ先のことである。己の生きる価値を問い続け、自らを苛め抜いた先に見えたものは何だったのか。最期に聴いた弟子の鈴(りん)の音色は、さぞや胸に沁みたであろうと思われる。心打たれる一冊だった。

Posted byブクログ