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サイバー・エフェクト 子どもがネットに壊される の商品レビュー

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4件のお客様レビュー

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2024/08/30
  • ネタバレ

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職場でICTの活用のあり方を議論しているときに、若い先生がこの本のことを教えてくれたので、すぐに購入して読みました。本屋さんで取り扱いがなくて、もったいない本舗さんで安く購入しました。 原書は子どもとインターネットに特化したものではなく、もっと膨大な量の原稿らしいのですが、日本版を刊行するにあたり、その中の子育て・子どもや若者の発達への影響にフォーカスして分量を減らして翻訳したとのことです。(ありがたや)。 私も常々、成長期の子どもの過度なインターネット使用は危険だと思っています。公立中学校で勤務していますが、最近の人間関係トラブルにはほとんど100%SNSが絡みます。不登校や生活リズムの乱れにはネット依存やゲームのし過ぎが関係していることも多いし、親子関係の悪化もオンラインゲームが要因になりうる。しかし、もう私たちの社会はインターネット抜きには成立しなくなっている。端末を遠ざけようとしても、病院の予約や学校への欠席連絡なども端末からすることが要求される。 本書では、成長期の子どもが仮想空間で過ごす時間が増え、現実の世界に適応しない危険性などをわかりやすく順序立てて説明し、大人たちや政府、テクノロジーを提供する企業が何をするべきかを説いている。政府が規制をしないと、企業は利益を最優先してテクノロジーを提供するので、子供たちは容易に犠牲になってしまう。映画や車などの機械は、年齢制限を設けて子どもを守るのに、なぜネット空間は無法地帯なのか?どんな製造メーカーも、自社が販売した製品のせいで消費者が損害を被った場合は責任を問われるのに、なぜweb上のソフトウェアのせいで使用者が生活に支障を来たしても責任を問われることがないのか?我々の社会は、そのような要求をしても良いのではないか?(たしかに!)ソフトウェアをダウンロードするとき、「同意する」にチェックさせられるが、あれで責任を免除しているわけですね。でも同意しないわけにいかないからな。怖い! そういえば最近、何かでディズニーを訴えようとした人が、ディズニープラスに加入して「自己責任」に同意していたから訴えを取り下げられるっていう事例があることを知った。ディズニープラスに加入する際、長大な量の文章をの下に、「同意する」にチェックするアイコンがあり、それに同意してしまうとディズニー社に一切責任を問えない、みたいな?・・・って詳しくは知らないけど、そんなことがまかり通ったら怖すぎる。 インターネット空間がいかに魅力的で人を惹きつけるか、その仕組みなども説明されていたが、私自身もインターネット黎明期から積極的に利用してきたので、大変興味深かった。私と同世代の人は、だいたい大学時代にwebにアクセスし始めたはずだ。画期的で、魅力的で、無限の可能性を感じた。しかしあの時代は、まだ今ほどは「いつでも・どこでも・すぐに」アクセスできる時代ではなかった。ゆっくりゆっくり、徐々に便利になってきたので、自分の生活リズムを大きく崩されることなく、インターネットとの付き合い方を、自分に合わせて構築できてきたのではないかと思う。 生まれた時から、いつでも・どこでも・すぐにwebにアクセスでき、現実の世界とインターネットの世界を行き来しながら育つ子どもたちがどうなっていくのか、問題が顕著に表れ始めてから対処するのでは手遅れだ。 私は子育て中、できるかぎりわが子をwebから遠ざけてきたけど、今後はただ「使わせない・触れさせない」とうわけにはいかない。上手な付き合い方を教えなければならないし、現実の世界にたくさん素敵なことがあること、現実世界で友達と体を動かして遊ぶことの楽しさ、与えられたものをただ眺めたり、指先でタップしたりスワイプしたりするだけで得られる快感はニセモノであることを教えていこうと思う。

Posted byブクログ

2019/03/14

最も新しいネット心理学の本である。実験についてはまだないのであるが、著者が指摘する通り、今までの研究ではなく、新しい分野での早急な研究が必要だとして論文執筆にかかわったということである。  訳本には注が削除されている。

