ストレスチェック時代の職場の「新型うつ」対策 の商品レビュー
いわゆる「新型うつ」の特徴を有する人々が、職場においてその「新型うつ」を発症するメカニズム、それに伴う心理社会的問題、援助者および周囲の人々ができることが書かれている。 「新型うつ」の人々は病前パーソナリティとして、評価への過敏さ、傷つきやすさ、他罰性などを有している。それらはい...
いわゆる「新型うつ」の特徴を有する人々が、職場においてその「新型うつ」を発症するメカニズム、それに伴う心理社会的問題、援助者および周囲の人々ができることが書かれている。 「新型うつ」の人々は病前パーソナリティとして、評価への過敏さ、傷つきやすさ、他罰性などを有している。それらはいずれも、「不安定な自己愛」に由来する。すなわち、「新型うつ」の人々は、「自分はこんなもんじゃない」という強い自己愛と、それに見合わない現在の境遇とのギャップに過度に苦しみ、傷つけられた自己愛を抱えることで職場でのみうつ症状を呈するようになってしまうということである。そして、ストレス源である職場から回避することで一時的な安心を得られるため回避行動が強化されるが、それを当然の権利のように思う特徴もあるため、悪気なく休暇を楽しんでしまう。 このような「新型うつ」患者の職場以外での元気な様子を見ることで、周囲の人々は「甘えている」「病気ではないのでは」というネガティブな気持ちを持つようになる。しかし、本書で繰り返し強調されていることは、「本人は辛い」ということ。したがって、その不安定な自己愛を刺激しすぎるとますます復帰しなくなるため、まずは傾聴し、そこから現実的な問題を把握し、本人による気づきを促進させながら具体的な解決方法を考えていく。その際、「お前はもっとできるだろ」という引き出し行為や背中押し行為を柔軟に用いていくことが効果的。 本書はセラピストの勉強用にも、上司など周囲の人々への心理教育にも用いることができる。「新型うつ」という、まだまだ曖昧な状態像への理解を少しでも具体的にしてくれると思う。
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