戦争経済大国 の商品レビュー
著者自身はあとがきで「達成感がない」とこぼしているが、机上の作文ではなく足を使った取材を駆使した労作。 朝鮮・ベトナムの両戦争と日本の経済成長は骨絡みとは、多くの国民の認識でありながら、表向きそうした話は封印され、令和から振り返る昭和・高度成長期は「三丁目の夕日」で描かれた如く、...
著者自身はあとがきで「達成感がない」とこぼしているが、机上の作文ではなく足を使った取材を駆使した労作。 朝鮮・ベトナムの両戦争と日本の経済成長は骨絡みとは、多くの国民の認識でありながら、表向きそうした話は封印され、令和から振り返る昭和・高度成長期は「三丁目の夕日」で描かれた如く、貧しくとも皆がモーレツに働いた人情の時代ということになっている。が、その象徴たる東京タワーの鉄骨には朝鮮戦争で使われた米軍戦車の鉄が再利用されていたとは、驚いた。戦争経済大国のまさに象徴的なエピソードではないか。 他にも枯葉剤製造工場を巡る公害や、ベトナムでばら撒かれた毒キャンディ、朝鮮戦争に駆り出された掃海部隊など、初めて聞かされる驚きの事実が満載である。 カーチス・ルメイ叙勲を巡るルポも必読。
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朝鮮戦争の直接特需で驚異的な復興を果たした後、ベトナム戦争の間接特需で高度経済成長の真っ只中に育った身だ。学生になる頃には、全共闘も内ゲバで自滅し、無縁になっていた。爾後世代であり、行動抜きに振り返るしかないわけで(ありがたいんだけど)、様々な立場で語られ、記される過去を学ぶ。そ...
朝鮮戦争の直接特需で驚異的な復興を果たした後、ベトナム戦争の間接特需で高度経済成長の真っ只中に育った身だ。学生になる頃には、全共闘も内ゲバで自滅し、無縁になっていた。爾後世代であり、行動抜きに振り返るしかないわけで(ありがたいんだけど)、様々な立場で語られ、記される過去を学ぶ。そこで生じた、例えば改憲に対する自分の稚拙な思いなど、ネットで晒すほどのものでもないが、本著を通して現行憲法の存在意義を再認識する。
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