AI時代の新・ベーシックインカム論 の商品レビュー
前半はベーシックインカムについて説明されているが、途中からは政治的な立場や国民性について多く紙幅が割かれており、制度の良し悪しとは別に、理解してもらわないといけない感情面での課題やその困難さがあるようだ。
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途中まで読んだ ちょくちょく聞くベーシックインカム(BI)の実現のメリットと実現方法についてまとめられている本。 所得税、相続税、他の社会保障の削減、シニョレッジ等で実現できるらしいけど、実際先進国で実現しきってない理由を知りたい
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p85 ヘリコプターマネーとは、減税した分財政支出を 減らさなければならないのなら、そのような状況にもかかわらず政府が今まで通りに財政支出していれば、政府の借金は増大することになる。その際国債を中央銀行が買い入れるののであれば、結局のところ中央銀行が国民にお金をばらまいているのと...
p85 ヘリコプターマネーとは、減税した分財政支出を 減らさなければならないのなら、そのような状況にもかかわらず政府が今まで通りに財政支出していれば、政府の借金は増大することになる。その際国債を中央銀行が買い入れるののであれば、結局のところ中央銀行が国民にお金をばらまいているのと同じである。 p119銀行など金融機関や富裕層など一握りの経済主体にお金を集中させるとバブルが引き起こされやすくなる。お金を多くの人々に偏在させるとバブルが引き起こされにくくなる。 p187遠くない未来純粋機械化経済への移行が果たされ資本家による搾取はなくなる。(つまり労働者を雇わなくなる)これは労働者の勝利ではない。このためBI(ベーシックインカム)が導入されなければならない。 p220リバタリアリズム(ジョン・ロック)⇒経済自由 リフレ(ジョン・ロー)⇒貨幣の増大 リベラリズム(ジョン・ロール)⇒経済平等 NHKの白熱教室でおなじみのマイケル・サンデルはリベラリズムのタイプである。 p280アーレントがいう意味で人間が人間で在り続けるには古代ギリシャの市民のように奴隷を持たなければならない。AIとBI(ベーシック・インカム)により、革命はアーレントが望むような世界をもたらすだろう。
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タイトルに「AI時代」とありますが、AIとは関係なく、ベーシックインカムの本として読めます。 現時点におけるベーシックインカムの意義や考え方やその可能性について述べた本であり、今押さえておくべきベーシックインカムの全体像をつかむにはよい本だと思います。 その一方で、ベーシックイ...
タイトルに「AI時代」とありますが、AIとは関係なく、ベーシックインカムの本として読めます。 現時点におけるベーシックインカムの意義や考え方やその可能性について述べた本であり、今押さえておくべきベーシックインカムの全体像をつかむにはよい本だと思います。 その一方で、ベーシックインカムの考え方が生まれた経緯や、これまでに行われた社会実験の説明はほとんどないので、それらを知りたい場合には、別の本をあたる必要があります。 なお、この本では、日銀や銀行の役割についても詳しく説明がなされていて、それらもなかなか勉強になり、自分にとっては、学びの多い本でした。 ただ、終盤の政治思想についての説明は、若干クドイ印象(その結果、わかりにくい印象)を受けました。 ここがすっきりしていたら、★★★★★としたと思います。
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駒澤大学の准教授を務める経済学者である著者によるベーシック・インカム(BI)導入に関する解説本。 BIに関する基礎的な理論、そのメリット、財源、これを可能とするための政治的・経済的体制についてが説明される。 BI導入に関する論点が凡そ抑えられており、これを勉強するには最適な本だ...
駒澤大学の准教授を務める経済学者である著者によるベーシック・インカム(BI)導入に関する解説本。 BIに関する基礎的な理論、そのメリット、財源、これを可能とするための政治的・経済的体制についてが説明される。 BI導入に関する論点が凡そ抑えられており、これを勉強するには最適な本だと思う。 また政治経済体制の転換を論ずる前提として、過去の日本および世界における政治経済思想の変遷についてもまとめられており、これが非常に分かりやすい。本書を読む副次的な収穫だと言える。ただし著者自身がリバタリアンであるため、こちら側を肯定する傾向にあることには注意が必要。 またBIの導入が必須となる背景として、汎用AI・ロボットの技術的発展によりやがて達成される爆発的な供給増大を挙げている。つまり、爆発的にモノの供給量が増えたとしても消費量が増えなければ深刻なデフレを招くだけであるから、直接的に市中の貨幣流通量を増やす方策であるBIの導入が有効であるというロジックである。 これも納得感のある論理かと思う。とは言えBIは大胆な社会保障制度の転換であり、誤解されることも多いため導入に当たっては強い反発が予想される。 特に現代の日本に根強い勤労道徳(「働かざる者食うべからず」的思想)に基づく反感が起こると思われるため、この解消に向けた丁寧な説得が必要だろう。 これからの社会制度設計を考えていく上で、ベーシック・インカムの是非は避けては通れない論点だろう。導入が実現するにしてもされないにしても、この理解は必須である。本書はこの理解を深めるために役にたつだろう。
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地方は、VRかBIがないと生き残れない。 デメリット=働かなくなるのではないか。 インドとフィンランドで実現しそう。 AIが発展すると、BIが必要になる。富の集中で需要がなくなる。 国の経済にとってのコストは、お金を使うことではなく労力を無駄遣いすること。使ったお金は誰かの収入に...
