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シェアハウスかざみどり の商品レビュー

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14件のお客様レビュー

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2024/11/10

 異国情緒溢れる関西きっての港町御門。町の急な坂を登った先にシェアハウスかざみどりはある。  この3階建ての古い洋館に集ったのは、年代がバラバラの男女4人と無愛想な若い管理人の男。これまで決して順調とは言えない人生だった5人を、その過去から解き放つ連作群像劇。          ...

 異国情緒溢れる関西きっての港町御門。町の急な坂を登った先にシェアハウスかざみどりはある。  この3階建ての古い洋館に集ったのは、年代がバラバラの男女4人と無愛想な若い管理人の男。これまで決して順調とは言えない人生だった5人を、その過去から解き放つ連作群像劇。           ◇  南北を海と山で挟まれた関西きっての港町と言われる御門市。その中心街から北にミシン坂を登ったところが北屋丘町だ。  坂道の先には人目を引く一軒の古い洋館がある。目を引く理由は、3階建ての赤い屋根に骨董品級の古い鋳物の風見鶏が取り付けられているからだ。  今朝はその洋館3階にあるバルコニーに、ラジオ体操をしている1人の青年がいるのが見える。  痩身を黒ずくめの服で包んだその青年は、不機嫌そうな顔もあって、朝の爽やかな空気にまったくそぐわない。  と、青年がスマホを手にした。着信があったらしい。彼は相手の話を聞き、鋭い目つきを若干見開いてこう言った。 「もう見つかったのか、さすがだね。お疲れさんでした」  そしてニコリともせずに通話を終えた彼は 「これで全員揃った」 と、不機嫌そうに呟いたのだった。(「序章」) ※全4章と、序章および終章からなる。       * * * * *  序章がホラーっぽい空気を漂わせていますが、ハートウォーミングストーリーです。  舞台となる御門市北屋丘町は、神戸市中央区北野町がモデルだとすぐわかります。神戸が名取さんの出身地だからか、詳細な描写は出てこないのに街並みがイメージしやすく、現実感がありました。  物語は、この港町を舞台に展開します。  急な坂を登ったところに3階建ての古い洋館があります。それは、赤い屋根に取り付けられた鋳物の風見鶏につい目がいってしまう建物で、現在は「かざみどり」というシェアハウスになっています。  そして、このあたりからサスペンス風の怪しげな設定が目につくようになります。  まず管理人の若い男。  仕事はまめにこなすものの、とにかく無愛想。しかも何やら腹にいちもつあるような雰囲気で、住人に接します。  また、入居希望者が意図的に集められた人間であるというところも謎です。ターゲットに接触し入居を勧めた不動産屋は、実は腕利きの探偵だったことも何やら怪しい。  さらに、このシェアハウスが体験入居キャンペーン中ということなのですが、家賃だけでなく光熱水費もタダというお試し期間は春からクリスマスまでの約9ヶ月。妙に長すぎるのです。    この古びたシェアハウスにはいったいどんな秘密が隠されているのか ! ? これから何が起こるのか ! ? というのが読み進めるモチベーションになります。  けれどドキドキはここまでです。あとはハートウォーミングストーリーが展開していきます。  入居者4人に管理人の青年を加えた5人はみな、人生において問題を抱えているのですが、それぞれが関わりあいを持つうちに次第に解決に向かっていく様子は微笑ましいばかり。  そして提示されていたすべての謎が最後に明かされるというのも、プチミステリーとしてはよくできていると言っていいでしょう。また、意外にも脇役の果たす役割が大きいこともあとでわかります。  大きな事件や深刻な出来事などは何も起こらないので、本格的なサスペンスやミステリーを期待されている方には物足りないと思いますが、心温まるお話が好きでさらに港町神戸を散策したことのある方なら楽しめる内容になっています。興味を持たれた方はぜひお読みください。

Posted byブクログ

2024/08/14

最高に素敵な読後感! 登場人物のこと, 人間らしくて嫌いじゃないぞ?って思っていたのが,最後には大好きに! そして、全部の線画繋がっていく最後には、とても気持ちの良いものがあった。 これからも絆が永遠でありますように

Posted byブクログ

2024/07/07

伏線が張り巡らされた、そして最後に見事に回収される、とっても温かな物語でした。 最近お仕事が忙しくて、なかなか小説が読めず、殺伐とした気持ちになっている中、こういう物語を読むと、お仕事の疲れが癒やされます

