隠岐の黒曜石 の商品レビュー
2018年の企画展には行ってはいないが、黒曜石だけで、こんな大掛かりな展示会をつくったのに敬意を表したい。縄文時代早期に、隠岐の黒曜石を採取していたのは、数人程度の小集団であり、貴重な石だからと言って群がるように採取していたわけではない。それは何かのタブーがあったからなのか、それ...
2018年の企画展には行ってはいないが、黒曜石だけで、こんな大掛かりな展示会をつくったのに敬意を表したい。縄文時代早期に、隠岐の黒曜石を採取していたのは、数人程度の小集団であり、貴重な石だからと言って群がるように採取していたわけではない。それは何かのタブーがあったからなのか、それとも単にラッキーだったからなのか。 黒曜石の破片が末端に行くほど小さくなることから、当時の流通ルートを推測することができる。縄文時代早期末から中期、山陰では隠岐の「黒曜石狂(オプシディアン・ラッシュ)時代」が起きた。ルートは網の目のように広がる。後期から晩期にかけて、西部や山間部では、サヌカイト(香川県)が多く使われ出す。弥生時代では更に少なくなるが、田和山や西川津、青谷上寺地など海岸線で後期にかけても出土している。黒曜石とサヌカイトとの違いがどうも良くわからない。また、何故利用分布が変わってゆくのか、という説明も一切ない。非常に読みやすい図録なのだが、なんか「石の綺麗さだけを見てくれ」というような企画展だったような気がする。 2018年10月読了
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