地方は、VRかBIがないと生き残れない。 デメリット=働かなくなるのではないか。 インドとフィンランドで実現しそう。 AIが発展すると、BIが必要になる。富の集中で需要がなくなる。 国の経済にとってのコストは、お金を使うことではなく労力を無駄遣いすること。使ったお金は誰かの収入になる。BIは、生活保護に比べて選別の費用(無駄)がないから効率的。 負の所得税と同じ。またはインセンティブありの生活保護。 相続税を上げる、固定資産税を上げる、資源税、ロボット税など。 固定BIは税金を基にする。変動BIは通貨発行益を基にする。ただ配るだけ。 貨幣制度は変遷する。現在は銀行中心の貨幣制度。 クリーピングインフレとギャロッピングインフレ。 アメリカは、バブルリレーを行ってきた。日本はバブルに警戒的だったため、不況が長引いた。 富の偏在が資本蓄積を可能にした(ケインズ平和の経済的帰結) 貨幣制度改革の提案者ジョセフフーバーとジェイムスロバートソンは、貨幣発行益を隠れた補助金と呼んでいる。 民間銀行の信用創造を廃止し、貨幣発行益を国民に配る=変動BIの原資。預金口座は単なる金庫。準備率を100%にする。 技術進歩が失業率を上昇させる可能性は「労働塊の誤謬」として否定されている。 事務労働が減ると、高度労働か、肉体労働に移行する。銀行業が大失業時代を迎える。 タクシー運転手や警備員は2030年あたりから減る。 それでも残る仕事は、クリエイティブな仕事、マネジメント系(経営)、ホスピタリティ系。 汎用AIが登場すると、2060年には、脱労働社会になる。=BIが不可欠になる。選別費用のために生活保護が成り立たなくなる。失業と格差はまずます広がるので、再分配政策としてのBIが必要。 第二の大分岐=AI時代に、AIとロボットが労働する時代。成長率が再び級数的に伸びる。 BIがないと需要が追い付かない。ヘリコプターマネーでお金を配る必要がある。 働くもの食うべからず、という儒教的考え方との折り合いがつくか。
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世界のベーシックインカムの状況の紹介と日本でするにはどうするか?と言う本。 意外に財源はなんとらなりそう。問題は過去世代と未来世代の納得性か。議論が割れる為、仕組みと逆手は可能だが、気持ちの面で折り合いがつかないと考える。超党派が一気に進めるしかない
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『AI時代の新・ベーシックインカム論』(著:井上智洋) 付箋部分を抜粋します ・そう考えると、今、私がニートやホームレスではなく大学教員でいられるのは、究極的なところ偶然に過ぎない。 そして、私だけでなく、今順調な人生を歩んでいるという人は、等し並みに運が良いのではないだろ...
『AI時代の新・ベーシックインカム論』(著:井上智洋) 付箋部分を抜粋します ・そう考えると、今、私がニートやホームレスではなく大学教員でいられるのは、究極的なところ偶然に過ぎない。 そして、私だけでなく、今順調な人生を歩んでいるという人は、等し並みに運が良いのではないだろうか(p4) ・「ベーシックインカム」は、収入の水準に拠らずに全ての人々に無条件に、最低限の生活を送るのに必要なお金を 一律に給付する制度だ(p22) ・それでも残る仕事 クリエイティブ系 マネージメント系 ホスピタリティ系 こういった仕事では、自分の感性や感覚、欲望に基づいた判断を必要とする(p160) ・儒教的エートスのうち、恐らく最も問題なのは「義」であり、日本人は「したいことをする」のではなく 「すべきことをする」ことで人生の長い時間を過ごしている。コミュニティ内の明文化されている規則や 明文化されていない慣習を含む数限りない義務にがんじがらめになって生きているのである(p227) ・勉強したいからではなく、すべきだからする。会社に行きたくはないが、行かねばならないので行く。会社の飲み会に 行きたくないが、行かねばならないので行く。そうやって人生の大半を過ごし、リタイヤして義務から解放されたら 何もしたいことがなくて虚無感に襲われる、なんてことになりかねない(p234) ・そもそも労働意欲がないこと、怠惰であることはそんなに罪深いことであろうか?(p257)
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井上氏の著書「人工知能と経済の未来 2030年雇用大崩壊 」をきっかけにベーシックインカムという制度を知り、この本でさらに現実的な将来像が見えてきました。 日々、時間に追われる労働がどれだけ現在の価値観を歪めてしまっているか・・・考える機会を得たように思います。
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AIが浸透していく現代社会において、ベーシックインカムがいかに機能するかについて書かれた本だが、個人的にはそれに限らず現代社会をも著者独自の観点から分析しているのがとても参考になった。本書には著者の様々な分野の豊富な知識が凝縮されているだけではなく、それをわかりやすくまとめられて...
AIが浸透していく現代社会において、ベーシックインカムがいかに機能するかについて書かれた本だが、個人的にはそれに限らず現代社会をも著者独自の観点から分析しているのがとても参考になった。本書には著者の様々な分野の豊富な知識が凝縮されているだけではなく、それをわかりやすくまとめられている点もまた価値だなと感じた。著者の本は二冊目だが、この本もまた読んでよかったなと思えるものだった。知り合いに紹介したいなと思える本です。
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