Posted byブクログ

2018/07/01
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

サイバー心理学者が著した、インターネットが人間の振る舞いにどのような影響を与えているかを纏めた本。原著はもっと分厚く、邦訳にあたっては子育てパートに絞り込んでコンパクトにしたそう。なお、それでもそこそこ長いです(笑 赤ちゃん、子ども、ティーンエージャー、オンラインゲームの影響等、章を分けながら様々なテーマについて論じています。 結局のところ、親がスマホを見ながら赤ちゃんのお世話をすることや、子どもに早々にスマホを与えて何の管理もしないこと等々、何となくヤバそうだと思ってたことが悪影響っぽい様子でした。学術的にそれを証明するのはサンプルも時間も足りないようで。 個人的には、デジタル・ネイティブ的なプロフェッショナルが育つ要素もあるんじゃないかと微かな期待はあるのですが、現実でのコミュニケーション能力が損なわれるというのはその通りか。 翻訳は個人的には読みやすかったです。子どもとの向き合い方、ちょっとスマホやタブレットに頼っていた面もあり、考えさせられました。

Posted byブクログ

2018/05/11

「スマホをやると、脳が壊れるリスクは数倍になります」という一文が、 社会的に認知されるまで、どれぐらいの時間がかかるだろうか? タバコが人体に及ぼす影響が認知され、規制されるまで社会は80年を要した。スマホは何年かかるだろうか? 2012年には中国の科学者からネットゲーム依存患...

「スマホをやると、脳が壊れるリスクは数倍になります」という一文が、 社会的に認知されるまで、どれぐらいの時間がかかるだろうか? タバコが人体に及ぼす影響が認知され、規制されるまで社会は80年を要した。スマホは何年かかるだろうか? 2012年には中国の科学者からネットゲーム依存患者と麻薬中毒者の脳の器質変化が極めて酷似していることが発表された。 この研究結果からして、スマホによるネットゲームは、誰でも無料で楽しめるモノとしてのカテゴリーで良いんだろうか? タバコやアルコール、ギャンブルと同じカテゴリーに組み込むべきだと強く思う。 著者はサイバー心理学というネットが人間に与える影響を研究している。 その有害性に関して公表する研究者はほんの一握りに過ぎない。 企業は、有用性の技術・サービス開発には、研究者に対して、たくさんの金を投資するが、批判する者は徹底的に叩く。 もちろん真実の情報がメディアから喧伝されることもない。研究者にしても、研究費欲しさに、有害性の研究など、まずやらない。 あまり知られていないが、アルコール依存やギャンブル依存は、立派な精神疾患されている。 ネットゲーム依存は、まだ、精神疾患にカウントされていないが、 近いうちに、精神疾患として認知されるだろう。 その動きとして世界保健機関(WHO)がネットゲームへの過度な依存を病気と指定することにしている。 もちろん米国や日本のゲーム機メーカーやソフト会社で作る業界団体「エンターテインメント・ソフトウェア協会」(ESA)が「ビデオゲームに中毒作用はないと客観的に証明されている」として反対する声明を出した。全力で反対するのは、タバコ産業と同じだ。もちろん、ESAには、任天堂やバンダイナムコエンターテインメント、スクウェア・エニックスといった日本の大手ゲーム関連企業も加盟している団体である。 政府に限っては、知らぬそぶりだ。 それは、日本の最大の精神疾患が、ギャンブル依存で、 それがパチンコ産業によるものだと明確にわかっているのにも関わらず、野放しにしてきた構図と全く同じだ。 ギャンブル依存者が平均年に150万円負けていることを考慮しても、政府、産業、マスコミの罪は大きい。 日本でスマホの有害性を唱えるのは研究・技術者ではタブーになっている。 せいぜい各サービスのフィルタリング機能を使いましょうぐらいである。 もう一度、繰り返すが、スマホ依存はアルコール、ギャンブル、薬物依存と同列に扱うべき問題だとは、個人的に思う。 ネット依存で既に400万人以上、そのうち中高生は52万人。多くがスマホ依存だ。 重度の依存症の場合、未来永劫、まともな生活を送ることはできない。 いつまで、野放しにしておくのだろうか?

Posted byブクログ