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デジタル資本主義 の商品レビュー

3.9

17件のお客様レビュー

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2018/10/25

センター試験にの評論問題に採用されるような,非常に読みやすい文章。 現代において,人は「モノ」に執着するのではなく,「コト」に価値を置き始めている。 本書でも取り上げているが,例えば音楽業界では,CDなどの媒体からiTunesから直接ダウンロードする形にニーズがシフトしていっ...

センター試験にの評論問題に採用されるような,非常に読みやすい文章。 現代において,人は「モノ」に執着するのではなく,「コト」に価値を置き始めている。 本書でも取り上げているが,例えば音楽業界では,CDなどの媒体からiTunesから直接ダウンロードする形にニーズがシフトしていった。これは単純に物理的な領域排除と,特定の曲のみを購入したい場合に重宝する事が考えられる。そして今,iTunesから,スポティファイなどのサブスクリプション型で視聴する割合が増えてきた。これは正に「コト」体験のニーズを明らかに示しているが,実は曲のデータを「仮想的物理領域」と人々が捉え始め,最早デジタルデータに関しても仮想的に,物理的な「モノ」として扱い始めてしまっているのではないかと考えてしまった。 確かに今,iPhoneのデータ容量を常に気にしている。 デジタル革新が飽和した後次は一体何が来るのか非常に興味深い。 学ぶことは怠らないようにしたい。 本書も繰り返し読み,書評についても随時更新していく。

Posted byブクログ

2021/08/08

 近年のデジタル化の進展によって消費者余剰が増えているという整理はなるほど。しかし、新たな気づきはほとんどなかった。  単純化して説明をすると、…、生産者余剰とは価格とコストの差分、すなわち生産者の利潤であるのに対して、消費者余剰とは価格と支払意思額の差分、わかりやすく言えば「...

 近年のデジタル化の進展によって消費者余剰が増えているという整理はなるほど。しかし、新たな気づきはほとんどなかった。  単純化して説明をすると、…、生産者余剰とは価格とコストの差分、すなわち生産者の利潤であるのに対して、消費者余剰とは価格と支払意思額の差分、わかりやすく言えば「お買い得感」である。生産者の利潤は金額で表示されるのに対して、消費者余剰は通常は金額換算されることはない。    議論を単純化すれば、グーグルは検索サービス事業では消費者余剰を生み出し、検索ワードの販売事業では生産者余剰を生み出しているのである。  広義のシェアリング・エコノミー (狭義の)シェアリング・エコノミー:あまり使われていない資産を無料もしくは料金つきで直接個人/個別事業者からシェアしてもらう経済システム 協働型エコノミー:分散型ネットワーク/市場のうえで機能し、伝統的な中間業者を回避しながらニーズと資産を持つ者のマッチングを行うことで、あまり活用されていない資産の価値を解き放つ経済システム 協働型消費:レンタル、貸出、交換、共有、物々交換、贈与などの伝統的な経済行動を技術によって刷新したもので、インターネット以前では手法的、規模的に実現不可能だった オンデマンドサービス:顧客とのニーズと提供者を直接つなぎ合わせて、瞬時に商品やサービスを提供するプラットフォーム  シェアリングエコノミーでは、プラットフォーマ―とユーザーの一部が協働して生産者余剰を生み出しているのである。  ケヴィン・ケリーは、デジタル時代にコピーできないもの、ゆえに人々がお金を払うものとして、「即時性」「パーソナライズ」「解釈(例:無料ソフトの利用ガイド)」、「信頼性」、「アクセス可能性」、「実体化(例:ライブコンサート)」、「支援者(例:投げ銭、お布施)」、「発見可能性(例:自分の好みの映画を推薦してくれる)」の8つを挙げている。  この8つを突き詰めていくと、3つのカテゴリーに集約できると考えている。それは、「時間」「こだわり」「信頼」である。

Posted byブクログ

2018/09/30

OECDのレポートによると、日本の賃金水準は1995年以降の20年間全くがあがっていない。それどころか下がっている。フランスは約1.3倍、米国も約1.2倍、ドイツでも約1.1倍にはなっているなかこれは非常に稀な国だ。 ところが、NRIの1万人アンケートによると、人々の生活レベルの...