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2024/05/19

クリスマスまでの期間限定だけど条件抜群で無料のシェアハウス。シェアハウスだけど、年齢層は割と高め。管理人は仕事はしっかりやるけれど、ミステリアス。訳ありな設定にワクワクしてしまう! 読みやすくてあっという間に読了。心温まるものがたりらしいものがたりでした。

Posted byブクログ

2023/12/14

読了後、私は誰かの力になってるのか、励みになってるのか、これからそんな人になれるのか、そんな風に思ってしまいました。どこかシャアハウスに憧れてしまう私です。

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2023/08/16

ハートフルストーリーですね。 名取佐和子さんならではの、伏線満載の仕掛け物語です。 場所の設定は観門市になっていますが、神戸を念頭に描かれています。大震災も物語の重要な要素ですね。 観門市の坂の上に建つ八角形の洋館、赤い屋根に丸々とした風見鶏が立つ。 この洋館に、好条件で集められ...

ハートフルストーリーですね。 名取佐和子さんならではの、伏線満載の仕掛け物語です。 場所の設定は観門市になっていますが、神戸を念頭に描かれています。大震災も物語の重要な要素ですね。 観門市の坂の上に建つ八角形の洋館、赤い屋根に丸々とした風見鶏が立つ。 この洋館に、好条件で集められた、年齢も性別もバラバラの四人と管理人が織り成す物語。 序章、四章、終章の短篇連作。 それぞれがかなり癖が強い性格で、問題点を抱えながらシェアハウスの生活と絡み合いが紡ぎ出されていく。最後の終章で散りばめられた伏線が見事に完結する。 名取さんの作品には、いつもほろりとさせられます。 抱え持つ悩みや過去の出来事のトラウマも、すべて次へのステップに切り替えていく物語構成には泣かされますね。 読了後の爽やかさと優しさに包まれて、心温まる物語です。

Posted byブクログ

2023/05/28
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『シェアハウスかざみどり』 名取佐和子/幻冬舎文庫 . クリスマスまでの期間限定でシェアハウスに集められた年齢性別バラバラの住人。管理人は若く見える吸血鬼風の男性で… . 一人一人のドラマが伏線で最後に大きな話になる好きなパターンのお話だった。愛想がないように見えつつも実は仲間想いな管理人さんいい人だな . 誰かのささいな言葉が人の人生を動かすこともあることを学んだ。

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2022/06/16

なんてことないはなし、のはずなのに、最後のどんでん返し的な流れにはまったのには驚いた。 でもなんかしっくりとした感動が生まれなかったのも事実。 みんな何かしらコンプレックスや脛キズを持ちながら、生きてるんだなぁ。それを皆が少しでも思ってくれていたらもう少し生きやすい世の中になると...

なんてことないはなし、のはずなのに、最後のどんでん返し的な流れにはまったのには驚いた。 でもなんかしっくりとした感動が生まれなかったのも事実。 みんな何かしらコンプレックスや脛キズを持ちながら、生きてるんだなぁ。それを皆が少しでも思ってくれていたらもう少し生きやすい世の中になると思う。 そんな感想をもちました。

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2021/11/07

お試しキャンペーンでシェアハウスに集まる4人と管理人の物語。シェアハウスにしては年齢層が高め。無愛想なのに大事なところで住人の助けになってくれる若い管理人。最後にいろいろ明らかになるが、それがなくても十分楽しめる良い作品だった。自分の言動が他人に影響与えるって覚えておこう。

Posted byブクログ

2022/11/25

それぞれが事情を抱え、導かれるようにシェアハウスおためしキャンペーンで風見鶏が構える洋館に住むことになった4人の住人達。 吸血と呼ばれる管理人の弓月。 一章ごとに住人一人ずつその事情が語られていき、最終章の契約満了日、クリスマスに一つの物語にまとめられる。 不器用で傷つき、後...

それぞれが事情を抱え、導かれるようにシェアハウスおためしキャンペーンで風見鶏が構える洋館に住むことになった4人の住人達。 吸血と呼ばれる管理人の弓月。 一章ごとに住人一人ずつその事情が語られていき、最終章の契約満了日、クリスマスに一つの物語にまとめられる。 不器用で傷つき、後悔しながらも逞しく生きてきたそれぞれの人生の中で、出会いは一瞬でも知らず知らず誰かの力や心の支えになっていた。 そんなお伽噺だけれど、絵空事ではないような。 少し羨ましく思ってしまうお話。

Posted byブクログ