クロムウェルとピューリタン革命 の商品レビュー

今井宏(著者)

2022/04/03

オリヴァ・クロムウェルの生涯をたどる研究。地方の名望家出身のクロムウェルが、軍政方面から次第に頭角を現し、内戦において不可欠の人材となっていき、独裁者にまで登りつめていく過程が克明に描かれる。その際、「神の摂理」の導きを頼りの綱としながら、変転していく状況のなかで上手く立ち回る政治家クロムウェル、にもかかわらず「聖者」を理想像として掲げ、政治機構の問題にさほど関心を抱かなかったクロムウェルの道徳的・宗教的な態度が浮き彫りにされる。末尾では、そうしたクロムウェルのピューリタン的姿勢が次第に再評価されていく歴史叙述も回顧されている。