OECDのレポートによると、日本の賃金水準は1995年以降の20年間全くがあがっていない。それどころか下がっている。フランスは約1.3倍、米国も約1.2倍、ドイツでも約1.1倍にはなっているなかこれは非常に稀な国だ。 ところが、NRIの1万人アンケートによると、人々の生活レベルの満足度は2006年以降、年々高まりを見せているらしい。賃金が据え置きなのに生活の満足度レベルが高まっている?これってどういうことなのだろう。 我々の生活は常にデジタル化の恩恵を受けている。無料のネットサーチで冷蔵庫の最低価格を知れるし、好みの音楽だって、映画だって月1,000円で楽しみ放題だ。電話もメッセージも無料。いらないものがあればフリマアプリで売って、お小遣いも稼げる。シェアードサービスのお陰で、部屋だってシェアできる。これって、うまくやればお金をかけなくても生活を楽しめる手段が増えてきたってことなのだろう。 でも新しい疑問がある。今後、僕たちはいったい何にお金を払うのだろうか? 今後、僕たちがお金を払うのは1.時間 2.こだわり 3.信頼だって言われてる。(どこかで読んだ本によると、時間を買うことにお金を払うのは最も満足度が高いらしい。)通信やエネルギー、物流にお金を払っていた時代は終わってしまった。限界費用ゼロの時代万歳! だったら、今後の新しいビジネスは、顧客の主観に焦点をあてるべきだ。そのためには、顧客がどのような製品を望んでいるか正確に知る必要がある??そんなのやめて、顧客自らが製品を設計・開発できるツールを顧客に与えるのはどうだろうか。 自分で配合を調節して作る香水、自分だけのオリジナルのスマホ、数あるなかから金融商品を組み合わせて自分だけのオリジナルの投資商品を作る。 顧客をイノベータにしてしまうことで、顧客体験の向上とコストの低減を同時に実現できるのだ。すばらしい! でも、このスペシャルなアイデアは簡単には実現しないだろう。だって商品開発はどの会社だって花形。そんな機能を簡単に手放したりしないはずだからだ。 でも今後は間違いなく、個人の主観がより主人公になる。個人の主観を掘り起こすことこそが、次のデジタルビジネスの鍵になるに違いないって話。 --- デジタル時代における企業のビジネスモデルは 1)エコシステムの駆動者・・プラットフォーマ 2)モジュールの製造者・・プラットフォーマ上で特定機能を提供 3)オムニチャネルビジネス 4)サプライヤー

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2018/08/19

シンクタンクであるNRIの整理・分析・考察だからか、とてもスムーズに論旨が沁み込みました。先ずは、商業資本主義→産業資本主義→デジタル資本主義という超大雑把な時代区分がめちゃくちゃわかりやすいこと、「消費者余剰」を生み出す各種サービスのデジタルトランスフォーメーションが「生産者余...

シンクタンクであるNRIの整理・分析・考察だからか、とてもスムーズに論旨が沁み込みました。先ずは、商業資本主義→産業資本主義→デジタル資本主義という超大雑把な時代区分がめちゃくちゃわかりやすいこと、「消費者余剰」を生み出す各種サービスのデジタルトランスフォーメーションが「生産者余剰」の指標であるGDPじゃ捉えきれなくなってきていること(お恥ずかしながら「消費者余剰」という言葉、本書で初めて知りました…)、ハンナ・アレント「人間の条件」の「労働」「仕事」「活動」という概念から援用した「労働社会から活動社会へ」という移行が行われること、その時「労働生産性から知識生産性へ」というキーワードによって情報の付加価値転換率がビッグデータ時代の競争優位性になるということ、そして、その「知識生産性」とは消費者と生産者の恊働活動なのであるということ…「フムフム、なんかわかる気がする…」の連続でした。あまりに「わかる気になる」感じが凄すぎて一日で読んじゃったので、もう一度落ち着いてページ捲り直します。ハンナ・アレントのみならずジャン=ジャック・ルソーの一般意志も登場し、我が同胞からも岩井克人、柄谷公人も大活躍の論なので繋がり読書もがんばらねば…

Posted byブクログ

2018/07/04

会社から貰ったので読んでみた。「日本の GDP が伸び悩む一方で、我々は(インターネットを中心とした様々なサービスの発展によって)ますます豊かになっているようにしか感じられない」という素朴な疑問から出発し、現代社会の経済発展を計るには GDP は不適切な指標であると説く。 どち...

会社から貰ったので読んでみた。「日本の GDP が伸び悩む一方で、我々は(インターネットを中心とした様々なサービスの発展によって)ますます豊かになっているようにしか感じられない」という素朴な疑問から出発し、現代社会の経済発展を計るには GDP は不適切な指標であると説く。 どちらかと言うと、GDP の成長 = 経済発展と定義した上で、我々の豊かさや幸せは "経済発展" では計れない何かに変貌していると言われた方が納得がいくが、いずれにしても Google Map 一つとってみても、Google が生み出している価値が広告だけではないことは明らかで、それを消費者余剰と生産者余剰として説明した部分は非常に良く書けている。 未来予想の部分は、さすがに水晶玉の域を出ないので、可もなく不可もなく。個人的には、ユートピア的世界だろうがディストピア的世界だろうが、縮小均衡していくことは間違いないと思うけれど。

Posted byブクログ

2018/05/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

・昨今のDXにより生産者余剰より消費者余剰が増えているという議論は、無意識に感じはしていたものの、言葉で聞くと目からうろこであった。 ・未来の考え方でいくつかのフレームを提示してくれたのは、自らが将来を思い描くことの一助となった。

Posted byブクログ

2018/04/30

20180430読了。 経済的な話を数多くの引用や、比喩をもとにとてもわかり易く書いてあった。大きな話としては以下のような話。 デジタル化が進み、音楽など価格の低下が起こり、顧客が支払っても良いと思う金額よりも大きく安価な金額で購入できるようになった。 それにより、顧客満足度は...

20180430読了。 経済的な話を数多くの引用や、比喩をもとにとてもわかり易く書いてあった。大きな話としては以下のような話。 デジタル化が進み、音楽など価格の低下が起こり、顧客が支払っても良いと思う金額よりも大きく安価な金額で購入できるようになった。 それにより、顧客満足度は上がったが、企業からすると余剰は少なくなってくる。 今後、中長期的に経済が先細りしないように、顧客の支払意思額を上げるとともに価格をあげる必要もある。 そのための付加価値として、パーソナライズなど顧客の主観的情報のインプットをうまく活用していくことが求められる。

Posted byブクログ